スーパーCEO列伝

小泉社長の素顔を知る盟友・ソウゾウ松本さんが語る

【メルカリ小泉社長の魅力】とにかく背中を押してくれる。だから尖った人が集まる

株式会社ソウゾウ

代表取締役社長

松本龍祐

写真/高橋郁子 文/長谷川 敦 | 2018.02.13

株式会社ソウゾウ代表取締役社長・松本龍祐氏の写真
小泉文明社長とは、10年来のつき合いの松本龍祐氏。仕事上のみならず、プライベートなつながりも深いという。そんな松本氏に小泉社長の魅力を語ってもらった。

株式会社ソウゾウ 代表取締役社長  松本龍祐(まつもとりょうすけ)

株式会社ソウゾウ 代表取締役 中央大学在学中より出版系ベンチャーの立上げ、カフェなどを経営。2004年より中国企業のSNS立ち上げに参画、その後2006年にコミュニティ企画・運営に特化したコミュニティファクトリーを設立。2009年以降はソーシャルアプリ開発に特化し、写真をデコってシェアできるスマートフォンアプリ『DECOPIC』が2,800万ダウンロードを記録。2012年9月にヤフー株式会社へ会社を売却。同社アプリ開発室本部長を経て、2015 年5 月よりメルカリに参画。新規事業を担当する子会社株式会社ソウゾウの代表取締役社長に就任。

「元祖“山田の言うことを聞かない人”です(笑)」

松本龍祐氏と小泉文明社長との出会いは2009年にまで遡る。当時松本氏が経営していた㈱コミュニティファクトリーに、mixiのCFOだった小泉氏が社外取締役として関わることになったのが、最初の2人の接点だ。

その後、2012年に小泉氏が社外取締役から外れ、また松本氏が会社を売却し、ビジネス上のつながりがなくなったあとも、一緒に国内外を旅行するなどプライベートな関係はずっと続いていた。そして2013年、小泉氏はメルカリに入社。続いて、2015年には松本氏も執行役員としてメルカリに入社し、2人は再び同じ場所でビジネスに関わることになった。

公私にわたって小泉氏のことを深く知る松本氏。彼の目には、小泉氏はどのように映っているのだろうか。

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松本氏からみたメルカリ・小泉社長の3つの強み

【1】柔軟
たとえ自分と対立する意見が出たとしても、「相手のほうが正しい」と判断したときには、すぐに自分の意見を取り下げる柔軟性がある。

【2】フェア
相手によって態度を変えることなく、誰に対してもフラットに接する。賛成できることは賛成し、反対すべきだと思ったことはしっかり反対する。

【3】ウェット
実は情に厚いところが。人が困ったり迷ったりしているときには、自分の損得は抜きにして、相手の気持ちに寄り添い、つきあってくれる。

会うたびメルカリへの入社をさりげなく口説かれ続けた

私がメルカリへの入社を決めたのは、やはり先に入社していた小泉の存在が大きかったですね。プライベートで一緒に飲むたびに、「メルカリは良い会社だよ」とさりげなく、私を口説いてましたからね。

当時、私は自ら起業したコミュニティファクトリーという会社をヤフーに売却し、そのままヤフーの社員として、アプリの戦略や新規事業の立案に携わっていました。やりがいもあったし、転職することなんてまったく考えていませんでした。このままヤフーで働き続けるか、もしくはもう1回自分で起業しようかなと思っていた。ところが小泉に口説かれ続けるうちに、だんだんその気になっていったんですね。

メルカリに関しては、まず小泉が2013年に入社した時点で、「それほど魅力的な会社なの?」と興味が湧きました。さらに、いま取締役を務めている濱田優貴がメルカリに入社すると聞いたことも大きかったですね。濱田はスタートアップの世界では知られた起業家で、「次の起業のアイデアがある」と以前から聞いていたからです。

自分で会社を起業できるだけの実力を持った人たちが、どんどんメルカリに惹かれてジョインしていく――。「これはこれまでの日本のスタートアップの会社とは、違う会社ができるんじゃないか」と強く感じました。

1人で起業しても、できることには限界があります。でも小泉や濱田のような人物が集まっている場に自分も加われば、社会的なインパクトが大きいチャレンジができそうだと考えました。

よく小泉は会社をピザに喩えて、「どうせピザを食べるのなら、大きいピザを食べたほうがいいよね。大きいピザだったら、お腹いっぱい食べられるし」と、わかるようなわからないような話をする(笑)。けれど、実際、私も1人でピザを食べるのではなく、みんなで大きなピザを食べたいと思ったんです。

言いたいことを言い合えるカルチャーは小泉が作った

株式会社ソウゾウ代表取締役社長・松本龍祐氏の写真

実際に執行役員としてメルカリに入社してみて驚いたのは、経営会議でのバトルが激しいことです。経営陣はそれぞれが自立したマインドを持っていますから、小泉や山田(山田進太郎会長、メルカリ創業者)と意見が違うときには、はっきりとそれを口にします。小泉も山田も無理に自分の意見を押し通そうとはしません。

バトルといっても、メルカリとして目指すべきビジョンは全員で共有していますから、そこはブレません。ただしそのビジョンを達成するためのルートについては、小泉も山田もメンバーの意見を尊重します。

「あなたが責任を持ってそれをやり遂げられるのなら、自分が思うようにやりなさい」と推してくれるカルチャーが、メルカリにはあるんです。だからメルカリは、ちょっとぐらいトガった人物でも受け入れることができるのだと思います。

メルカリがそういうカルチャーになったのは、小泉の影響が大きいと感じていますね。実は私はひそかに小泉のことを「元祖・山田の言うことを聞かない人間」と呼んでいます。

というのは、私が入社した頃、当時取締役だった小泉は、毎回のように会議の場で社長の山田に対して怒っていたんですね。心配になって「あんなに怒って大丈夫なんですか」と小泉に訊ねたところ、「ほかにああいうことを言える人間はいないから、自分が怒っているんだ」と話していました。

そんな小泉の姿を見て、ほかのメンバーも「発言したことに対して責任さえとれば、言いたいことは言っていいんだ」という意識が醸成されていったのだと思います。

柔軟でありフラットでありそしてウェットな人

個人的には、小泉の魅力は「柔軟であることと、フェアであること」だと思っています。例えば小泉が述べた意見に対して、ほかの人間が、「いや、自分はこうしたほうがいいと思う」と発言した場合、その意見が適切なものであると判断すれば、すぐに自分の意見を取り下げ、相手の意見に賛同する柔軟さを彼は持っています。ベンチャー界隈のトップだと、結構珍しいんですよ(笑)。

しかも彼は相手によって態度を変えるようなことはありません。誰に対してもフラットに接し、賛成できることは賛成し、反対すべきだと思ったことは反対する。その姿勢は私と出会った頃から変わっていません。だから人として信頼できるのです。

一方で情に厚いというか、ウェットなところもあります。かつて私が、自分が経営していた会社を売却すべきかどうか迷っていたときのことです。彼は毎週のように週末になると私に会い、相談相手になってくれました。そのときには既に私の会社の社外取締役を退いていたのに、完全なプライベートで親身に相談にのってくれました。

人が困ったり迷ったりしているときに、気持ち的にも寄り添ってくれるところがあるんだと思います。最終的に会社の売却がもっとも望ましい形で決まったとき、一番喜んでくれたのも、小泉でした。

性悪説で社員を縛るより性善説でスピードを高めたい

株式会社ソウゾウ代表取締役社長・松本龍祐氏の写真

今のメルカリを見ると、山田の価値観と小泉の価値観がうまく合致して会社が回っていると感じます。山田が目指しているのは、オープンで透明性の高い組織を作ること。またとてもインターネット的というか、リバタリアン的とでもいうべきか、「制限を設けずメンバーが自由に行動していく中から、自然とエコシステムができあがっていったらいいよね」という考え方の持ち主です。

一方小泉はよく、「メルカリは性善説でいく」と話しています。社員は悪事を働いたり、間違った判断をしたりするものだという性悪説をとると、さまざまなルールで組織や社員を拘束しなくてはいけなくなります。

ルールが増えれば増えるほど、組織のスピードは落ちていきます。その点、性善説のメルカリは、社員を縛るルールがとても少ないのが特徴です。会社が大きくなっても、意思決定のスピードが少しも落ちないのは、そうした理由によるものかなと思います。

もちろんルールが緩ければ、中には悪いことや間違ったことをする社員も出てくることでしょう。でも我々の業界はこれからどんどん市場が大きくなっていきます。社員を管理することにエネルギーを注ぐよりも、市場のほうに目を向けてチャレンジするほうが会社を成長させることができると小泉は考えているのです。

そうした小泉の価値観は社内にも浸透し、社員も「自由を与えられている分、自立性を持って行動しなくてはいけない」「フェアに物事を判断できない人間はカッコ悪い」といった意識を持つようになっています。小泉のおかげでそういう健全なプレッシャーが、会社の中に働いていると感じますね。

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代表取締役CEO

國分利治

美容室業界は飲食業界と並んで浮き沈みの激しい世界。店舗数はコンビニの約4倍に上り、開店・閉店のサイクルも早い。そんななかで1989年の創業以来、安定した成長を続け、全国で約250店舗を展開するアースホールディングス。なぜこの会社は生き残り続け、業界有数のポジションを築くことができたのか。
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