技術力

法規制や立地状況を読み解き 都心の狭小地を優良資産に蘇らせる

ナチュラルリビング株式会社

代表取締役

金井 健太郎

撮影/芹澤 祐介 文/松本理惠子 | 2020.08.11

東京23区にある狭小地を最大ボリュームで生かし、より魅力ある資産に生まれ変わらせるナチュラルリビング株式会社。起業から2年で順調に業績を伸ばしてきた今、金井健太郎代表が仕掛ける、飛躍のための次なる一手とは?

ナチュラルリビング株式会社 代表取締役 金井 健太郎(かないけんたろう)

1977年東京生まれ。1996年、高校卒業と同時にフリーターとしてアパレル業界に入り、東京コレクションにも裏方で参加するなど活躍。1999年には建築デザインに転向し、専門学校で基礎を学ぶ。2001年、不動産会社の設計企画部に就職し、多摩地区の戸建て住宅の流通を主に手掛ける。2008年、別の不動産会社に転職し、横浜・川崎地区の担当となり測量の基本を習得。2010年、某大手不動産デベロッパーに引き抜かれ、23区内の住宅設計で腕を磨く。2013年、設計事務所に転職、2014年、測量事務所に転職。2015年独立し、土木系設計者との共同経営で株式会社輪設計を設立する。2018年5月、輪設計の設計部門を分離させる形でナチュラルリビング株式会社を興し、現在に至る。

アイデアを駆使し、狭小物件を魅力的な物件に生まれ変わらせる

ナチュラルリビング株式会社の金井健太郎代表は、自社のミッションをこう説明する。

「23区内には45平米や60平米の狭小住宅が多くあります。そうした物件では最小宅地面積の制約から、老朽化した建物を壊して建て直そうにも法律的に難しかったり、再建できても商品としての価値が低く市場に乗せられなかったりなどして、再建を断念するケースが少なくありません。住宅の再建ができないとなれば、その土地は駐車場にするくらいしか使い道がなく、オーナーにとって大きく資産価値を損ねることになります。そうした訳ありの狭小物件を魅力的な物件に生まれ変わらせるのが、当社の得意とするところです」

狭小地の住宅再建を困難にしている大きな要因のひとつに、建築基準法や道路法、都市計画法などの法規制がある。法律は時代によって変化するため、現在、住宅が建っている土地でも法改正で再建築不可になっている場合がある。すると、住宅を取り壊して新たに建物を建てることができない。

また、狭小地では延べ床面積を広く取るため3階建ての要望が多いが、道路斜面制限によって2階建てしか建てられない場所もある。

「こういったケースでは、私が役所に行って、直接関係部署との協議を行います。法律的にはNGであっても、歴史的な経緯や地域の事情などを鑑みて、例外的に認められたり緩和されたりすることもあるのです。オーナーの資産を守るためなら、使える手段やアイディアは全て使います」

役所を説得して許可を得るには、複雑な法律を読み解き、合意点を導き出す技が必要だ。そのスキルを金井代表はいつどのようにして身に付けたのか。

「私は高校を卒業してすぐ、デザインを実践で学ぶためアパレル業界で3年ほどお手伝いさせていただき、その後、建物のデザインを学びたくて専門学校に通い、不動産会社に就職しました。そこから数年ごとに転職を繰り返し、多摩地区の2階建て、横浜川崎地区の高低差のある住宅、都心のペンシルハウスと一通りの建物を手掛け、デザインから設計、測量、流通などを勉強しました。その中で少しずつ、こういうケースにはこういう資料を揃えて、どこをポイントに協議すれば良いか、といったことが経験的に養われていきました」

無理難題と思われた物件にも解決策を見出し、新たな命を吹き込む金井代表。その手腕に信頼をおく不動産会社や設計事務所からは、次々と新規の依頼が舞い込む。コロナ禍にあっても依頼が絶えないという事実からも、その信頼の高さが窺える。

優秀な人材の確保とベトナムへの進出

今後の事業の見通しについても「明るい」と金井代表は語る。

「全国的に人口が減るなかでも23区だけは事情が異なり、少なくとも2030年までは人口が増え、物件の売買も活況と言われています。マンションを購入するよりローコストで一戸建てが手に入る、都心のペンシルハウスの需要は今後も引き続き高水準で推移するでしょう」

そのニーズに応えるために、金井代表は2つ戦略を立てている。1つは自社の社員を増やすことだ。

「特に、建築確認申請のための人員の補強が急務です。2級建築士の有資格者で、構造計算ができる人を募集しています」

2つめはベトナムへの進出だ。

左:株式会社ベトナムの李浩己(リ・ホキ)取締役、右:ナチュラルリビング株式会社 金井 健太郎代表

「ベトナムに建築確認申請のための図面作成を専門とするCADセンターを設立し、日本で私が受けた物件の申請書類を彼らにやってもらおうと考えています。ベトナムは人件費が安いのでコスト削減が叶い、より手頃な価格で確認申請が取得できるようになります。また、日本の技術者不足を補うと同時に、日本の優れた設計技術を海外に伝え残すという目的もあります」

ベトナムに拠点を構えるにあたって大きな味方となるのが、株式会社ベトナムの李浩己(リ・ホキ)取締役だ。李取締役は25年前にベトナムで日本法人を立ち上げた縁で、現地に盤石のコネクションを持つ。

「金井さんとはパッションリーダーズの起業家勉強会、アントレプレナーで知り合い、意気投合しました。CADセンターの設立や人材採用の際に、私のコネクションを生かしてもらえれば嬉しいです。ベトナム人は真面目で働き者が多いので、良い仕事で応えてくれると思いますよ」と、李取締役もベトナム進出計画に太鼓判を押す。

CADセンターはコロナ禍が収束し次第、できるだけ早く稼働させる予定だ。

「ゆくゆくは100人規模にして、日本の住宅設計はみんなCADセンターで作図するくらいにしたいですね。そのためにも、彼らの教育や研修をする日本の技術者、指導者が必要です。当社の事業に興味のある方はぜひご応募ください。一緒に手強い狭小物件を攻略し、新しい生活を提案していきましょう!」

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_45_1596594972.jpg

vol.45

「ファクトリエ」がつくる工場ブランドの製品は、なぜコロナ禍でも売れ続けるのか?

ライフスタイルアクセント株式会社

代表取締役

山田敏夫

「世界に誇れるメイド・イン・ジャパンの一流ブランドを生み出したい」。そんな思いから、代表の山田敏夫氏が2012年にファクトリーブランド「ファクトリエ」を旗揚げ。優れた技術を持った日本国内の工場を開拓し、コロナ渦でも好調な売上を保っている。その原動力となっている山田氏の「熱狂」に迫る。
SUPER SELECTION 医療特化 スーパー・ドクター Passion Leaders
ブランジスタが手がける電子雑誌