スピリット力

一級建築士と音楽の出合いが世界中に最高の音環境をもたらす

株式会社KOTOBUKI

代表取締役

庭瀬寿洋

写真/スギヤマオサム(STAPLE) 文/小幡奈々 | 2021.07.12

解体工事からリフォーム、新築までを一貫して手がける株式会社KOTOBUKI。なかでも音響防音の設計施工は、他社には真似できないオンリーワンの事業だ。庭瀬代表が打ち出す「建築×音響」の可能性に迫る。

株式会社KOTOBUKI 代表取締役 庭瀬寿洋(にわせ としひろ)

1974年生まれ。一級建築士。ハウスメーカーで現場監督経験を積み、2000年に解体業を営む家業に入りハウジング事業を立ち上げる。リーマンショック後、代表取締役に就任し、学生時代から趣味とするドラムとオーディオを活かした音響防音事業を開始。2018年、資産運用・貿易関連・販売事業を行うK.E.C株式会社を新たに設立。「止められない音はない。音響特性にこだわる音でお役に立つ」をモットーに、心に響く環境創作に邁進する。

ドラマーでオーディオマニアだからこそ生まれた発想

一級建築士の資格を有し、室内でゴルフができる特殊設計や、映画鑑賞を楽しむことができる大型スクリーンを備えた家など、依頼主が求める以上の“価値”を追求してきたKOTOBUKIの庭瀬代表。新築、リフォーム、解体工事のほか、KOTOBUKIだからこそ実現できることがあると庭瀬代表は言う。

「個人宅の演奏室から、中部エリアで最もメジャーなライブハウス『ボトムライン』の音響工事、『ヤンマーミュージアム』多目的ホールの工事、大型家電ショップ『エディオン名古屋本店』の店頭オーディオルームまで、『建築×音響』をテーマに、様々な施工を手がけてきました。音響防音工事は、それなりの工事費がかかるイメージがあるかもしれませんが、弊社では良い音が聴ける環境や、気持ち良く演奏できる空間を、気軽にみなさんにご提案できたらと思っています」

今でこそ音響防音事業が好調だが、解体・建築をメインとしてきたKOTOBUKIでは新しい分野。庭瀬代表が2009年に事業継承してから始めた事業だ。

「そもそも防音とは、音を止める・防ぐという概念ですが、私自身がオーディオマニアでドラマーですから、音の聴き手でプレイヤーでもあるという立場で考えると、ただ音を止めるだけでは満足できなかったのです。やるなら徹底的に良い音環境をつくる防音工事をやろうと、継承をした際にスタートさせた事業です。他社と違うのは、建築会社が音響防音まで一貫施工するということ。他社にはできないオンリーワン事業であることが弊社の強みであり、そこに勝算を見い出しました」

趣味の域を超え、ライフワークとしてきたオーディオとドラムは、庭瀬代表の感性を長年に渡り磨き続ける。研ぎ澄まされた聴覚は、自社製音響パネルという産物を生み出した。

「2015年に新幹線の防音壁に使用される吸音材“カルム”を使った音響パネル『音快速』を開発しました。スピーカー付近に置いて使用するルームチューニング用のオーディオアクセサリーなんですが、最近、これを上回って低周波を吸う新型音響パネルをつくったんです。炭素繊維板を採用したことで、80Hz以下の低周波も調整できるようになった自信作。この『音快速極烈』は、2018年11月に開催された“InterBEE 2018”に出展し大盛況。“InterBEE 2019”では初めての一体型、『音快速極音』でこちらも『オーディオアクセサリー』というオーディオ雑誌にて“銘機賞”を受賞しました。新型コロナウイルス感染症拡大が終息すれば、“InterBEE 2022”に出展する予定です」

最新型のルームチューニングパネル一体型「音快速極音」。最新型飛行機に使用されている炭素繊維をインナーに採用、従来品よりも低周波を吸う精度が格段にアップ。

世界中に最高の音環境を提供

オーディオ用の高性能防振材『音極振』や、コンテナ業者とタッグを組んで『ラウドネスコンテナ』という防音室を開発するなど、アイデアが尽きない庭瀬代表だが、2018年はさらなる新機軸を打ち出した。

「本体のKOTOBUKIは解体から設計施工を現場で行う、ゼロを100にする、もしくは100をゼロにする仕事。音響防音も同様です。私はその先に広がる“環境創作”のために、2018年5月、インターネット販売事業を主力としたK.E.C株式会社(Kotobuki Environmental Creations)を設立しました。開発商品を、より消費者の方々の身近に感じていただけたらと、Amazonで販売中ですが、ご好評いただいております」

思えば、リーマンショック後、創業者の父が手放すように代表の座を退き、庭瀬代表が事業を継承したときのKOTOBUKIは、文字通り瀕死の状態にあった。

「売上げが8割減だと知ったとき、正直この会社は潰してゼロから何か起こした方が良いと考えたこともあります。それでも逃げ出さなかったのは、やはり社員の存在が大きい。創業者の父を支え、長年、同じ釜のメシを食っている社員は音楽に例えればバンドメンバー。彼らに恩返しすることが、二代目の私の役目だと感じました」

KOTOBUKIは今期、34期目に突入した。「かれこれ6年目に入るフレックス制を導入して働きやすい環境づくりに邁進したら、社員さんに自主性が育った」と、目を細める庭瀬代表。型にハマらないロック魂で、これからも「建築×音響」の無限の可能性を追いかけ続ける。

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vol.52

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