企画力

女性支援で地方創生を実現 地元・十勝を“笑顔”で満たす

株式会社イーク

代表取締役社長

上野美幸

写真/守澤佳崇(AROUND 80) 文/宮本 育 | 2018.03.30

保育士から一転、先代が約30年にわたり守り続けた工務店の社長となった上野美幸氏。住む人の笑顔を追求した家づくりを経て、次のステージで目指すものとは?

株式会社イーク 代表取締役社長 上野美幸(うえのみゆき)

北海道帯広市出身。保育学科を卒業後、20年間、民間保育園で保育士として福祉に携わる。2012年4月、株式会社ヨシダホーム代表取締役社長に就任。独自の目線を生かした家づくりが評判となる。2015年音更町学童委託事業を2カ所開所。2017年音更町議会議員に。ヨシダホームで培った経験や思いを地域貢献に生かそうと2017年12月、株式会社イークを設立。

2012年、先代の引退にともない20年にわたる保育士人生から工務店・株式会社ヨシダホームの社長へと転身した上野氏。建築のことは何も分からないというハンディを背負い、劣等感のなかでもがき続ける上野氏に、仲間たちが指し示してくれたのは、“女性、妻、母、保育士としての経験や視点を生かした家づくり”だった。

子どもが安全に過ごせる空間、夫婦の対話がもてる工夫など、周囲の協力と上野氏のアイデアで生まれた家は、地元・十勝でまたたく間に評判となった。とりわけ、女性や子どもの“笑顔あふれる家”だったのである。

そのような家づくりを通じて知ったことがあると上野氏は言う。

「ご要望をお伺いしていくなかで、過去のキャリアや特技を生かして社会復帰したいと考える女性の多さを実感しました。そういった話を聞くたび、保育士時代の出来事を思い出しました。

当時も産前産後休暇や育児休暇といった制度はありましたが、子どもを授かると周りに迷惑をかけるかもしれないと退職し、そのまま社会復帰せずにいる人が大半だったのです」

帯広市大空町にある新展示場。澄みきった「とかち晴れ」の空が見られる窓のある家で、内部では十勝の素材が使用されている。

母となった女性の選択肢は退職だけなのか。当時、そう疑問に感じた上野氏は、多くの女性たちが諦めた、“子どもを授かっても仕事を辞めることなく社会と関われる生き方”を、身をもって体現してみせた。

「働き方の常識を覆せば、子育て中でも介護中でも働けるんです。肝心なのは辞めないこと。超時短勤務でも継続することでスキルが身につき、企業にとって欠かせない“人財”となるのです。

そこで、家づくりの際も常に意識してきた“女性や子どものサポート”をより強化していくために、棲み分けとしてヨシダホーム・社長の肩書を譲渡し、2017年12月に株式会社イークを設立しました。建築施工が柱のヨシダホームと、企画デザインが軸のイーク。建築を核とし、広く衣食住を提供するには、2社両輪の体制がベストだと考えました」

同社では、住む人の思いを盛り込んだ家づくりをヨシダホームと連携して進めるほか、女性の起業セミナーなど、子どもと女性の支援に積極的に取り組む。

また、仕事のブランクがある人に対しては、過去のキャリアや特技を生かせる場として、十勝で活躍したい女性を応援するイベントを企画。仕事の感覚を取り戻し、自信を高めてもらおうというのが目的だ。さらには、学童保育所の運営、食育なども行っている。ゆくゆくは幼児を対象とした保育事業も視野に入れているという。

「よく周囲から『色々なことをやっているね』と言われますが、どれも女性と子どもに特化したものばかりです。私の根幹である“女性や子どもをサポートしたい”という1本の線をどんどん太くしていき、“関わる人を笑顔にしたい”。これが、今の私のミッションです」

このミッションの先にあるもの。それは、人々が笑顔で豊かに暮らせる“地域の創生”であると上野氏は言う。なぜなら、近い将来必ず訪れる人口減社会において、女性の社会復帰・進出は企業のみならず、地域の活性化にもつながるからだ。

そして、この地で実現された新しい女性の働き方が周辺地域のお手本となれば、地域創生の波はさらに広がっていく。そして、その実現のために建築事業を核としたヨシダホームと共に取り組んでいく。

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vol.38

一人ひとりの個性を伸ばして事業を拡大する

株式会社アースホールディングス

代表取締役CEO

國分利治

美容室業界は飲食業界と並んで浮き沈みの激しい世界。店舗数はコンビニの約4倍に上り、開店・閉店のサイクルも早い。そんななかで1989年の創業以来、安定した成長を続け、全国で約250店舗を展開するアースホールディングス。なぜこの会社は生き残り続け、業界有数のポジションを築くことができたのか。
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