サービス力

10歳からできる後継者育成! 世界で通用する器を育てる人財育成とは?

日本人財教育総合研究所

代表

大貫裕史

写真/芹澤裕介 文/岡本 のぞみ(verb) 動画/プログレス | 2021.05.10

10歳からの後継者育成や留学希望の教え子たちの応援・後押しをしている日本人財教育総合研究所の大貫裕史代表。学業成績を飛躍的に伸ばすだけでなく、リーダーシップ力を磨き、人としての器も大きくする、そのメソッドとは?

日本人財教育総合研究所 代表 大貫裕史(おおぬき ひろし)

1986年、神奈川県生まれ。東京工業大学大学院にて、天文学系と経営学系の2つの修士課程を修了。都内の経営コンサルティング会社にて教育部門の責任者として入社。経営者のお子様への後継者育成や企業の人財育成を行う。2018年4月、日本人財教育総合研究所を創設し、日本および世界で活躍できる人財を育成している。

学力、スポーツや芸術に秀でた“人間力”のある人財に育てる

人財育成のプロフェッショナルとして、たくさんの教え子を幅広い活躍の場へと導いてきた大貫裕史代表。教育者である母親の影響もあるというが、実は勉強は得意なほうではなかったと話す。そこから教育の道で起業するまで、どのような出来事があったのだろうか?

「大学受験には一度、失敗しているんです。学力を大幅に伸ばすことができたきっかけは予備校時代の友人でした。初めて彼に大型書店にある受験用の参考書コーナーまで連れてきてもらったとき、『こんなに参考書ってあるんだ〜』と感動でしたね。そこで、参考書選びのコツを教えてもらったんです。

勉強のやり方にコツがあることに気づいてからは、自分なりのやり方を確立していきました。大学2年のとき家庭教師を始めたんですが、あまり勉強が得意でなかった自分でも数学全国1位を取れた勉強のやり方を教え子たちに伝えたところ、成績がおもしろいように伸びたんです。過半数の教え子が偏差値20以上伸びましたね。

大学卒業後は、修士、博士と進んでいたので、研究者の道もありましたが、最終的には人を伸ばす喜びを仕事にしたいと人財育成の道を選びました」

大学院を修了した後は、その指導実績に驚愕した経営コンサルティング会社の代表に教育部門の責任者として迎えられた。そこで、後継者育成や企業向け人財育成の経験を積み、2018年4月に日本人財教育総合研究所を創設した。

「日本人財教育総合研究所では、幅広い年代の人財育成を担っています。中でも依頼が多いのは、小・中学生のお子様への指導です。当研究所では、学力のみならず、スポーツや芸術にも秀でた、リーダーシップ力のある人財へと育てるのが特徴です。

そのため、後継者育成や海外留学をお考えの親御さんからのご要望が多いですね。将来、経営者になるためには成績優秀なだけでなく、リーダーシップ力を磨くことが大切ですし、海外留学にしても文武芸はもちろん、リーダーシップ力が欠かせませんので。

2011年からオンラインでの指導を実施しているので、日本全国、そして、アメリカ、カナダ、香港など海外の指導実績もありますね」

一人ひとりに合った戦略を立てる“テーラーメイドの戦略”

大貫代表が目指すのは、受験テクニックありきの難関校合格ではなく、社会に出た後も活躍できる人財の育成。しかし、日本や世界で広く活躍するのにふさわしい人財に育てるのは難関校突破よりも難しい。14年かけて磨き続けているそのメソッドとは、どのようなものなのだろうか?

「まずは学業成績をクラス1位など、大幅に伸ばしてもらいます。成績が良くない原因は、点数に直結する勉強のやり方を知らない、もしくは、自信がなくて挑戦する前から諦めているケースがほとんどです。なので、この2点を解決すると成績が思いっきり伸びますね。

勉強ができるようになったら、次は『周りの友達にも教えてあげて』と伝えます。すると同級生から自然と慕われるようになり、リーダーシップ力が身につきます。

さらに次は、『先生を応援してみよう』と言います。例えば、授業中に先生が大切なポイントの説明を飛ばしてしまった場合、あえて手をあげて『わかりませ〜ん』と質問して、飛ばしてしまった箇所の説明を促すような行動です。質問をする際に先生のプライドを傷つけないように配慮できるよう、先生の気持ちを察する“優しさ”も身につけてもらっていますね。

学校の先生は、教え子よりも20歳30歳年上のことが多いので、小・中学生といった若いうちから先生を応援できるようになると、将来、後継者として会社を継いだ際に、20歳も30歳も年上の部下ができたとき、息をするように自然体で応援できるようになるのです」

大貫代表は、自身と教え子を月と太陽に例える。「太陽である教え子を輝かせることで、私も輝くことができるのです」

勉強ができるようになると、それが1つの成功体験となり、スポーツや芸術分野でもその力を発揮できるようになるという。さらには、「テーラーメイドの戦略」と「カウンセリング」を組み合わせるのが大貫代表の真骨頂。

「テーラーメイドの戦略とは、一人ひとりの教え子に合った戦略を立てることです。その子の力量と目標、そして、価値観や性格を踏まえて適切な戦略をつくり、目標達成へと導きます。

また、ときには教え子が自信をもてないこともありますので、その際はカウンセリングを行って、自分にもできそうだな、挑戦してみたいな、と思ってもらうことが大切です。例えば、『学年で1番になる自信はあるけれど、県で1番になる自信はない』というとき、『自分にもできる』と思わなければ、やる前から諦めている状態で、できることもできなくなります。

そこで、オリンピックで活躍するスポーツ選手のコーチやメンタルトレーナーのように、『自分にもできる』という確信を教え子にもってもらえるようにカウンセリングを適宜行うのです」

こうした戦略を用いて指導した教え子の中には、海外の一流大学へ留学した例もある。中学2年生から指導し始めた青森の女子生徒はすぐに県の模試で1位になり、学区で一番の高校に首席で合格。高校2年でUWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ)という財団から奨学金をもらってカナダへ留学し、IB(国際バカロレア)45点満点中43点というハーバード大学の合格者平均である40点を超える学力を獲得。リベラルアーツに力を入れているニューヨーク大学アブダビ校に進学した。彼女は大貫代表を、敬意を込めて「メンター(人生の師匠)」と呼んでいるという。

“企業でも成果を出せる”人財育成メソッド

大貫代表の人財育成のメソッドは、子どもたちの指導だけにとどまらない。今後は、企業での人財育成にも力を注ぎたいと話す。

「子どもたちの指導と企業での人財育成は違うと思われがちですが、『活躍できる人財を育成する』ことに力を入れる私にとっては本質的な指導内容は変わりません。

実際に、長野県のハウスメーカーで30代前半のリーダー層へ実施したリーダーシップ研修では、リーダー自身の器拡大と、部下育成法の伝授を行いました。すると、3か月程で、前年比150%超のチームや130%超のチームが出て、リーダーたちが入社以来の最高益を出すことに貢献できました。

私の仕事は、人の器を大きくして、活躍できる人財を育成すること。日本でも世界でも大きなフィールドで活躍できる人財をどんどん輩出していきたいと思います」

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_56_1649338847.jpg

vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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