サービス力

「法律家は“社会の医者”である」 中小企業経営者を守るリーガルパートナー

渋谷青山通り法律事務所

弁護士

鈴木 誠太郎

写真/片桐圭(リンガフランカ) 文/松本理惠子 動画/プログレス | 2020.02.10

「契約にまつわるトラブルを回避するには、契約締結前に法的観点からリスクや不利な点の手当をしておくことが大切」と語る、鈴木誠太郎弁護士。中小企業経営者こそ“かかりつけ弁護士”を味方につけるべきと語る、その理由とは――。

渋谷青山通り法律事務所 弁護士 鈴木 誠太郎(すずきせいたろう)

1979年神奈川県生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。旧司法試験を受験していた時期に、新司法試験制度への移行という過渡期に遭遇する。受験を続けるかどうか悩むも、最後と決めて受験し、合格。2008年に銀座の法律事務所で弁護士業務をスタート。2012年、法律事務所の共同経営を開始し、現在に至る。

“穴のない契約書”をつくれていますか?

「法律家は“社会の医者”だ」

――高校の特別授業で、大学から来た法学部の教授が語った言葉が、当時3年生で進路を迷っていた鈴木青年の心を撃ち抜いた。

「困っている人の力になれる弁護士になりたい……!」

18歳で抱いた夢の通りに鈴木弁護士は今、中小企業経営者のリーガルパートナーとして、契約書の作成や契約締結交渉、債権回収、会社の倒産手続などの相談に乗る。中でも近年注力しているのが、契約書の作成およびリーガルチェック案件だ。

「契約書に“穴”があるまま契約を締結してしまい、後々、大きなトラブルに発展するケースが散見されます。契約を結ぶ前の段階で、いかに自社の不利にならない“穴のない契約書”にできるかが、トラブル回避のカギです」

トラブルに振り回されて本業に専念できないだけでなく、訴訟問題に発展して疲弊する経営者を、鈴木弁護士はたくさん見てきた。契約締結の際の要注意パターンには、次のようなものがあるという。

  • ・相手会社から提示された契約書をきちんと確認せずにサインしてしまい、後から自社に不利な条件が見つかって慌てる。

  • ・将来のリスクを踏まえた契約書になっておらず、想定外のことが起きた場合に対応を巡って揉めごとが起こる。

  • ・見よう見まねで契約書を自作したために法的な不備があり、いざというとき法的効力を発揮しない。

  • ・そもそも契約書がない口約束で取引を始めてしまい、後から両社の主張が食い違って関係が悪化する。

  • ・法的知識がないために条件交渉ができず、相手に有利な内容を飲まされてしまう。

「契約を交わす時は両社とも関係が良好な状態でスタートすることが多く、つい安心して細かい部分まで詰めずに契約締結してしまうケースが多いので要注意です。

また、小さな会社ほど近くに相談できる法律家がいないことが多く、法的チェックが甘くなりがちで、リスクを呼び込みやすい傾向があります。自分の身を守るため、会社を守るために契約書のリーガルチェックは習慣にしたいですね」

とはいえ、一般的には「弁護士は法的問題が起きた時に相談するところ」というイメージがあり、特に中小企業では顧問弁護士を雇っていない会社が多い。

日本弁護士連合会の『中小企業弁護士ニーズ調査報告書』(2017年8月報告)では、全国の中小企業のうち「相談できる弁護士がいない」と答えた割合が62.5%。会社規模が小さくなるほど割合は高くなり、売上高1億円未満では79.6%にも上る。

鈴木弁護士は「気になることがあればいつでも相談に乗れるように」と、顧問先とは電話やメールで土日祝日も関係なく、常につながれるようにしている。

「問題を一人で抱え込んだ末、事態が悪化してどうにもならなくなってから私のもとに駆け込んでくる例も少なくありません。もっと早い段階で相談に来てくれていれば……と思うことも多くて。だからこそ、自分は中小企業経営者の身近にいて、何でも相談できるリーガルパートナーでありたいと思うのです」

常に経営者に寄り添うリーガルパートナーでありたい

鈴木弁護士が「中小企業経営者の味方になりたい」と強く思うようになったのは、今の渋谷青山通り法律事務所を立ち上げる以前、銀座の法律事務所に勤務していた時代の出来事がきっかけだ。

「ある経営者の相談を受けていた際、何か問題が起きたらまた相談してくださいと申し上げたところ、その方からこう言われたのです。『鈴木先生、スポーツドクターはアスリートが本番で100%の実力を出せるよう、日頃から医学的サポートをしますよね。

大きなケガをした時に手術をお願いするのでは遅いんです。経営者は毎日が本番であり、瞬間瞬間が決断の連続です。鈴木先生には私がトラブルに嵌らないように継続的にサポートをしていただきたい』そう言われてハッとしました」

その言葉に衝撃を受けた鈴木弁護士は、「経営者とはそういうシビアな世界で、覚悟と気迫をもって戦っているのだ」と再確認し、さらに一歩踏み込んだ関わりが大事だと思い知った。“経営者と二人三脚で会社を良くしていく”という現在のスタイルは、こうして確立された。

「自分が何をしたいかより、顧問先の会社にとって良い弁護士とは何かを考えるようになりました。今の事務所を共同経営で始めてからは、私も経営者の一人として経営の悩みや苦労、孤独や責任などを身をもって体験しています。中小企業経営者と同じ目線で物事を考えられる点が一番の強みです」

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vol.45

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「世界に誇れるメイド・イン・ジャパンの一流ブランドを生み出したい」。そんな思いから、代表の山田敏夫氏が2012年にファクトリーブランド「ファクトリエ」を旗揚げ。優れた技術を持った日本国内の工場を開拓し、コロナ渦でも好調な売上を保っている。その原動力となっている山田氏の「熱狂」に迫る。
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