サービス力

どんな時代も追い風に! 保育で第一線を走り続けられる理由

株式会社マザーグースホールディングス

代表取締役

柴崎方恵

写真/片桐 圭(リンガフランカ) 文/岡本 のぞみ(verb) | 2021.04.12

コロナ禍にもかかわらず、2021年も保育施設を増やした株式会社マザーグースホールディングス。この春からも新しい施設の開園を予定している。創業28年を迎えてなお、順調に成長する秘訣や優秀なスタッフの確保を可能にする理由を柴崎代表に聞いた。

株式会社マザーグースホールディングス 代表取締役 柴崎方恵(しばさきまさえ)

大学卒業後、ソニー株式会社に入社。結婚を機に退職。出産後、夫の事業の立ち上げを手伝うため、ベビーシッターが必要に。身近に満足のいくベビーシッターサービスがなかったことから、1994年に神奈川県茅ヶ崎市でベビーシッター業を起業。2年後、市の委託で0〜3歳を対象とした小規模保育事業をスタート。現在は、企業主導型保育園のFC事業も始動し、東京・神奈川で事業を展開している。2022年4月、神宮前に企業主導型保育園オープン。

社会のニーズにいち早く応えたことがチャンスに

ベビーシッター業で起業して以来、成長をつづけ、保育事業やそのFC事業も展開している株式会社マザーグースホールディングス。2020年だけで保育園を10施設増やし、東京・神奈川で合計21施設を展開している。この1年間といえば、ビジネスに新型コロナウイルスの影響があったはず。急激に変わった社会ニーズに、どう対応してきたのだろうか?

「2020年に関していえば、保育のニーズは拡大しました。当社は、院内保育が6施設ありますが、医療従事者に偏見の目が向けられたこともあり、通常の認可保育園に預けにくく、院内保育に預けられないかという要望が増えたからです。そうした要望に応えた結果、昨年よりも園児が20人増えた園もありました。当社は手厚い小規模保育を掲げているため、保育士を増やす必要もありましたが、休園した保育園から保育士を回すなどして、対応しました。

また、ベビーシッターの需要も増えました。通常は、見送りとお迎えの時間帯のニーズが多いのですが、在宅勤務が増えたせいか、日中のニーズが増え、ベビーシッターの稼働は約1.2倍になりました」

社会のニーズにうまく対応したことが、結果として成長につながった格好だ。こうして堅調に推移するだけでなく、2021年春には新しく小規模認可保育園と院内保育園が開園する。どのような経緯で新設に至ったかを聞くと、柴崎代表は「これまでの積み重ねがあった」と話す。

「新しい小規模保育園は、大和市つきみ野にできる複合施設内に入居予定です。複合施設には、大型マンションとショッピングセンター、メディカルセンターができます。マンション内は若いご夫婦世帯が多いので、保育園が必要ということで当社に声がかかりました。声をかけていただけたのは、これまでの評判のおかげ。新しい院内保育園も既存病院の系列病院が開院するためです。すべて信頼関係があったから順調にいっています」

園児と距離を保ちながらの保育。(提供:株式会社マザーグースホールディングス)

信頼はスタッフの子どもたちへの“愛情”から生まれる

柴崎代表に信頼を勝ち得た秘訣を聞くと、「基本理念を忠実に実行してきたこと」だと言う。

「当社のモットーは、保護者に代わって愛情を込めてお世話させていただくこと。一人ひとりの子どもに丁寧なケアをして、手厚い小規模保育を実践しています。小規模保育施設の保育士と園児の割合は、0歳では1:3、1・2歳では1:6と定められていますが、当社はこれに保育士がプラス1人の体制をとっています。もちろん、保育士の質もそれ以上に大切になってきます」

実は、新しい施設の開園に伴い、新しく約50名の保育士を採用した。優秀な保育士を大勢採用することは難しいだろうが、その秘訣は、採用基準と働きやすい環境づくりにあると柴崎代表は話す。

「採用の基準にしているのは、子どもが大好きかどうか。お給料も大事ですが、そればかり主張する人だと続きません。27年やっていて1000人くらい面接しているので、自然とわかります。また、保育士の方にとって、働きやすい環境かどうかも大切です。いつも保育士のスタッフには、 “やりたいことは何でもやっていいよ”と伝えています。それによって、皆の向上心がアップして、風通しの良い職場になっています。リーダー格の保育士も各園で育っていて、頼もしいですね」

信頼に応えつづけられるFC保育園の推進

さらに、2020年で最も保育園を増やしたのは、FC保育園。この1年で2施設から10施設に増えている。しかし、何も拡大路線を推し進めているわけではなく、FC化こそ慎重にビジネスを進めているそう。

「ある媒体にFC募集を出したところ、3か月で100以上の応募がありました。でも、集まったのは儲け主義の人ばかり。この仕事は、子どもが好きで、人のためという気持ちがないと務まりません。お金儲けから入る人は絶対にダメ。マザーグースの看板を背負ってもらう以上、信用がかかっているので、そこを見極めて仲間を増やしています」

そう話し、厳しい経営者の顔をのぞかせる柴崎代表。今後は、保育園と老人ホームを融合した施設を開園させたい考えがあることも聞かせてくれた。柴崎代表のホスピタリティ溢れる理念があれば、高齢者向け事業との融合にも明るい未来が拓かれることだろう。

※2022年4月神宮前に企業主導型保育園オープン(2022年4月追記)

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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