サービス力

女性活躍の未来をえがく企業主導型の保育園“FC化計画”

株式会社マザーグースホールディングス

代表取締役

柴崎方恵

写真/片桐圭(リンガフランカ)文/松本理惠子 動画/プログレス | 2020.04.10

ベビーシッター事業、保育園事業で26年の実績がある株式会社マザーグースホールディングス。小規模保育園の運営ノウハウをもとに企業主導型保育園のFC展開を進める、その狙いとビジョンを聞いた。

株式会社マザーグースホールディングス 代表取締役 柴崎方恵(しばさきまさえ)

大学卒業後、ソニー株式会社に入社。結婚後は子育てと夫の事業の手伝いを両立することに。自身が仕事に出るあいだ、子どもを安心して預けられるベビーシッターを探すも満足のいくサービスが見つからず、1994年に神奈川県茅ケ崎市でベビーシッター業を起業。2年後、市の委託で0歳~3歳対象の小規模保育園事業をスタート。現在はベビーシッター事業、保育園事業、企業主導型保育園のFC事業、人材育成・派遣・紹介事業などを展開している。

「無いなら自分でつくっちゃえ!」

今から26年前にベビーシッター事業を始めたのは、「そもそも自分のためだった」と柴崎方恵代表は振り返る。

「独身時代はソニーで海外営業を担当するなど、バリバリのキャリアウーマンでした。結婚を機に退職し、すぐに子どもをもうけたのですが、夫がソフトウェアの会社を立ち上げたため、私も事業を手伝うことになったのです。

日中、私が不在の間、子どもを預けるベビーシッターを探しましたが、当時の神奈川県茅ケ崎市にはサービスがほとんどなくて。『それなら自分でつくっちゃえ!』と会社を設立して、保育のできる人材を集め、ベビーシッター事業と認可外保育施設での預かり保育を始めました」

営業活動といっても最初は新聞折り込みチラシを配ったり、大磯プリンスホテルに事業紹介のパンフレットを持っていくことぐらいだった。しかし、サービスを利用した保護者の口コミで、「良いベビーシッターがいる」「マザーグースの保育園は面倒見が良い」との評判が広がり、あっという間に利用者が増えていった。

「保育事業については全くの素人でしたので、公益社団法人全国保育サービス協会(当時はベビーシッター協会)に所属して、園の運営や入札のシステムなどを学びました。トントン拍子で創業から2年ほどの間に、プリンスホテルやヒルトンホテル、富士屋ホテルなどでの保育園事業が決まりました。さらに、茅ケ崎市が市立病院内の保育所を民間に委託したがっているとの話を聞き、入札を経て病院保育も始めることになりました。

自分のために始めた事業でしたが、私と同じように質の高い保育サービスを求める保護者がたくさんいたのですね。順調に会社が成長できたのは、時代のニーズに合っていたからだと思います」

5~6年前には茅ケ崎市から「認可保育園をやってほしい」との要請を受け、0歳~3歳児を対象にした保育園の直営事業にも乗り出した。現在、直営の認可保育園は茅ケ崎や東京目黒区など3カ所にある。いずれも園児が20名程度の小規模だ。

柴崎代表が“小規模保育”にこだわるのには理由がある。

「0歳から3歳までにたっぷり愛情を注ぐと、その後の発育発達に良い影響があることがわかっています。小規模保育では一人ひとりの子どもに保育士がしっかり関わることができるので、きめ細かなケアができるのが強みです。保育士にとっても余裕をもって子どもと関われるため、やりがいを感じてもらえます」

実際、マザーグースの保育園で働くスタッフに聞いてみると、「園児の成長を日々実感できてやりがいを感じる」や「保育でやってみたいことを代表に提案すると、安全に配慮したうえでどんどんやりなさいと応援してもらえるので楽しい」などの声が返ってきた。

スタッフの自主性を大切にしているという柴崎代表。子どもたちが伸び伸びと過ごせる場所を提供するには、先ずはスタッフが保育を楽しむ必要があるという。

また、スタッフ同士の仲が良いのもマザーグースの特徴だ。柴崎代表の息子で保育園の運営やスタッフのマネジメントを担当する柴崎賢一氏は言う。

Baby&Kids 園長/柴崎賢一氏

「うちのスタッフは根っからの子ども好きばかりが集まっています。今後は経歴問わず、自主性を尊重し、独立開業などの夢をもった方にも来てもらいたいですね。その夢を一緒に叶えたいです」(柴崎賢一氏)

働き方の多様性に応える企業主導型の保育園FC

マザーグースホールディングスの今後の事業展開について、柴崎代表はFC事業に力を入れていきたいとビジョンを語る。

「近年、福利厚生の一環として保育園を創りたいとの相談を企業から受けることが増えてきました。特に女性社員を多く抱える企業にとって、自営の託児所や保育園があることはリクルートのうえで大きなアピールポイントになります。当社では長年培ってきた小規模保育園運営のノウハウを提供し、企業主導型のFC保育園を増やしていく計画です。2020年3月時点で10カ所のFCが決まっており、今後3年間で100カ所にする予定です」

複数の企業で提携して1つの園を営業することも可能だ。また、社員の子ども以外に地域の子どもの受け入れも可能なため、待機児童問題にも貢献できる。

マザーグースのFCになることで、どんなメリットがあるのか。

「まず、企業主導型FCの保育園は分類上は認可外になりますが、内閣府が政策として勧めていることから認可と同等の助成が受けられます。

当社は協会に所属していますので、園立ち上げ時に10億円の保険に入れます。ベネフィット・ワンやリロクラブといった福利厚生会社の各種チケットや、厚労省が発行するベビーシッター割引チケットの利用もできます。また、保育園を運営するには3~5年の実績が必要ですが、FCは当社の実績のもとで運営を行うのでその点がクリアされるのもメリットです」

その他の事業展開としては、2年前に人材派遣と有料職業紹介の認可を取得し、フィリピンにグループ会社も立ち上げた。

「これらのリソースを活用して、全職種対象に人材派遣紹介事業を行っていきます。フィリピンからは英語ネイティブの人材を採用し、保育園での英語教育のニーズにも応えていきたいですね」

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vol.45

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