株式会社マザーグースホールディングス
代表取締役
柴崎方恵
写真/片桐 圭(リンガフランカ) 文/岡本 のぞみ(verb) | 2021.04.12
経営者と医者しかいない家系で育ちました。父の口癖は「サラリーマンにはなるな」。人に使われるのではなく、自分で道を拓くことを教わってきました。結婚して子どもができた頃、夫が事業を立ち上げるタイミングで私も手伝っていたので、ベビーシッターが必要に。しかし、地域に満足のいくサービスがなかったため、自分でベビーシッターの事業を立ち上げました。起業に抵抗がなかったので、なかったらつくればいいという発想です。結果として、夫の起業より私の起業の方が早かったんです(笑)。
当社のモットーは、一人ひとりのお子様に愛情深く接すること。0歳から3歳までにたっぷり愛情を注ぐと、その後の発育発達に良い影響があることがわかっています。特に保育事業では、小規模保育を実践し、通常よりも保育士の数を増やし、きめ細かいケアを実践しています。ベビーシッター事業でも小規模保育事業でもFC事業でも、良い人材を確保できているのも強み。風通しの良い職場環境を用意し、子ども好きなスタッフを採用しています。
春に誕生する新しい小規模保育や院内保育をうまく軌道にのせ、FCの保育園も着実に増やしていきたいです。FCの保育園では、世の中のために役立ちたいという女性の応援ができたらという思いもあります。当社のノウハウを使って、女性の活躍を推進したいですね。また、最終的な目標である保育園と老人ホームの融合についても、色んな人に公言していたので、協力してくれる方も出てきています。言ったもの勝ちですね(笑)。5年以内には実現したいと思います。
スタッフの自主性を尊重し、普段から“やりたいことは何でもやっていいよ”と伝えています。提案がとおれば、向上心もアップしていくものです。そのおかげか、今ではやりたいことを常に言ってくるような環境になっています。また、昨年からZoomのオンライン研修「Mother Caffe」を取り入れました。これは、離れた園のスタッフ同士で交流を図り、意見が出し合える場。現在は外部の研修に行けないので、看護師のスタッフを呼んで講習会を開く場としても活用しています。オンラインだと出かけなくても職場の休み時間に見られるので、気軽に参加できると好評です。
保育園と老人ホームを融合した施設をリゾート地の島に建設するのが夢です。以前から思い描いている夢でしたが、医療法人の方が協力してくれることになり一歩前進しました。やはり高齢者施設に医療体制は必要なので、この協力により、実現に向かって走り出した実感があります。株式会社マザーグースホールディングスは、もともと自分のために始めた事業でしたが、結果として社会のためになっています。老後の暮らしについても、自分の理想を盛り込むのがポイント。それがニーズにつながり、社会貢献になればいいと思います。
株式会社マザーグースホールディングス 代表取締役 柴崎方恵(しばさきまさえ)
大学卒業後、ソニー株式会社に入社。結婚を機に退職。出産後、夫の事業の立ち上げを手伝うため、ベビーシッターが必要に。身近に満足のいくベビーシッターサービスがなかったことから、1994年に神奈川県茅ヶ崎市でベビーシッター業を起業。2年後、市の委託で0〜3歳を対象とした小規模保育事業をスタート。現在は、企業主導型保育園のFC事業も始動し、東京・神奈川で事業を展開している。2022年4月、神宮前に企業主導型保育園オープン。
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