ヒラメキから突破への方程式

「新江ノ島水族館」を運営する江ノ島マリンコーポレーションが目指す“フィールドミュージアム構想”

株式会社江ノ島マリンコーポレーション

代表取締役社長

堀一久

写真/芹澤裕介 文/竹田 明(ユータック) | 2017.06.15

「新江ノ島水族館」を運営する江ノ島マリンコーポレーションの堀一久社長は、同施設が立地する地元、湘南・藤沢・江の島エリアの地域活性化として“フィールドミュージアム構想”を掲げている。その背景にある思いとは?

株式会社江ノ島マリンコーポレーション 代表取締役社長 堀一久(ほり かずひさ)

1966年、東京生まれ。1989年、慶應義塾大学経済学部を卒業し、住友信託銀行株式会社に入社。2002年に家業を継承するため退職し、株式会社江ノ島水族館に入社、専務取締役に就任。2004年2月、「新江ノ島水族館」のリニューアルに合わせ代表取締役社長に就任。商号を株式会社江ノ島マリンコーポレーションに変更。「新江ノ島水族館」のほか、「世界淡水魚園 アクア・トトぎふ」「相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはら」も運営。江の島水族館の創業者である祖父の堀久作氏は日活の元社長でもある。

“えのすいらしさ”を表現し江の島の活性化を目指す

堀社長と江ノ島マリンコーポレーションが目指す先は、“えのすいらしさ”の実現と継続。そのために、社長を筆頭に社員全員が、同社の「理念」「信条」「行動指針」を書いたクレドを持ち歩いている。

ただ、3つの軸だけでは変化や成長が起きない。そこで、それ以外にも「進化」「感動」「躍動」など、毎年異なるテーマを掲げ、全社員がそれに沿って行動しているという。

「“えのすいらしさ”を表現するために、従来にはない水槽の表現や『お泊りナイトツアー』といった夜の体験プログラムなど、みんなでアイデアを絞り出していろいろな工夫を凝らしてきました。近年、それが価値として、お客様にようやく伝わってきた感があります。

新しい企画やショーを考案し、情報を発信する時に、『えのすいならきっと楽しいよ』と思ってもらえる、そうやって信頼される水族館にようやくなってきたのではないでしょうか。今後もその“えのすいらしさ”を可能な限り表現し続けていきたいと思っています」

そしてもう一つ、江ノ島マリンコーポレーションとして注力しているのが、地元である江の島の振興、“フィールドミュージアム構想”だ。自社の施設に集客することだけを考えるのではなく、湘南・藤沢・江の島界隈全体を回遊性の高い観光スポットとして楽しんでもらうのが狙い。

「湘南・藤沢・江の島の観光客は年間約1860万人。10年前は1000万人ぐらいでしたから、1.8倍に伸びています。神奈川の2大観光地である鎌倉と箱根の観光客が年間約2000万人。江の島もあと少しで肩を並べられます。

年間180万人のお客様がいらっしゃる『新江ノ島水族館』は、湘南・藤沢・江の島の観光客の約1割が訪れている計算です。この割合を維持しながら、江の島の観光客を2000万人、2500万人と増やしていけば、当館の入場者も200万人、250万人と伸びていきます。

藤沢商工会議所や藤沢市観光協会、小田急電鉄、江ノ島電鉄など、江の島にゆかりのある官民が一致協力して、価値を高め、湘南・藤沢・江の島の活性化を実現したいですね」

ドルフィンパフォーマンスでおなじみ“アクアン”によるクリスマスコンサート。

創業者である祖父・堀久作氏から数えて3代目となる堀一久社長。設立65年の歴史ある企業でありながら、クレドにあるように、変わり続けることを自らに課すタフな精神が根づいているようだ。

4年目となる今年の「ナイトワンダーアクアリウム2017」は、「満天の星降る水族館」がテーマ(7月15日~)だという。さて、次はどんな新しい水族館を見せてくれるだろうか。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

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