技術力

複雑なデータと技術をシンプルに 新ツールの開発で企業成長に貢献

エクスチュア株式会社

CEO

原田憲悟

写真/芹澤 裕介 文/竹田 明(ユータック) 動画/ロックハーツ | 2022.01.11

複雑化するマーケティングテクノロジーの世界をシンプルにするためにスペシャリストが立ち上がった。各種のツールを使いこなしてきたマーケティングテクノロジーの専門家集団エクスチュアの原田憲悟代表がその人だ。

エクスチュア株式会社 CEO 原田憲悟(はらだ けんご)

1979年生まれ、鹿児島県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、一貫してデジタル業界で働く。その経験を生かし、エクスチュア株式会社を設立。Web解析の事業をベースに、企業のウェブ広告やサイト最適化のコンサルティングを行う。また、新しいツールやサービスの開発にも注力。マーケティングテクノロジーの経験は十数年、業界でもトップクラスの長さを誇る。

「分かりやすい」がキーワード

マーケティングテクノロジーの専門家集団として、多くのクライアントのビジネス上の課題を解決してきたエクスチュア株式会社。最近はWeb解析に止まらない事業展開を見せ、POSデータや会員のデータなど、企業のあらゆるデータを一元管理し可視化するビッグデータ事業も手掛けている。

「デジタルマーケティングにおけるツールの活用と、ビッグデータ分析のためのクラウド構築を両方手掛けている会社は、国内にほとんどありません。マーケティングテクノロジーで得たデータを、自社のシステムやデータベースで処理して有効活用し、ビジネスの拡大、会社の成長につなげるのが大事なポイント。

エクスチュアでは、マーケティングテクノロジーを活用した解析結果と、そのほかのデータを組み合わせて活用するサービスに、3年前から取り組んでいます」(代表取締役CEO・原田憲悟)

もう一つ、エクスチュアが新たに手掛けている事業がある。それは、自社ツールの開発である。エクスチュアが開発したツールをWeb解析ツールと連動させることで、サイトの全体像やそれぞれのページの状態が簡単に把握できて、サイト内での人の流れも一目瞭然。問題が発生している場所を特定して通知してくれるのだ。

「Web解析の目的は、サイトの改善。どこを改善しなければならないのか、それを一目でわかるようにし、複雑なことをシンプルにするのが、当社で開発した新ツールです」

エクスチュアがツールを開発したのは、Web解析ツールを使う際、顧客が求めていることを“シンプル”にしたかたちで提供するといった、同社の標語でもある「Making the Complex Simple(複雑なことを簡単に)」の思いが背景にある。

「専門家ではない一般企業のマーケティング担当者が、複雑化したWeb解析ツールを使いこなすのは大変ですし、ツールを使うことが目的では意味がありません。Web解析の結果を自社のビジネスにどうやって生かすかを考えるのが、彼ら担当者の本来の仕事。そのために、マーケティングテクノロジーを駆使してサポートするのがエクスチュアの仕事です。

クライアントとの会話においても、専門用語を極力使わず、課題を的確に抽出できるように心掛けていますし、当社の新ツールを活用すれば、Web解析ツールに習熟する必要がなくなります」

マーケティング担当者がWeb解析ツールを使いこなせれば、クライアント企業にとっては、マーケティングの機動力が上がり、施策のスピードも早くなる。そのために、エクスチュアは、専門家でなくてもWeb解析ができる自社ツールを開発したのだ。

AIを有効活用できれば、企業の成長につながる。一方で、AIを乗りこなす人材が必要になるという。

「マーケティングツールの複雑化に対して、コンサル側が複雑に伝えてしまうということは、クライアントの売り上げアップの機会を奪っています。複雑なテクノロジーを誰でも使えるようにシンプルにするというのは、“社会貢献”でもあると考えています」

複雑なツールを使いこなすスキルを独占すれば、エクスチュアは受注単価を上げられるだろう。スペシャリストとは本来そういうものだ。しかし、技術の独占は、クライアントの成長や社会の発展を阻害すると原田CEOは考えている。そして、新ツールの開発は、来たるAI時代をも見据えた展開である。

「AIが進化することで、データの出し入れや結果を集計するといった作業は人間がする必要がなくなり、データ分析はコンピュータが担当する時代となるでしょう。データ分析がAIの仕事になると、AIが出した分析結果を読み解くのが人間の役割となります。

つまり、AIを乗りこなす人間だけが、今後のマーケティングの世界で生き残ることができます。エクスチュアが目指しているのは、まさにその地点なんです」

ツールが出した分析結果を企業の担当者と一緒に具体的な施策へ落とし込む人材の育成が、エクスチュアの未来を形づくるのだ。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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