サービス力

採用と退職の専門家が実現! 独自の人材戦略でポストコロナの勝ち組企業に

採用実務支援会株式会社

代表取締役社長

松下智彦

写真/日野 裕太朗(株式会社コマーシャルブレーン) 文/中野 祐子(KEY NOTE) | 2021.09.10

採用定着士、EXIT(イグジット)マネージャーとして、中小企業の人材採用定着を支援。クライアントを「選ばれる・長く勤めたい会社」に変貌させ、起業1年にして業績を大きく伸ばす松下智彦氏。その人材戦略と、雇い手・働き手双方のプラスとなる「適材適所」を目指す思いを聞いた。

採用実務支援会株式会社 代表取締役社長 松下智彦(まつしたともひこ)

1984年、奈良県生まれ。関西大学経済学部卒業。大手専門商社からの転職のために登録した株式会社リクルートエージェンシーに入社。法人の採用コンサルティングを担当し、トップの成績を収める。その後、人材派遣会社の管理者としてキャリアを重ね、2020年1月に起業。「一般社団法人日本EXITマネジメント協会」設立。『退職勧奨と雇用調整の超実務』『お金をかけずに定着する人材を採用する』『新採用戦略ハンドブック』といった書籍も出版。

「誰にでも響く求人は、誰にも響きません」

大手人材サービス会社で中途採用支援、再就職支援、リストラクチャリングに携わり、トップアドバイザーとして活躍。優れた知識と豊富な経験を強みに「慢性的な人材不足に悩む中小企業こそ専門的な支援が必要」と起業した松下智彦氏。自身によるコンサルティングに加え、“採用定着士®”“EXITマネージャー™”という資格制度を構築し、独自のノウハウの継承も行っている。

「中小企業の採用で課題となるのが、採用決定者の初年度の理論年収の30%もする人材紹介手数料を支払えないこと、高額な求人広告に出しても応募が来ないこと。そこで、“複数の求人検索サイトに自動掲載される自社採用サイト”とその“作成ツール”を開発し、月5万円・年間60万円で提供しています。これは一般的な採用広告費と比べると破格の値段です。情報更新や応募者管理が一元で行え、採用の経費も労力も大幅に削減。そのため、その分を福利厚生など従業員定着のための費用に活用できます」

さらに、中小企業の採用のキーパーソンとなる経営者に直接アドバイスも行う。

「経営者に求める人材について伺うと、大半が『若い人』『コミュニケーション能力の高い人』と回答されるのですが、こんな抽象的な求人で応募は来ないでしょう。採用においてまず重要なのは、経営戦略です。未来を見据えた戦略、揺るぎない理念があれば、おのずと必要な人材像が見えてきます。その上で、社風や職場環境、仕事の魅力を掘り下げ、採用ペルソナを明確化。求人サイトの文章や写真を含め、具体的な採用戦略を展開します。応募数が少ないとの声も聞きますが、最も適した人が1人来てくれれば、数は必要ありません」

採用した人は、「目をかけてもらうことで定着につながる」ことから、時期を見て経営者による面談を推奨し、会社、仕事への満足度について改善点があれば対策を講じる。これらの手厚い支援による採用・定着効果は非常に高く、現在、契約数は70社を超え、好評を得ている。

“採用=入口”から“退職=出口”まで。適材適所の世の中に

採用定着事業だけでなく、退職勧奨支援事業も行っている松下氏。

「企業には経営状況や社員の問題などによって、退職を促すことが必要な場合があります。ただ、退職勧奨は大変デリケート。一つ間違えば、不当解雇、退職強要として訴訟や慰謝料の支払い義務を負いかねません。このリスクを回避する独自のプログラムを構築し、修了者には“退職=出口”の支援者という意味の“EXITマネージャー™”に認定しています」

EXITマネージャーの役割は、対象社員への退職勧奨の時期や退職金などのプロセスと質疑応答のシナリオを法律にのっとって設計。面談担当者をロールプレイング形式でトレーニングし、スムーズな合意退職を図るという。

「経営者とは胸襟を開いて話し合うこと」が松下氏のモットー。「熱い思いや高い志をもつ経営者、企業は伸びしろがいくらでもあるし、全力で支援したいと思います」(松下氏)。

「退職勧奨は決してネガティブなものではありません。企業側は新陳代謝を行うことで、経営の活性化が図れ、自社・職務に適した人材を新たに採用できる。退職勧奨を受ける側も今より適した会社・仕事が必ずあり、人生がもっと豊かになる。この “適材適所”こそが、経営や雇用、労働、社会にもメリットをもたらすと思います」

コロナ禍は採用にも影響しているが、今こそ経営戦略を見直し、人材獲得に力を入れることで中小企業の調子も上がり、ポストコロナでも勝ち残れるという松下氏。新たな採用・雇用形態に応じて、自身のノウハウも常にアップデートしている。

「最近は経営者や採用担当者に向けたオンライン面接の方法を指導。また、現在400人近くもいる採用定着士、EXITマネージャーに向けたオンラインセミナーを週に2、3回は行っています。『適材適所の世の中に』を目標に、私たちの入口・出口戦略を全国の中小企業で展開していきたいです」

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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