人材力

HR(ヒューマンリソース)×マーケティングの力で人と組織の成長を支援する

株式会社CareerGrowth

代表取締役

松井基明

写真/中田浩資(リンガフランカ) 文/桑原 恵美子 動画/プログレス | 2021.07.12

マーケティング観点を取り入れた採用・人事組織のコンサルティングを行っている株式会社CareerGrowth。人材サービス営業、事業会社の人事総務部長、ベンチャー企業のコーポレートマネージャーと多面的なキャリアをもつ松井基明氏に、「事業にインパクトを与える人事施策」の極意を聞いた。

株式会社CareerGrowth 代表取締役 松井基明(まつい もとあき)

1976年生まれ。大阪府出身。設計者を目指し、大阪工業大学短期大学部卒業後、機械設計会社に就職。その後リクルートグループに転職して人材営業部門を10年経験し、研修会社の営業マネージャーを経て、未上場の事業会社に人事担当として転職。JASDAQ、東証2部上場、1部上場を人事面で牽引する。DeNAグループにてソーシャルゲーム事業の採用組織の改革および経営管理を経て、2019年に人事コンサルティング会社「株式会社CareerGrowth」を設立。口コミ紹介で顧客が広がり、取引先は北海道から沖縄県まで全国に広がっている。

理屈通りにいかない人事だから人が介在する意味がある

少子高齢化による労働人口の減少が進み、これからは企業が求める人材の採用がどんどん困難になることが予想される。そうした状況を、人事とマーケティングのノウハウを掛け合わせた施策で打破しようとしているのが、株式会社CareerGrowth だ。

松井基明氏は設計士を目指して機械設計の企業に就職したが、閉鎖的な業界の雰囲気が肌に合わないと感じ、株式会社リクルートスタッフィングに転職。地元企業の新規顧客開拓や上場企業の担当営業などを通してさまざまな業務に携わり、小さなきっかけから予測不能な変化が起こる人事の面白さに目覚めていく。

オフィスは神奈川県茅ケ崎市にあるが、スタッフは基本リモートワークで、定例会議などもあるが全員が集まるのはオフ会での懇親兼ミーティングのみ。松井氏の趣味はサーフィンで、サーフィンをするために大阪から茅ケ崎市に引っ越したほど。

「機械設計の世界では、数字さえ合えば製品が完成していました。ところが人を相手にする人事の仕事は、どんなに理屈や条件は合っていても思い通りにならないことも多く、でもだからこそ、人が介在する意味があることを実感しました」

新たなフィールドを求め事業会社の人事部門に転職。上場を目指しているタイミングだったので急激に大きな事業成長を求められ、全国から多数のスタッフを集めなければならない切迫した状況だった。

「例えば1年間で保育士を1,000名以上採用するなど、ボリューム的に今までやったことのない方法でチャレンジしないと達成できないミッションが多かったのです。そこで当時はまだ人事では少なかったデジタル広告や、採用プラットフォームとなるサイトを自社で立ち上げるなど、採用とマーケティングを掛け合わせる新しい手法をいろいろと考案し、実施していきました」

人事施策にマーケティングの観点を取り入れる新たな手法に開眼した松井氏が、さらに自分の枠を広げるために飛び込んだのは、ソーシャルゲーム事業を行うベンチャー企業、DeNAグループだった。

「当時創業3年目の子会社で、組織としては未熟な部分がありましたので、採用後の生産性を上げる仕組みづくりなど事業構築にもかかわるようになり、その面白さにも目覚めました」

コーポレートマネージャーとして辣腕をふるう傍ら、同業の知人からの依頼で副業として人事コンサルティング業も開始。次第に顧客が増加し、サービス領域も拡大していったため、2019年に株式会社CareerGrowthを設立した。

「人事コンサルティングは採用、人事評価制度、労務、ハラスメント対応など領域が広く、各分野にサービス企業があります。それらを戦略的に網羅して活用できるのが弊社の強みです」(松井氏)。

依頼者と“正解”を創っていくプロセスの大切さ

「事業内容は大きく3つあります。1つは組織を大きくする過程で多くの人数を採用しなければならない企業向けの、採用または人事制度にフォーカスしたコンサルティング。採用効率を上げるノウハウを伝えたり、求職者にとって魅力的なコミュニケーションの仕組みづくり、多様な社員が活躍できる制度づくりのお手伝いをしています。最近増えてきているのが2つ目の『社外人事部長』事業で、社内の人事体制が整っていない企業を対象にした、事業推進にかかわる人事機能の実装や社員に対する支援です。3つ目は、大学のキャリアセンター向けの就職率を上げるための運営戦略のコンサルティングです」

人材サービスを売る営業側、それを買う事業会社の人事部長、事業運営側のポジションを経験し、幅広く多角的な知見があること、その知見にマーケティングの視点を掛け合わせていること、そしてパッケージではなく課題にフォーカスしたオーダーメイドのサービスを売っていることが大きな強みとなり、顧客は増加し続けている。

「とはいえ、こうした仕事に明確な正解というものはありませんし、成果が目に見えるのに数年はかかるテーマもありますので、依頼者とお互いに迷いながら、答えを創っていくしかありません。そうした長期的なつきあいのなかで、信頼していただけていると感じるときが、この仕事をしている意義を感じるときですね」

ビジネスの経営環境はここ数年で大きく変化しており、今後、企業の未来をデザインしていく“戦略人事”がより重要になっていくと松井氏は見ている。最近増えているのが、地方の中小企業からの依頼だ。

「地方には、実力も伸びしろもあるのに良きアドバイザーがいないために、伸び悩んでいる中小企業がたくさんあります。そうした企業に、事業成長を支える上場企業レベルの “戦略人事”を提供したい。インパクトのある人事施策を通して、弊社が上場企業輩出の補助エンジンになるのが目標です」

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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