刺激空間から革新が生まれる

“ナンバーワン”にこだわったジュリアン・オピーが映えるオフィス

GMOインターネット株式会社

代表取締役会長兼社長・グループ代表

熊谷正寿

写真/宮下 潤 動画/アキプロ 文/福富 大介 | 2015.12.10

真っ白な空間に浮かび上がるシンプルでモダンなアートの数々。ここはGMOインターネットグループのオフィス、アートは全てジュリアン・オピーだ。本物のアートで彩る贅沢なオフィス空間、そこには代表の熊谷氏がこだわり続けるナンバーワンというキーワードが隠されていた。

GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長・グループ代表 熊谷正寿(くまがいまさとし)

1963年、長野県生まれ。東証一部上場企業グループのGMOインターネットグループを率いる。「すべての人にインターネット」を合言葉に、WEBインフラ・EC事業、インターネットメディア事業、インターネット証券事業、ソーシャル・スマートフォン関連事業を展開。グループは上場6社やGMOクリック証券などを含む67社、スタッフは3,200名。

アートの力でビジョンを示しクリエイティブな感性を磨く。

「初めて本物のアートと出合ったのは、アンディ・ウォーホルの『マリリン』です。父が経営する店に飾られた作品を日常的に目にしている内に、本物のアートだけが持つ力を感じ刺激を受けました」

現在は、自らもアートに投資するようになった熊谷氏は、イギリスの現代美術界を代表するアーティスト、ジュリアン・オピーの作品に強く惹かれるようになる。

「私の生き方や経営、インターネットの本質、全てが“シンプル”というキーワードで括れます。経営もシンプルにしたいし、人生もシンプルに生きたい。

インターネットに至っては、突き詰めれば0か1かの極めてシンプルなもので構成されている。必要最小限の要素で構成されたミニマルな表現でありながら、描かれた人物の個性や特徴を強く印象づけるオピーの作品に通じるものがあります。

アートも経営もシンプルが一番。最も自分を表現できるアートとしてオピーの作品を集中的に収集した結果、コレクションは70点を超えました。これは、アジアでナンバーワン、世界でも有数のコレクション数だそうです」

何気ないオフィスの日常にオピーのアートがある環境。作品が映えるよう、内装や家具は白を基調にしている。

そんなオピーのアートは、GMOインターネットグループのオフィス内、エントランスをはじめ会議室や廊下、コミュニケーションスペースなど、至る所に惜しげもなく飾られ、スタッフたちの日常を見守っている。この贅沢な環境は、アートに造詣が深い人にとっては垂涎の的だろう。しかし、なぜオフィスにアートを飾るのだろうか。

「GMOインターネットで働く約4,500名のスタッフの内、約40%がクリエイターまたはエンジニアです。モノをつくる仕事に就いている彼らに、本物のアートと日常的に触れ合ってもらい、クリエイティビティを刺激したいという思いがあります。実際にオピーを知っているスタッフや、アートに関心のあるスタッフからは好意的な反応が得られました。

ただ、全てのスタッフがオピーについて知っているわけではない。そこで今年、初の試みとしてアート展を企画しました。『熊谷コレクション|オフィスとアートの新しい関係|ジュリアン・オピーの世界』と題したこのアート展では、当社グループのオフィス空間をギャラリーに見立て、一般の人たちにも公開しました。

アート展を開くことで、多くの方々がオピーの作品を観に駆けつけてくれる。その様子を目の当たりにすることによって、本物のアートの力に気付いてほしいというのが一番の狙いです。またアート展を開催すれば、これまでお断りせざるを得なかった『オフィスにあるオピーの作品が観たい』という一般の方々のご要望にも応えられます」

熊谷コレクション~オフィスとアートの新しい関係~ジュリアン・オピーの世界。2015年、11/7(土)、8(日)にアート展が開催された。社内公募で手を挙げたボランティアスタッフが当日の運営を担当し、来場者数は1000人を超えた。

結果として、2015年11月6日に行われたレセプションパーティには約300名、11月7日・8日の一般公開では2日間で約1,000名の来場があった。予想以上の盛況ぶりに熊谷氏も大きな手ごたえを感じたという。

「もし私がいろいろなアートをポリシーなくコレクションしてアート展をやっていたら、1,000名以上もの来場者を集めることはできなかったでしょう。オピーという最も自分を表現できるアートに一点集中しているからこそ、そしてナンバーワンであるからこそ、多くの人に来ていただけたのです」

主題への新しいアプローチ方法で製作されたオピーの作品。動きのある人々を極限までシンプルにLEDで表現している。

“ナンバーワン”というのは、熊谷氏が常にこだわり、スタッフにも常に求め続けているキーワードだ。そのこだわりはオフィス空間に浸透している。

「多くの方の笑顔のためにナンバーワンのサービスを提供する、これが私たちの思いです。人は社会に出て多くの時間をオフィス空間で過ごします。だからオフィス空間は、その会社が目指している夢やビジョンを表現していなければならない。

ニセモノのアートが中途半端にある空間で成し得る仕事より、本物のアートが最も多くあるナンバーワンの空間で成し得る仕事の方が、ナンバーワンのサービスを提供するという会社のビジョンに相応しいのです」

ナンバーワンの空間、それはアートだけによって実現されているわけではない。充実した福利厚生、スタッフをサポートする社内コンシェルジュなど、数々の施設や仕組み、どれにおいてもナンバーワンというこだわりを持っている。

「ビジネスは生きるか死ぬかの真剣な気持ちで臨むもの。そういう意味で『ビジネス』の日本語訳は『戦(いくさ)』だと常に言っています。私はスタッフにすべてのサービス、プロダクトでナンバーワンであることを求めます。

しかし、十分な後方支援がなくて戦に勝て、ナンバーワンになれとは言えません。だから、スタッフが過ごすオフィス空間は、アートも福利厚生も含め、すべてナンバーワンでなければならないのです」

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

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DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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