未来を創るニッポンの底力

創業50周年を迎える靴下総合企業

靴下ひと筋の老舗タビオが「スピード」を重視する理由

タビオ株式会社

代表取締役社長

越智勝寛

写真/芹澤裕介 文/竹田 明(ユータック) | 2017.10.10

未来を創る底力【1】「伝統と最新技術の融合」

工場での手仕事風景

店舗写真

タビオの創業者である越智直正会長は、靴下への愛情とこだわりでは誰にも負けない“靴下の神様”と呼ばれたカリスマ経営者。同社では店頭にパネルを置いて靴下作りの様子を紹介するなどして、昔から会長の靴下作りへの熱い想いを、お客様に伝えようと試みてきたが、うまく伝わらないもどかしさを感じていた。越智勝寛社長は、インターネット時代の現代だからこそ、会長の想いを届けられると考えている。

「ITを使いこなす現代では、企業の姿勢や商品のスペックを細かく伝えられます。昔の白黒写真を店頭に飾るだけでは訴求力は低く、靴下作りへの想いは伝わらなかったものですが、デジタルと融合させてサイネージで動画のようにオシャレに見せれば、若い世代も当社の靴下作りへの想いに共感してもらえます」

製品に込められた作り手たちの想いやこだわりは、ストーリーとして製品の付加価値となる。消費者に伝わりやすい方法を積極的に採用するのが、越智勝寛社長のやり方なのだ。

未来を創る底力【2】「靴下界のリーダーに」

メンズソックスのディスプレイ

ファッションアイテムとして、スーツやシャツをはじめ帽子、鞄、靴などは、こだわりを持った製品が高い価値を持つとされているが、靴下はまだまだ“こだわるべきアイテム”として認められていない感がある。それは靴下業界が、高品質の靴下の魅力を発信してこなかったからだと越智勝寛社長は語る。

「鎌倉シャツさんが登場するまで、一般のユーザーがシャツにこだわることは少なかったですよね。鎌倉シャツさんが高品質なシャツの魅力を広めたからこそ、今やシャツにこだわる人が増えたんだと思います。靴下業界には、鎌倉シャツさんの役割を果たした会社がありませんでした。靴下業界全体でこだわりの靴下が求められるようになるために、高品質な靴下の魅力を伝えていく必要があります。タビオがその一翼を担いたいと思っています」

レディースは、品質よりもデザイン性が重視されるが、メンズは品質が大事。男性のなかには、実は靴下の履き心地にこだわっている人が少なくない。メンズにこそ、タビオがこだわっている品質を追求できる素地があるのだ。

未来を創る底力【3】「知る人ぞ知る名作ロングホーズ」

ロングホーズソックス

▲「TabioMEN」の名作ロングホーズ「9×2つやリブビジネスハイソックス」1400円(税抜き)

ギンザシックスなど、東京駅近辺への出店を増やしているタビオ。その狙いは、メンズユーザーの拡大にある。タビオの独自調査の結果、レディースブランドである「靴下屋」を知っている女性は9割に上るが、メンズブランド「TabioMEN」を知っている男性はまだ1割ほどだという。メンズこそ、最高品質のこだわり靴下がマーケットとして成立する可能性があると分析している越智勝寛社長は、ロングホーズ(スーツ用ハイソックス)を勧める。

「通気性の良い素材を使っているから、夏場でも履けるハイソックスです。人前で足を組んだとき、ズボンの裾が上がって脛が露出することがありますよね。ハイソックスなら肌が見えません。ちょっとした足元のオシャレです。それに、歴史的に見たとき、スーツにはハイソックスがオーソドックスなスタイルでした。最初はゴムがなくて、吊りベルトで留めていたんです。ゴムが開発されて現在のようなハイソックスとなり、生地面積が少なくなれば安く仕上げられるという理由でソックスは短くなったんです」

ヨーロッパでは、スーツにロングホーズを合わせるのがエチケットとさえされている。足元のオシャレを演出するだけでなく、タビオは日本人の服飾文化まで考えている。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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