運を磨くは“趣味”次第
リストランテ ビーチェ東京
代表取締役
アンジェロ ビジガリ
写真/高野長英 文/石川博也 | 2014.06.10
リストランテ ビーチェ東京 代表取締役 アンジェロ ビジガリ(あんじぇろびじがり)
イタリア・ロンバルディア州ミラノ生まれ。 16歳でアメリカ・カルフォルニア州のスクールへ。卒業後は豪華客船内のレストランで働き、サービスやホスピタリティーを学ぶ。1999年に来日。フォーシーズンズ椿山荘(現ホテル椿山荘東京)内にあったBICEに勤務。現在は、カレッタ汐留47階にあるリストランテBICE東京の社長として活躍中。
1999年に来日したアンジェロさんは、東京・汐留にあるイタリアンレストランの代表でありながら、日本食の食べ歩きを趣味とする。奥様が日本人で、自宅で家庭料理を食べているうちにすっかり日本食の虜になってしまったとか。
「日本食のレストランに行くと、料理の味はもちろんですが、雰囲気やサービスの素晴らしさにも驚きます。自分も料理人なのでいろいろと勉強になりますね」
特に素晴らしいと語るのがバランス。イタリア料理のコースは、味つけこそ変われど、食感は全体を通して似ていることが多い。しかし、日本食は違う。
「例えば、懐石料理の場合は、味付けも食感もまったく違うものが次々と出てきます。でも、最後まで食べると全体として調和がとれている。そこに驚きますね」
バランスの良さはどんな日本料理にも言えると語るアンジェロ社長。贔屓にしている店のひとつ、鰻の名店「五代目 野田岩」でもそれは同じだ。
「まずは雰囲気。日本の伝統的なレストランを感じさせる和の設えは、外国人のお客さんをお連れした時にも好評です。鰻は焼きながらタレをつけているから、身がふわふわとしていて柔らかい。これには毎回感動させられます。
イタリアで鰻を調理する時はスチームするので身がかたくなるんです。タレも濃すぎず、ご飯もベタベタしていないから、鰻とのバランスが完璧。お店に入るとスタッフの方全員が挨拶してくれるところも素晴らしい。おもてなしの心を感じますね。
これはボスの考えをスタッフ全員が共有しているからこそできること。いいパフォーマンスをするためには重要なことですよね」
仕事もスターがひとりいればいいというわけではない。チームでの力が大切だ。日本食の店は、野田岩もそうだが、そこが強み。そこから学ぶものがあるとアンジェロ社長は言う。そして、ほかにもお気に入りの日本食の店として、芝公園の「とうふ屋うかい」や神谷町の「醍醐」、銀座の「すし善」などを挙げてくれた。
「日本料理は、季節に合わせて食材や料理の内容が変わるだけでなく、お皿まで変わる。このあたりもイタリア料理にはない発想です」
家族や友達、ビジネスパートナーなど、これまでさまざまな人たちとテーブルを囲んできたアンジェロ社長。多種多様な人たちと会話を交わすことが勉強になるというが、その際にテーブルを盛り上げる演出のひとつを日本料理が担っているのかもしれない。
vol.56
DXに本気 カギは共創と人材育成
日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社
代表取締役社長
井上裕美