“超”私的エクストリームな瞬間

【ハイブリッドYOSAKOI】

世の中をあっと驚かせたい

株式会社DDホールディングス

代表取締役社長グループCEO

松村厚久

写真/堀口 守 動画/トップチャンネル、文/高橋光二 | 2017.01.23

2010年10月に飲食業界初の“100店舗100業態”を達成。奇想天外な発想で会社を急成長させてきた松村社長が率いるよさこいチームは、「高知よさこい祭り」初出場にして「審査員特別賞」を受賞。松村社長が「よさこい」にかける情熱とは?

株式会社DDホールディングス 代表取締役社長グループCEO 松村厚久(まつむら あつひさ)

1967年3月29日生まれ、高知県出身。日本大学理工学部卒業。89年、日拓エンタープライズ入社。95年、独立して日焼けサロン経営。96年、エイアンドワイビューティサプライを設立。2001年に飲食業に初参入し、銀座で「VAMPIRE CAFE」をオープン。以降も独自の発想によるコンセプトレストランを次々と打ち出し、02年に株式会社ダイヤモンドダイニングに社名変更。07年、大証ヘラクレス上場。2011年「100店舗100業態」を達成。2015年に東証1部上場。2017年9月に持株会社体制に移行したのに伴いDDホールディングスに社名変更。直営店は国内外で約480店舗展開(2020年5月)。2015年に発売された『熱狂宣言』(著・小松成美、幻冬舎刊)の中で、自らが若年性パーキンソン病であることを公表。2018年11月4日、自身主演のドキュメンタリー映画『熱狂宣言』が公開された。

毎年8月9日の前夜祭を皮切りに、4日間にわたって開催される高知市の「よさこい祭り」は、踊り子と観客が一体となって熱狂する土佐の夏の風物詩。今年、その大舞台で見る人のドキモを抜き、話題をさらったのが、会社を挙げて参加したダイヤモンドダイニングよさこいチームだった。

「それは、それは、ものすごい反響でした。8月10日・11日の本番では、200を超える参加チームが創意工夫を凝らした地方車(じかたしゃ)と呼ばれる音響車を先頭に、華やかな衣装をまとった踊り子たちが乱舞して歩くのですが、うちのチームの“突き抜け方”は半端じゃありませんからね。よさこいの伝統と原宿のポップカルチャーをミックスした演出は観客を湧かせ、地元メディアでも連日のように大きく取り上げられました」

巨大な紫の象とピエロを描いたポップカラーの地方車には多数の照明と特注のLEDモニタを設置。白煙を噴き上げながらカラフルな衣装を身に付けた踊り子たちをけん引する様は、おとぎの国からやってきたサーカス団のパレードさながら。「ハイブリッドYOSAKOI」をコンセプトに100名で組織されたダイヤモンドダイニングよさこいチームは、初参加にして異例の『審査員特別賞』に輝いたのである。

「世界一のエンターテイメント外食企業を目指すダイヤモンドダイニングとして、出来る限りの力を尽くしました。総合プロデューサーとして迎えた小田吉男氏(株式会社リンクアップ代表取締役CEO)を筆頭に、衣装や地方車を増田セバスチャン氏、オリジナルの楽曲制作をRAM RIDER(ラムライダー)氏、振り付けはTEMPURA KIDZ(テンプラキッズ)氏にお願いしました」

2014年8月10日・11日に行われた「第61回よさこい祭り」本番で「審査員特別賞」を受賞したダイヤモンドダイニングよさこいチームのメンバーと話題の地方車(写真後ろ)

そんな錚々たるメンバーが力を集結し、「ハイブリッドYOSAKOI」にふさわしい唯一無二のよさこい踊りは実現した。

「当初、よっちゃん(小田吉男氏)には『高知市から“出入り禁止”を食らってもいいから、世の中があっと驚くようなことやってくれ』と頼みました(笑)。おかげで、踊り子たちも相当気合が入ったようです」

それにしても、なぜ松村社長はここまで「よさこい祭り」に力を注いだのだろうか。

「高知は僕の郷里。ダイヤモンドダイニングが東京から参加することで、高知の祭りを広く知ってもらえると思ったのです。それに、僕は『遊びの中に仕事がある。仕事の中に遊びがある』と考えていますからね。

『仕事は遊び』というと語弊があるかもしれませんが、ルーティンな働き方からはいいアイデアは生まれないし、楽しくない。よさこい祭りを通じて、社内にもそんなダイヤモンドダイニングのDNAをさらに伝播したかったという思いもあります」

松村社長の言葉のとおり、今回よさこいチームに参加した社員は日々の業務をこなしながらのハードな練習も、初めて訪れた高知での本番もトコトン楽しんだという。

「夏の暑い盛り、職場へ向かう前の早朝練習は本当に大変だったと思います。しかも高知に向かう前日は台風11号が接近して、飛行機は欠航。社員は東京の本社前から深夜バスに乗り、16時間かけて高知に向かったのですが、彼女たちは疲れた素振りを見せることなく、笑顔で会場に乗り込んだのです」

高知「よさこい祭り」の後、よさこいチームが参加した「原宿表参道元氣祭スーパーよさこい2014」で松村社長(写真左)と、地方車と衣装の制作・監修を担当した増田セバスチャン氏(右)。

そしてついに迎えた本番当日。会場で合流した東京の社員チームと高知で公募した地元の踊り子チームに、動画投稿サイトで人気のエンターテインメント集団「ODOROOM」が加わった総勢100名のダイヤモンドダイングよさこいチームは、中央公園競演場のステージに立った。

「それでは今日も開店します! いらっしゃいませー!」の掛け声とともに地方車のスピーカーから響きはじめたRAM RIDER作曲の『YOSAKOI☆BEAT』。そのリズミカルな音楽に合わせ、地方車の上で盛んに団扇を振り続ける松村社長の姿に、踊り子たちは手にした鳴子を鳴らし乱舞した。

「圧巻でした! これまでも土佐料理の『わらき屋』を都内で展開、高知県観光特使としての活動に取り組んだりしてきましたが、これほどの感動を多くの人たちとともにし、ダイヤモンドダイニングのエンターテインメント性を広くアピールできたのは初めて。今後も、『飲めや、食べや、歌えや、踊れや』の高知の心意気で、世の中があっと驚くようなことをしかけたいですね」

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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