人材力

創業15年で売上高20億円に 次なる野望は「世界で一番!」

株式会社誠和工業

代表取締役

文入圭輔

文/宮本 育 | 2020.06.10

22歳で誠和工業を設立、苦難の時期を耐え抜き、売上高20億円の企業にまで成長させた文入代表。まだ道半ば――。海外事業や加速する多角化経営などについて聞いた。

株式会社誠和工業 代表取締役 文入圭輔(ふみいり けいすけ)

1983年生まれ、北海道札幌市出身。16歳で建築・建設業に進み、2006年に誠和工業を設立、2年後に株式会社化。2020年4月で創業15周年を迎え、高層マンションや公共建築物などの施工を中心に業績を着実に伸ばしている。近年では元請工事も担当。2017年1月より海外事業としてミャンマーでの足場施工・リース業もスタート。2019年には運送部門を分社化し「G・S・K」を設立。ほか飲食店、フラワーショップ、スポーツジムの経営など、多角的に事業を展開している。

義理と人情に厚い業界で芽生えた野心

文入代表は若くして父となった。「大切な家族を守るには、稼がなければいけない――」。年齢に関係なく受け入れてくれるだろうと、16歳で建築・建設業の世界に飛び込んだ。

まさに義理と人情に厚い業界。まだ10代でありながら、一家の大黒柱として希望とやる気に満ちた彼を一人前の大人として扱い、温かく見守る人々がいた。その一方、“少年”としか見ない者や、理不尽な言いがかりをつけてくる者もいた。ただ若いというだけで頭を下げなければいけない場面もあったが、「今に見てろよ」と歯を食いしばり耐えること7、8年。次第に幼い頃から胸に抱いていたひとつの野心が目を覚ます。

「とにかく“一番”になりたくて仕方がなかったです。そうすれば、納得のいかない相手に頭を下げなくてもいいですから。技術的にも誰にも負けない自信はあったので、なおさらその思いは強くなる一方でしたね」

そこで文入代表は起業を決断する。従業員は自身を含めわずか2名。当時は請負工事がほとんどなく、他社の現場に出向き、昼も夜も汗を流す日々が続いた。それでも徐々に請負工事の発注が入り始め、同時に従業員も増加。3年目にして売上高1億2000万円、従業員数は22名に。人ともつながり、仕事もまわりだす。次第に企業としても安定していった。

そして、同社は次なるステージ、海外進出へと駒を進めた。舞台として選んだのは、まだ開発途上国の多い東南アジアのなかでも、“未開の大市場”と呼ばれるほど高い経済成長が期待されるミャンマー。現在、インフラ整備に乗り出す企業が次々と動き出している。

「2017年1月から建築・建設工事で使う足場材のリース事業をスタート、『ミャンマー誠和工業シンセリティー』を設立しました。現地採用した従業員にも、弊社が培ってきた足場の組立・解体技術を約3年かけて習得してもらいます。現地だけで仕事を請け負える体制を整えるためです。他にも、重機やトラックなど、リース商品のラインアップも増やしていこうと考えています」

ミャンマーでは現地のゼネコン会社と契約を締結。

ゆくゆくは、タイへ進出した日系企業が次の焦点を当てているカンボジアや、近隣諸国への展開も視野に入れているという。

当然、海外だけでなく国内でも経営の手を緩めることはない。

2019年6月には運送部門を分社化し「G・S・K」を設立。ほか、飲食店、フラワーショップ、スポーツジムの経営に不動産事業にも参入予定と、破竹の勢いで経営の多角化を推進している。これらは経営のリスクヘッジとなるほか、近年の新型コロナウイルスによる失業者の受け皿になりたいという代表の思いも込められている。

起業した当初の売上高は1600万円だったが、今や協力会社も含め100名の人員を抱え、約50の現場を動かしている。売上高も2019年期は20億円に達した。

今後の売上げ目標をたずねると、「どこまでも伸ばしたいし、まだまだ伸びる──」とのこと。ならば起業当時に描いていた“一番”に、あとどれくらいで追いつくのか聞いてみた。

「先へ進むごとに、今いる場所よりも、もっと上を目指すようになって(笑)。当時の“一番”と、今の“一番”の規模が違っているんですよね。だから、“一番”にはまだ近づいていないんじゃないかな」

一国一城の主として多くの従業員を牽引する立場になれど、希望とやる気に満ちた“少年”だった頃の文入代表は、まだまだ健在のようだ。

建設業界に対する“3K(危険・きつい・汚い)”という負のイメージを払拭する計画の一環として、オフィスもリニューアル。社員同士がコミュニケーションをとれるようリフレッシュスペースを充実させた。文入代表お気に入りのバナナの木も存在感を放つ。

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vol.56

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