技術力

環境意識の高まりに欠かせない“清掃”サービス 生産性や収益向上の付加価値を提供

株式会社for you

代表取締役

小林和樹

撮影/芹澤裕介 文/土屋文宏 | 2021.09.10

清掃業界で20年間培ってきた経験と、専門性、提案力を生かし、株式会社for youを運営する小林和樹代表。社会が大きく変わるなかで“清掃”が果たすべき役割とは?

株式会社for you 代表取締役 小林和樹(こばやしかずき)

1980年生まれ、千葉県出身。高校卒業後、調理師専門学校へ進学し料理人になるも、20歳のときに地元の先輩に誘われて清掃業界に入る。2年間のアルバイトを経て正社員に。26歳の時に現場の責任者が独立した会社に移籍。そこで9年間、現場の責任者を務め、2014年、34歳のときにフリーランスとして独立。2017年に法人化し、株式会社for youを設立。

物質的に綺麗にするだけではない“プラスアルファ”を提案

株式会社for youは千葉県香取市の清掃会社。関東一円で、ホームクリーニングや施設メンテナンスなどの清掃サービスを提供している。

「清掃ビジネスには社会を変える力があり、そのためには、清掃ビジネスに携わる人間が、自分たちの仕事に誇りと目的意識を持つ必要がある」という小林和樹氏。明るく元気な現場づくりや、高付加価値のサービス提供による清掃ビジネスの単価アップなどを通じて、清掃業界の「きつい」「汚い」「危険」という“3K”イメージからの脱却に取り組んできた。しかし、2020年、コロナウイルスにより思わぬ影響を受けることとなった。

「コロナウイルスの影響は非常に大きいものでした。例えば、成田空港では90%以上の飛行機が止まり、お客様もいらっしゃらないため、清掃が必要ない状態に。業種問わず同じことが言えるため、10年以上付き合いがあったクライアントからも依頼がこなくなってしまいました。そんなことは今までになく、予測もしなかった状況で本当に衝撃でしたね」

それでも今やれることをひとつずつ進めていくなかで、失った案件もあれば、新規のクライアントもある状況と語る小林氏。ウイルスに関連した新たなサービスも求められるようになってきたため、for youの強みである“提案力”や“専門性”が生きるという。

「例えば、エアコンの分解清掃なら、最後に消毒をすることで安心して使っていただける。また、防菌・防臭効果を得られる光触媒も安全性が高く、飲食店などさまざまな施設でも使用できるので、新規のクライアントにも専門性の高いサービスを提案させていただいています。

もちろん、飲食店などは運営自体が厳しい店舗もありますから、コストがネックになることも少なくありません。そういったことも踏まえて、コスト面と私たちが対応可能な点をバランスしながら、できる限りの清掃をさせていただいています」

コロナウイルス下で変わっていくニーズを捉えて柔軟に対応する一方で、小林氏は通常の清掃サービスで店舗や施設を美しい状態に保つことが、よりクライアントのビジネスにとって高付加価値となると考え、改めて通常のサービスの提案にも積極的だ。

「定期的にエアコンのフィルター清掃や分解清掃をするだけでも、空気環境はガラっと変わる。キレイなお店の方がお客様は来店しようと思われるでしょうし、綺麗な病院の方が医師や看護師、患者さんも治療に専念できると思うんです。だからこそ、まず通常の清掃サービスがあり、プラスアルファとして消毒などがあると考え、セットでの提案も積極的に行っています。

世間の環境意識も高まっている状況なので、剥離が問題になるワックスは塗らないといった清掃方法や、飲食店であれば臭いの元になるグリース・トラップの清掃で石鹸化衛生工法などを提案させていただいています」

清掃を通してどこまでできるのか、常に考え、自問自答しているという小林氏。コロナウイルスで社会は変わっても、清掃で社会を変えるという目標は変わらない。

コロナ禍だからこそ思いついた“新しい清掃ビジネス”

コロナウイルスの影響によって状況は大きく変わったが、清掃を通じて社会に貢献するという目標は変わらないという小林氏。コロナ禍でも新たな取り組みを進めている。

「去年からやりたいと思っていた洗車事業に向け、事務所を移転しようと考えています。そこで貸しガレージをやりつつ、いらっしゃったお客様の車の洗車をしようかと。

また、新しい事務所には“清掃体験ルーム”のような施設をつくる計画も立てています。ホームクリーニングの仕事に行くと、お客様の『それ、私もできそう』という声を本当によく聞くので、ここで清掃を体験したお客様にプロの機材を貸し出し、自分で清掃していただけたらと思っています。清掃の解説動画なども制作したいですね。清掃の方法や手順さえわかれば簡単な作業もありますので、知らない人を家に入れることに抵抗がある方もいらっしゃいますし、訪問することで感染するリスクを避けることにもなる。

これは、コロナウイルスがあったからこそ思いついたことなんです。これからも、清掃の可能性を示していくことで、社会に貢献できれば幸いです」

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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