スピリット力

札幌発のアスレジャーブランド『E.I.A.S.』をプロデュース

株式会社lysco

代表取締役社長

岡田健詩

写真/守澤佳崇(AROUND 80)文/宮本 育 | 2019.03.11

札幌を拠点に電気・内装・イルミネーション事業を展開する株式会社lyscoの岡田健詩代表が、ファッションブランド『E.I.A.S.』を立ち上げる。異業種に参入するその意図は?

株式会社lysco 代表取締役社長 岡田健詩(おかだ けんじ)

1980年生まれ、北海道札幌市出身。札幌商業高等学校(現:北海学園札幌高等学校)卒業後、実家が営む電気工事会社に就職。その後、他社で約7年間、経験を積んだのち、2008年に株式会社lyscoを設立する。電気・内装・イルミネーション事業を行なう一方、2019年内にファッションブランド『E.I.A.S.』(エイアス)の立ち上げを予定している。

店舗などの電気工事を中心に、内装・イルミネーション事業を手がける株式会社lysco。新装移転した新しいオフィスの階下にショップの陳列台などを製造する工場を設け、これまでにない電気工事会社としてトータルな空間づくりを提供している。

そんな同社が、オリジナルファッションブランド『E.I.A.S』(エイアス)を、2019年内に立ち上げる予定。異業種への参入に踏み切ったのである。

「『E.I.A.S』とは、“Electrical Inspiration And Sensitivity”の頭文字を取ったもので、“電気のような閃きと感性”という意味。出発点は電気設備の企業で、『初心を忘れない』という想いと、自身の強みでもある『閃きと感性』をブランド名に託しました。誰もが振り返るような、個性派メンズファッションです」と岡田代表。

ターゲットは、30代後半から40代の男性だが、ボーイズライクなオーバーサイズが好みの女性も楽しめる。パーカ、Tシャツ、セットアップ、キャップなどが当面のラインナップを予定している。

「まずは自分が着たいデザインをつくり、地元・札幌から発信。それをきっかけに、札幌を盛り上げたい」と岡田代表。

そもそも、ブランド立ち上げのきっかけは、高校時代から始まったという岡田代表のスニーカー好きが高じたもの。現在、100足ほどを所有しているが、これらのコレクションを前に、いつも思うことがあったという。

「スニーカーを見渡して、“今日はこのスニーカーにしよう”と決めるのですが、どこかしっくりこない。面白くないんです。その理由は、ド派手なデザインのスニーカーにぴったりハマる、洋服のバリエーションが少ないということでした。それならば、自分で作ってしまおうと。それがすべての始まりです」

そこで、スニーカーの存在感に負けない、デザインの参考になりそうなビジュアルを次々と集めた。カラフルな昆虫、エキセントリックな幾何学模様、ビビットな色彩の風景画……。これらをヒントに岡田代表自らデザイン画を描き続けると、次第にブランドのコンセプトやデザインが続々と閃くように。

「僕はトレーニングも趣味で、よく体を鍛えていましたので、トレーニングウエアを普段使いできたら面白いんじゃないかと思ったんです。今、アメリカで注目されている“アスレジャー”ですね。ちょっとした外出にも着て行けて、そのままジムに行ってトレーニングもできる。そんな服を北海道札幌から発信したいと思いました」

新事業立ち上げに伴い事務所も新装移転。まるでバーのような雰囲気で、スタッフが自由に過ごせる空間を意識した。

“アスレジャー”とは、“アスレチック(運動)”と“レジャー(余暇)”を組み合わせた造語で、始まりは、ヨガウエアを普段使いするアメリカの女性たちの間で広がったファッションスタイル。これの男性版を札幌から発信しようという考えだ。

機能性とデザイン性を兼ね備えつつ、ブランドコンセプトである“電気のような閃きと感性”を彷彿とさせる蛍光色をポイントに入れる。もちろん、ド派手なスニーカーとの相性も抜群だ。思い描いていたものが、徐々に輪郭をなしていく。

「ファッションについて何も知らなかった人間が関わり、違う視点で服づくりを行なったら、面白いものが出来るんじゃないかって」

既成概念にとらわれず、自らの感性に従ったモノづくり。それは、岡田代表が続けてきた電気工事事業にも通じる。工事が終わると、片付けもそこそこに次の現場へ向かう他社が多い中、そこに甘んじることなく、自社のサービスを見出し、付加価値を添え続けてきた。

分野は違えども、顧客が喜ぶ根底にあるものは同じで、“痒いところに手が届く”発想と、“こういうものが欲しかった”というニーズが合致すれば、人は手を伸ばす。

今はまだデザインに試行錯誤している最中だが、アイテムが揃い次第、Webによる販売を開始する。お披露目会やポップアップストアといったイベントも視野にいれつつ、ゆくゆくはウィメンズブランド『E.I.A.S. beauty』もリリースする予定だ。

「自分のやりたいこと・興味のあることに従って突き進むだけ。工事現場に行ったり、アパレルの打ち合わせをしたり、目が回るほど忙しいですが、ワクワクしています」

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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