株式会社ジーアイビー
代表取締役
鈴木 衛
写真/スギヤマオサム 文/小幡奈々 動画/ロックハーツ | 2022.05.10
株式会社ジーアイビー 代表取締役 鈴木 衛(すずきまもる)
1970年生まれ、岐阜県出身。大学卒業後、会計事務所に7年間勤務。2000年、中小企業にコンサルティングサービスを提供するセンチュリオンコンサルタンツ株式会社を設立。2003年、友人と税理士事務所を開設し副所長に就任し、2009年MBA修得(AACSB)。2010年、株式会社ジーアイビーを設立し、2015年よりコインランドリーFC事業を開始。1000社を超える会社と携わった経験を活かし、コインランドリーの新しいビジネスモデルを全国展開している。
諸説あるが、日本ではじめて本格的なコインランドリーができたのは、1963年、東京・赤羽だったそう。およそ60年の歴史があるなか、コインランドリーに新たなビジネスチャンスを見出したのが、株式会社ジーアイビーの代表、鈴木衛氏だ。
「30歳で設立したコンサルティング会社では、売上アップと事業拡大が大きな経営課題となっている、中小零細企業の事例をたくさん見てきました。そうした社長たちの力になれないかと常に考えていましたが、在庫を抱えたり、貸倒れのリスクもなく、不動産のように資産形成ができ、なおかつ現金商売のビジネスはないかと模索していたとき、たどり着いたのがコインランドリーだったんです」
2021年度、中小企業の倒産件数は6030件(東京商工リサーチ調べ)。57年ぶりに低水準になったものの、コロナ禍での資金繰り支援で抑制された企業も多く、返済が本格化すれば倒産件数が増加する可能性も否めない。コインランドリーのFC事業がどのように中小企業の救世主となりうるのか。
「まず、事業モデルは現金商売で人件費がいらず、固定費は家賃ぐらい。粗利益率は75%、収支構造は完璧。また、利回り8%~12%の店舗、機械の稼働率は12%~17%というメーカーデータ、伸びしろがまだまだある。主なユーザーは主婦層ですから、主婦の方々にとって便利な立地場所はどこかと考えたら、『商業施設だ』と。
ショッピングセンターの駐車場に設置すれば、お客様は買い物をしている間に洗濯ができ、時短になります。FCオーナーは、売上増・事業拡大に。機器メーカーは、新たな販売ルートを求めていて、ディベロッパーは、土地のさらなる有効活用ができて独自のサービスを提供可能になる。こうした4つのニーズに応えるべく誕生させたのが、『ブルースカイランドリー』です」
FCモデルを引っ提げて大型商業施設を中心に営業をかけたが、当初は「コインランドリーなんて」と相手にもされなかった。しかし
「私たちは、コインランドリーの洗濯場のつもりはなく、コインランドリーで“ライフスタイルを売りたい”のです」
鈴木社長のその言葉が商業施設の部長を動かし、一年がかりで第一号店のオープンに漕ぎ着けると、2カ月もしないうちに次の出店の契約が決まった。
「上手くいくビジネスには、3つのポイントがあると思うんです。一つは、流行や景気に左右されないこと。二つ目は、マーケットが未成熟であること。三つ目は、継続的に優位性を発揮できること。まずは、集客力の高い立地選びが重要ですし、金融・財務に強い当社のスキルを活かして収益性を割り出し、広告宣伝といったブランディングもサポートします。この業界は管理料を固定料金でもらうのが定石ですが、私たちは変動制です。要するにオーナー様が軌道に乗らないことには、私たちも赤字になる仕組みなんです。“WIN×WIN”であるために、オーナー様との伴走体制も大切にしています」
2021年にはLINE公式アプリをスタートさせ、2022年4月時点の会員数は12万人。ほどなく30万人を超えると見越している。災害対応型コインランドリーも新たに展開し始めた。
「ニーズはあるものではなく“創るもの”。だからこそ、潜在ニーズの掘り起こしをするために、LINEを用いてマーケティング戦略ができるシステムを構築しています。目標は、『5年後、500店舗展開』ですが、私たちが目指すのはその先の“化学反応”。コインランドリーを媒体としてオーナー様とつながり、ビジネスマッチングやスタートアップの小さな会社を結んでいきたい。そういう意味では、コインランドリーは手段の一つ。
『さまざまなNEEDS(ニーズ)を組み合わせてWIN×WINを提案する。』
これを実行し、一人でも多くの方に、より豊かで快適なライフスタイルをお届けします」
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