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工事現場から屋外イベントなどで大活躍!全国から注目を集める「簡易屋根トラス」

「簡易屋根トラス」【仮設資材レンタル・販売】

文/宮本 育 | 2020.01.31

すべての建設現場に屋根を──その思いから生まれた全天候型仮設屋根「簡易屋根トラス」。低コスト、容易な組立・運搬の仕組みを生み出し、特許を取得した同技術は、今では、工事現場をはじめ、屋外イベントなどで活用されているほか、災害時の一時避難所としての可能性も秘めている。各業界から注目を集める「簡易屋根トラス」の誕生のきっかけや、施工事例などを紹介する。

「簡易屋根トラス」【仮設資材レンタル・販売】  

高知県高知市にて1973年設立した関西仮設株式会社。「仮設だからといって手を抜かない」をモットーに、建設現場で活躍する人々の命を守ることを使命に、「簡易屋根トラス」のほか、働きやすい足場「次世代足場」や「エア・フォールド ネオ」など最先端の安全資材をはじめ、枠組、仮囲い、ユニットハウス、タワークレーンなどのリース、仮設施工計画、施工請負工事を手がける。常に、オリジナル性を武器に付加価値の高い提案で勝負をするというスタイルで、業界のナンバーワン・オンリーワンを目指している。

日建リース工業株式会社
代表取締役社長
関山正勝
1967年東京生まれ、獨協大学経済学部経営学科卒業。1990年富士銀行(現みずほ銀行)入行。1997年日建リース工業入社。経営学修士(MBA)などの資格取得を通じて経営の基礎を学び、2012年から現職。著書に『第三創業の時代―成熟に打ち克つ事業構想力』がある。

Q:「簡易屋根トラス」との関わりについて教えてください。

改修工事における効率的な「屋根システム材」を提供してくださる企業を探していたところ、魅力ある商品に出合えました。

Q:「簡易屋根トラス」の最大の強みは何とお考えですか?

軽量なトラス形状のフレームと枠組足場材での構成です。

Q:「簡易屋根トラス」の施工実績のなかで、最も印象に残るものは何ですか?

浅草「浅草寺」入り口の改修工事です。

Q:「簡易屋根トラス」は今後どのような事例に向いていると思いますか?

冬季による「積雪養生」に向いていると思います。

Q:吉末社長と関西仮設株式会社の魅力、強みを教えてください。

チャレンジ精神による実行力が吉末社長の最大の強みですね。
 

過酷な作業環境で働く人々のために生まれた新技術

尾道にあるお寺改修時の「簡易屋根トラス」。

1973年設立以来、建設工事に関わる、仮設資材や仮設機械のリース・販売に携わってきた関西仮設株式会社。さまざまな現場を経験する中、同社代表取締役社長の吉末達弘氏は、胸に去来する思いがあった。

「弊社の強みである仮設資材を使い、過酷な作業環境の改善ができないか。そして、安全・安心を提供できないか」

激しく降る雨、吹きすさぶ風や雪、うだるような暑さの直射日光と照り返しに晒されながら作業をする、現場の人々。いくら安全面や作業員の体調を考慮したとしても、天候は変えられない。次々と予定している工程への影響や竣工期日を考えれば、どんな状況下でもひたすら現場で働かなければいけないのが現状だ。その過酷さは想像に難くないだろう。

その過酷な環境を改善したいという熱い思いから生まれたのが、全天候型仮設屋根「簡易屋根トラス」だ。

これまで多くの工事現場で採用され、特に環境が重視される文化財改修工事で活躍。ほかにも、屋外イベント会場として利用されるなど、活用の幅が広がっている。

「簡易屋根トラス」 4つの強み

「簡易屋根トラス」は、工事現場すべてをすっぽりと囲む。簡易なブルーシートとは違い、上部からの雨・雪・直射日光を遮るので、作業環境が向上する。さらに、近隣への粉塵飛散や騒音によるトラブルも軽減できる。

しかも、トラス本体以外は、従来の仮設足場部材をそのまま使うことができるので、テント倉庫に比べるとかかるコストが低い。加えて、トラス自体が分解可能で、運搬が容易。組立においては特別な知識を必要とせず、通常の作業の延長で設置することができるのも特長だ。

そして、簡易屋根トラスを設置することで、天候に左右されず、工程スケジュールを組めるというのが最大の強みと言える。特に、建物の基礎となるコンクリートの養生を行なう際に、その力を発揮することだろう。コンクリートは非常にデリケートな材料で、適切な温度や湿度を保たなければひび割れてしまうのだ。そのため、施工のタイミングが難しいが、簡易屋根トラスを設ければ、天候を気にせず実施でき、施工期間短縮も図れる。

活用用途は工事現場だけではない。簡易作業所、屋外イベントの仮設会場、さらには災害発生時の一時避難場所や医療施設、救援物資の保管場所として活用できるなど、利用者のニーズに合わせてさまざまな使い方ができる。

野外映画館から重要文化財まで、さまざまな活用事例

【東京/浅草寺 雷門】

東京の観光名所である浅草寺。そのシンボルである雷門の屋根瓦補修工事が2017年6月から約4カ月間にわたって行なわれた。この現場に簡易屋根トラスが採用された。

浅草寺には、国内外から年間約3000万人が訪れるため、工事中も景観を損なわない考慮が求められたという。そこで考えたのが、雷門を覆うように設置した簡易屋根トラスの前面に、原寸大の雷門をプリントした幅約21m、高さ約12mのシートを被せるというアイデア。さらに、大提灯の下をくぐれるように足場も組んだため、観光客は通常どおり参拝でき、遠くから眺めると、いつもの雷門がそこにあるように見えた。
このような工夫ができるのも、簡易屋根トラスならではと言える。

【高知/城西公園 特設野外映画館】

2014年秋、安藤桃子監督による映画『0.5ミリ』の先行上映のため、高知市にある城西公園内に、特設野外映画館が設営された。この映画館も簡易屋根トラスによるものだ。

映画のロケ地でもある高知で先行公開しようと、当初は、中心部に残っていた元劇場の再開が構想されていた。しかし、設備が不十分と判断し、使用することを断念したという。そこで、高知城を望める城西公園に特設野外映画館をつくる計画が持ち上がった。

約150席収容可能で、防音シートも完備。スクリーンや座席などは、閉館した劇場から譲り受け、仮設とはいえ、本格的な映画館が完成。2カ月の上映期間中、約1万人を動員した。

【愛知/明治村内 重要文化財】

愛知県犬山市にある博物館明治村。その中に、1909年に建設された重要文化財がある。
木造平屋建銅板葺で、中央には円錐ドーム、両翼屋には寄棟の屋根。正面の左右には小さなドームが乗った角塔が添えられている。

110年以上も経つ建物ゆえ、老朽化が進み、2019年3月より改修工事が行なわれている。改修工事には、周囲への粉塵飛散を防ぐ目的で、テント倉庫で建物を覆うのだが、この建物は独特な形状のためかなわず、簡易屋根トラスを採用することとなった。

特に、屋根の改修工事では、長期間、雨を防ぐ必要がある。簡易屋根トラスで雨をしのげるため、雨天に左右されず工事を進めることができる。

【熊本/天草市複合施設】

2020年4月からの開館に向けて、現在、建設中の「天草市複合施設」。図書館、保健センター、市民活動の場という3つの機能を備えた施設で、健康診断に来た人が図書館での読書を楽しんだり、図書館に来た人が市民活動に興味を持つなど、興味や好奇心の好循環、新たな交流の機会が生まれる施設になるのではないかと期待されている。

この施設の屋根に木材を使用することになったが、工事期間中、悪天候が予想された。工事期間は約2カ月間。その間、雨ざらしの状態では、変色など品質を落とすことになる。どうしても雨から屋根材を守る必要があった。そこで、敷地内に簡易屋根トラスを設置。屋根材の一時的な保管場所とした。

このように、建材の品質保持ための資材置き場として活用できるほか、広さを自在に調整できるため大掛かりな重機などを保管する車庫としても利用することができる。

ほかにも、作業員の安全を考えた商品を開発

簡易屋根トラスで、作業環境が大きく改善された。しかし、これだけではない。同社は、ほかにもさまざまな商品を開発している。

例えば、「伸長ピン」。枠組足場に使用する商品で、これを用いれば、作業空間の高さを1700mmから1900mmへ拡張することが可能だ。

現在、作業空間の広い次世代足場が主流になっているが、ねじれや横揺れに対する強度面から枠組足場を選ぶ現場も少なくない。伸長ピンを使えば、次世代足場の広さと、枠組足場の強度を兼ね備えた、安全な環境が実現するというわけだ。もちろん、作業空間が広くなれば、作業員の体の負担も軽減できる。なかでも、狭い足場内を、体を屈ませて行き来する際の腰への負担が軽くなるといったメリットがある。

ほかにも、「凍っているのにやわらかいタオル」もある。商品名のとおり、冷凍庫で凍らせて使用するタオルで、冷凍しても布の繊維がくっつかず、やわらかく凍る。特に真夏の現場作業は、暑さとの戦いでもあり、熱中症対策が不可欠。比較的軽い症状だとしても、めまいや立ちくらみで大きな事故に至ることもあるからだ。

タオルにはメントールが含まれており、爽快感も抜群。1枚ずつパッケージされているので衛生面も心配ない。使用した後は、洗濯してタオルとして使うこともできる。

工事現場に携わるすべての人の命を守る。その使命のもと生まれた商品が、今日もどこかの現場で活かされている。
 


 

関西仮設株式会社
〒781-1152 高知県土佐市用石655-7 関西仮設ビル 2F
TEL 088-843-1122
FAX 088-828-7101
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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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