スーパーCEO列伝

人材のシナジーを生む“ナナメ”のつながり ロールモデルの多さが誰かのアンサーに

文/山岡ソースケ、山岡リホ 写真/鶴田真実 | 2018.08.10

DDホールディングス 人材開発3つのキーワード

【DDよさこいチーム】女性が輝く真夏のステージ!

DDグループにおける大きな社内イベントのひとつに、毎年夏に開催される「よさこい」がある。高知県観光特使でもあるDDHD代表取締役社長・松村厚久氏の故郷、高知県高知市にて行われる「よさこい祭り」に、女性を中心とした有志の社員が出場し、毎年大きな盛り上がりを見せている。

本社や店舗といった所属、先輩や後輩、職種や役職にかかわらず、すべての社員が「よさこい」というひとつの目標に向かってチャレンジする“熱い”場所。この現場での地位は、踊りの習熟度のみによって決められ、いくら役職が高く、普段は怖い上司であっても、踊りをマスターできていなければ厳しい指導の対象となるのだとか。

「普段はどちらかというと怖がられる側の私が、このときばかりは怖がる側に回っていました(笑)。それぐらい教える側は熱心ですし、上司・部下、役職・職種によるしがらみがないんです」(向山さん)

厳しいながらも熱のこもった指導に、時には悔し涙を見せる社員もいるという。

「通常あまり接点を持つことがない本社と店舗が、『よさこい』を通して密接に連携することで、お互いへの理解にもつながっているんです」(佐々木さん)

普段は見ることができない素の表情をお互いが知ることにより、業務だけでない、人としてのつながりが、本当の意味での信頼関係を築くベースになっている。

また、この「よさこい」イベントは、社員が輝くチャンスの場にもなっている。例えば、普段は事務的な仕事で縁の下の力持ち的なポジションについている人であっても、このときは舞台でスポットライトを浴びて人を感動させる主役になれる。「ここでの活躍をきっかけに、社内で有名人になった社員もいるんですよ!」とは佐々木さんの弁。先に述べた“ナナメ”のつながりは、こういった取り組みからも得られている。

【権限委譲】任せるものは徹底的に任せる

DDグループは、社歴に関係なく手を上げた人には徹底的に任せる社風。その代表的な事例が、「九州 熱中屋」で知られるゴールデンマジックの代表取締役社長・山本勇太氏だ。

株式会社ゴールデンマジックの代表取締役社長・山本勇太氏

山本氏は2004年9月にダイヤモンドダイニングにアルバイトとして入社し、その後、店長、エリアマネージャー、統括部長としてキャリアを積んでいく。そしてある日、同社社長の松村厚久氏から資本金1億円とともに子会社の社長に抜擢される。2009年5月に株式会社ゴールデンマジックを設立した山本氏は、めきめきと頭角を現し、2017年に目標の「100店舗」を達成している。アルバイトから4年で社長へというサクセスストーリーは、DDグループならではといえよう。

社員を信頼して仕事を任せるという社風は、松村氏の理念でもある。ルールで縛りつけず、自由な環境のなかで裁量を与えれば、社員は責任感を持って考え抜き、工夫しながら成長していく。そして、実績を上げた人に対しては正当に評価する。これこそが社員の個性を引き出し、組織を成長させるための鍵となると考えているのだ。

事実、社員は「何でも任せてほしい」というタイプの人材が多いという。ある社員は26歳にして事業部長の職務を任され、10店舗以上の運営を統括している。中小企業にも勝る数百人規模の社員を、この若さでまとめあげているのだ。

DDグループはM&Aも積極的に行っているため業態も幅広く、キャリアプランも多岐にわたる。「何かをやりたい!」という熱い想いを実現するためのステージが、ここには備わっているのだ。

【インターンシップ】自由な発想には“マナー”が必要

DDグループでは、就職活動中の学生に対して6種類の1day・インターンシップを実施している。

少人数の座談会形式で会社説明を聞けるリクルートカフェや、グループワーク後に立食パーティー形式で社員と交流できる就活応宴会、おもてなしのスペシャリストから接客の極意を学べる講座、DDグループが取り組む地方創生プロジェクトの立ち上げ体験、新店舗のブランド開発ワーク、サービス全国大会優勝者によるおもてなし体験と、その内容は魅力にあふれている。

会社説明会の様子。熱のこもったスタッフの説明に聞き入る就活生

これらのインターンシップから2種類に参加することで、一次選考の合格権がプレゼントされるという特典もあるため、就活におけるメリットも大きい。入社前にDDグループの理念や社風をよく理解し、納得した上で入社することで、実際に働き始めてからも採用側・雇用側にギャップが生じにくい。

インターンシップのような魅力的な試みは、入社後にも用意されている。新入社員研修では合宿を通して、どこに行っても通用するスキルを身につけることになる。社内でのキャリアアップだけでなく、その後のキャリアチェンジの可能性にも対応できる社会人基礎力が学べるのだ。

DDグループがこれらの取り組みに力を入れている理由は、自由に個性を生かすためには、人として当たり前のマナーが重要になると考えているから。「社会人としての基礎がなければ、どれだけ優れた発想も実現することはできない」と向山さんは語る。

このように、DDグループは社員の自己実現を最大限に尊重し、新しい試みにチャレンジできる機会を多数設けている一方、インターンシップや新入社員研修を通して理念の理解を促進し、組織を発展させられる人材開発に努めている。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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