人材力

自由と自律の精神で常に“要件”以上を目指す

ユーグロナコンサルティング株式会社

代表取締役

徳島健治

写真/芹澤 裕介 文/竹田 明(ユータック) | 2021.02.10

Q1昨今叫ばれるデジタル化、DXについてどのようにお考えですか?

一般論として「デジタルに弱い高齢化した組織」がDX化を阻む足かせになっていると言われています。しかしそれはあくまで大企業や大手SIerでの論点です。中小企業についてはその評価以前の話でしょう。

同様に私たちのような小規規模なITサービス業はこれまで専門性の高さで重用されてきた半面、それゆえ敷居が高く、組織・人材・スキルの硬直化、高齢化は必至です。これまでの強みが逆に足かせになる危険がある。ただでさえ大手も含めERP業界についてはここ10年あるいはそれ以上、プロジェクトの登場人物は変わらず、コンサルタントは高齢化、そのスキルはガラパゴス化している。

日本や社会全体としてではなく、あくまで自社の課題としての答えになりますが、必要とされている、されていないに関わらず、いわゆる2025(2027)年の崖から真っ先に転落させられてしまう可能性があるのはほかならぬ私たちだという自覚が必要と考えています。もちろん転落させられるつもりはありません。

Q2仕事で心がけていることは何でしょうか?

現場のリーダーやマネージャー、また経営者としては勿論、一担当者、アドバイザー的な役割の場合でも、常に考えていることがあります。先月まで、あるいは先週まで、別の人間が役割を担っていて、その人間が残念な結果しか出せず、その代わりに自分が請われて着任した、と想定してみることです。

「自分がその立場ならどうするか?」人はどうしても自分のやってきたことを正当化してしまいがちです。冷徹に自分のやってきたことを見直し、客観視するコツのようなものですね。

一方で、逆に前任者のことは否定的な見方をしてしまいがちで、過剰に仕組みを変えようとし、現在の日本の政治状況ではないですが、変革や見直しが異常なほど自己目的化し、結果としてよかったことが真っ先に切り捨てられるという事態も多くあります。

なので本当に自分が前任者の代わりに着任した場合は前任者の立場ならという姿勢を持つことも大切だと思っています。つまり逆の立場ならどうするかを考えるということでしょうか。

Q3貴社の強み、特徴を教えて下さい。

プロジェクト支援における専門性の観点では、業務に強く要件定義などの上流工程やプロジェクト管理等に当社の強みがあります。また幅広さの観点では、ERPパッケージや基幹業務支援ソフトの導入に関して、特定の製品にこだわらず幅広いニーズに応えられることです。

お客様にとって、ERPパッケージや基幹業務支援ソフトの導入で解決したい課題はさまざま。複数の製品を扱えることで、参画できるプロジェクトの幅も広がり、人材育成にも良い影響があります。

Q4経営理念について教えて下さい。

個人の自由を尊重し、それぞれの価値観、仕事への向き合い方などを会社や組織に合わせるのではなく、双方で重ね合わせられる柔軟な体制や自由な風土を醸成することを常に考えています。その結果として目指していることは、個人が自律的にお客様や社会に貢献できるような組織ですね。

Q5貴社の人材育成について教えて下さい。

人材育成は、何よりも採用段階でポテンシャルを見極めることがすべてだと考えています。また、いろいろな経験から、「しょうむない人間がでかい顔をしたり、出世していたりする組織は、その組織がしょうむないからである」という自分の持論めいたものがあります。

そうならないよう、尖っていたり、面倒くさそうな人でも、そこに何かを感じれば即採用します。また、今現在からその先が右肩上がりか右肩下がりか、水平飛行かは、職務経歴書や履歴書の過去の実績だけを漫然と読んでも見えません。経歴や実績を点として、その点をつなぎ未来に向けた方向性を読む。その方向性が上に向かっていれば、現状のポジションや実績は関係はありません。

その人の考え方や姿勢と点のつながりが示すものの齟齬がなければ。だから、面接では、とりとめもない世間話。そのほうが、人間性やポテンシャルが見えてくるんです。

ユーグロナコンサルティング株式会社 代表取締役 徳島健治(とくしま けんじ)

複数のSIer等で会計系システムのSEとして設計・開発を手掛け、調査・分析、制度設計およびシステム基本構想・企画などコンサルティング業務にも従事。2003年にERPコンサルティングを主な事業ドメインとするユーグロナコンサルティング株式会社を設立し、代表取締役に就任。個人の自由と個性、自律性を重視した経営スタイルで、ベンダーやSIerから厚い信頼を得ている。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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