Y's EXPRESS株式会社
代表取締役
吉川直樹
写真/大崎聡 文/船山壮太 | 2013.10.10
Y's EXPRESS株式会社 代表取締役 吉川直樹(よしかわ なおき)
2008年に運送業界に入るため北海道から上京。数ヵ月間ドライバーとして稼働したのち、Y's EXPRESS株式会社を設立。ドライバーから事業としての運送業を展開している。30名の契約ドライバーに加え、グループドライバー800名以上で幅広い軽貨物を扱う。
昼はスキー・スノーボードのインストラクター、夜はすすきので飲食店のカウンターに立っていた。吉川社長、20代のこと。転機は突然。膝を壊し、2ヵ月の入院を余儀なくされた。
「仕事は順調だったし、退院後、好条件で迎えてくれるという話もいただきました。ただ、結婚するタイミングでもあったので、嫁から『夜の商売は辞めてほしい』と告げられ……。何をしようかと考えていた時に、関東に運送業で成功している先輩がいるという噂が入り、話を聞きに行きました」
その先輩と言うのがKBT-GROUPの岩本敦詞社長。何でも10代からの付き合いで、札幌で一緒に住んでいた時期もあるほどの仲だとか。そこで、運送業の可能性を見出し、上京を"決断"するに至った。とはいえ、まったくの新天地、不安はなかったのか。
北海道時代はスキーのインストラクターを経験。生徒からもらった寄せ書きや写真などは大切な思い出。
「どうにかなると思っていましたね。夜の商売をしていると、辛いことや無茶ブリばかりですから、その苦労に比べたら何でもできるかなと。一番すごかったのが、ウォッカの瓶を3本飲まされたこと(笑)。どんな仕事、状況でも、あれより辛いことはありません」
ドライバーを始めて2年間は一日も休みがなかった。でも、過酷な労働条件も、すすきの時代に比べたらたいしたことはない、と笑う。そして、上京から2年後の2010年にY's EXPRESS株式会社を設立。現在、30名のドライバーを抱え、すでに6名が独立を果たしている。急成長の裏には、サービス業出身ならではの考えがある。
「私たちは運送業ではなく、サービス業だということをドライバーに伝えています。エンドユーザーに接する機会が多いので、いかに気持ちよく荷物を受け取ってもらえるかを考えることが、差別化につながると思っています」
「洋服買いに行ったら入るのがなかったんです。これはマズいと思って」と、30キロのダイエットを敢行。ひたすら自転車に乗り続けた。
見知らぬ土地で事業を展開するという、過酷な状況をなんなくクリアした吉川社長。この経験さえあれば、どこの土地でも事業を広めていけるという自信にもつながった。今後は地元である札幌に支店を出した後、東北、甲信越、北関東へと勢力を拡大し、東日本を制覇したいという。
「西日本は同グループの阿部観社長(愛商物流)が進出するそうなので、東日本は僕がやります(笑)。私たちのグループで軽貨物便のシェアを独占していくことが目標です」
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