刺激空間から革新が生まれる
株式会社アカツキ
代表取締役 CEO
塩田元規
写真/宮下 潤 文/福富 大介 | 2015.02.10
株式会社アカツキ 代表取締役 CEO 塩田元規(しおたげんき)
1983年 島根県出雲市生まれ。横浜国立大学電子情報工学科を経て、一橋大学大学院MBAコース卒業。株式会社DeNA新卒入社、アフィリエイト営業マネージャー、広告事業本部ディレクターを経て、退職後にアカツキを創業。共同創業者であるCOO香田哲朗氏とは、学生時代にワークスアプリケーションズのインターンシップで知り合った。
中目黒と代官山のちょうど中間、ファッショナブルな街の一角にアカツキのオフィスはある。中に一歩足を踏み入れると、そこはまるで大自然の中のすてきなコテージ。小鳥のさえずりが聞こえてきそうな緑に包まれた佇まいに、初めて訪れた人は誰もが驚く。
「この場所に移転したのは2012年。当時は会社を設立して間もない頃で、お金に余裕なんてありませんでした。それでもオフィスにこだわったのは、僕たちのビジョンに共感し、ビジネスの成功を目指してくれるメンバーと自然体で、ワクワクしながら仕事に向かえるカルチャーをつくりたかったから」と、同社CEOの塩田氏。
遊び心溢れるオフィス環境は、「社員の“心”と“感情”にフォーカスしたカルチャー投資の一環」と語る。
「分かりやすく言えば、“毎朝、出勤するのが楽しみになる会社”。さらには、社員に『自分の子どもを入社させたい』と思ってもらえる会社にするためにも、最高の環境をつくりたかったんです」
実際、アカツキの社内で行き交う人たちは、誰もが気さくに挨拶を交わし、肩をたたき合い、それぞれお気に入りの場所で自由に会話を楽しむ。
「自然の温もり、心地良さを五感で楽しめる空間にいると、人はおのずと優しくなれるんです。だから、社内で『叱る』『怒鳴る』『罵る』人は一人もいません。一人ひとりが自分らしくいながら、ほかのメンバーを思いやり、互いの成長を支え合える環境をつくるのが、経営者の仕事だと考えていますから」
塩田氏が描く企業像とは、「人間的魅力に溢れる最高の人たちがつながり、次世代の日本、世界を代表する一流の人材に成長できる場」。オフィスのレイアウトやデザインも、その信条や経営ビジョンの根幹にある“原則”と“哲学”を明文化した「アカツキハート」を体現したという。
「人間は、自分以外の人や社会とつながることを通じて、より豊かで幸せな人生を送れる。だから、メンバーが行き交うオフィスの中央には、メンバーのコミュニケーションを促し、自由にディスカッションできるオープンスペースを配置。そこに本棚やドリンクバー、縁側、和室などを設けることで、より自然体で自分らしく仕事に集中できるようにしました」
ほかにも、メンバー同士、自由にブレストできる“移動式ドラム缶デスク”があったり、部屋の仕切り壁に文字が書ける“ブレストガラス”が設置されていたりと、数え上げたらきりがない。社内の至るところに会話を生み、クリエイティビティを発揮する仕掛けが施されているのだ。
そんなアカツキの日常は朝9時から始まる。服装は自由だが、土足は厳禁。まずは、先のオープンスペースに全員が集まり、ボールを投げたり、キャッチしたりしながら、24時間以内にあった「Good&New」をシェアするコミュニケーションタイムへの参加が決められている。
「僕は、自由だけど規律がある、大人だけど子どものようにピュアでいられる、厳しいけれど思いやりにあふれている、といった二律背反を成立させる会社であり続けたいと思っているんです。そうした文化が根付いている組織こそ、クリエイティビティな人材を育て、社会貢献につながるアイデアやサービスを生み出せる。そう考えています」
そんな「アカツキハート」の哲学は、確実に社内カルチャーとして浸透し、メンバー一人ひとりが自ら考え、行動し、魅力的なサービスの実現へとつなげている。
事実、アカツキはこの3年間で売上高成長率1,070.46%を記録。2014年11月には、有限責任監査法人トーマツが発表した国内のテクノロジー・メディア・テレコミュニケーション企業を対象とした収益成長率ランキングで第3位に輝いた。
「学生時代から、世界規模で継続的に価値を生み続ける最高の会社をつくろうと決めていました。その事業活動としてモバイルゲームを選んだのは、ゲームをつくる人も、ゲームで遊ぶ人も、毎日ワクワクできるし、幸せになれる強い力があると確信したから。
世界を変えたベンチャー企業として、よくGoogleが取り上げられます。現時点では、アカツキはGoogleに劣る要素はたくさんあるかもしれません。でも、将来的にアカツキがGoogleを超えられない理由はひとつもないと僕は思います。だから、近い将来、アカツキはGoogleを超えて、世界中の人の心を動かし、幸せと向き合える最高の会社になれると確信しています!」
vol.56
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日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社
代表取締役社長
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