人材力

今の時代に求められるIT人材とは? ITスクールでヒューマンスキルを習得し“提案できる”エンジニアに

株式会社リヴィティエ

代表取締役

佐藤 紗耶子

写真/海老澤芳辰(リンガフランカ)文/竹田 あきら(ユータック) | 2020.12.10

ITエンジニアとして、長く業界を見てきた株式会社リヴィティエ代表の佐藤紗耶子氏。今、ITエンジニアに求められるスキルが変化していると考えている。

株式会社リヴィティエ 代表取締役 佐藤 紗耶子(さとうさやこ)

青森県生まれ、千葉県育ちのエンジニア社長。20歳のころにインターネットに出合い、IT業界に飛び込む。インフラエンジニア・webアプリケーションエンジニアを経て、2009年に株式会社リヴィティエを設立。現在は様々な顧客へITサービスの提供を行っている。

IT人材は“ヒューマンスキル”が第一に求められる時代に

ITシステムやITサービスを開発する株式会社リヴィティエには、40名を超えるエンジニアが在籍している。自身もエンジニアである同社の佐藤代表は、ITエンジニアに圧倒的に足りないスキルがあると唱えている。それは「コミュニケーション力」だ。

「技術系の人材は引っ張りだこ。天狗になっているエンジニアも少なくありません。ビジネスサイドの人間からすれば『使いづらい人材』。それがITエンジニアです。これまでは、技術力さえあれば重宝されてきましたが、今後はIT人材といえどもヒューマンスキルを第一に求められる時代が到来します」

ITエンジニアの仕事は、大きく分けて2つの工程から成り立っている。お客様の課題をヒアリングして、解決するためのソリューションやシステムを設計する「上流工程」と、上流で決まった仕様をもとに実際にシステムを開発する仕事だ。

「昔は技術力さえあればエンジニアは生きていけました。けれども、エンジニアがお客様の要望を叶えるには技術だけではなく、お客様が何を求めているか“聞き取る力”や、技術を使ってどんなことができるか“伝える力”が重要。近年は特にお客様とコミュニケーションを取りながら仕事を進められるエンジニアが人気です」

ITエンジニアを目指す未経験者に向けスクール立ち上げを計画

コミュニケーション力のあるエンジニアが求められているのに、不足している。佐藤代表はこの状況を打開するために、ITスクールの立ち上げを計画している。

「数年前から当社では新卒採用に絞って人材補強をしてきました。その理由は、技術研修と共にビジネススキルの研修に注力することで、コミュニケーション力のあるエンジニアを育てられるからです。IT業界を経験したエンジニアは、技術にしか興味を持たず、技術のための仕事をしてお客様の要望を見失いがち。それではエンジニアも会社も生き残っていけません。当社の新卒研修のカリキュラムを、未経験からITエンジニアを目指す人材に広げたサービスを計画中です」

技術を磨いてきたエンジニアにとって、コミュケーション能力は二の次だった。しかし、学べる環境があれば済む話だと佐藤代表は考えている。

リヴィティエがITスクールのターゲットにしているのは、エンジニアを志望する未経験の人材。ジョブチェンジを考えている社会人はもちろん、学生がダブルスクールで通ってスキルを身に付ければ即戦力人材として同世代の人から一歩リードすることができる。

「エンジニアという仕事は、キャリアをつくっていく仕事です。技術の進歩にしっかりキャッチアップして、将来を見据えてキャリアパスを構築することで、価値のあるエンジニアになれます。そうすれば高収入も夢ではありません。しかし、価値あるエンジニアになるには、技術スキルだけでは駄目。ヒューマンスキルやビジネススキルを兼ね備えるからこそ、人々から求められるエンジニアになることができます」

さらに、リヴィティエが予定しているITスクールで学べば、ITリテラシーの高いビジネスパーソンにもなれる。ビジネスの戦場で勝ち残る人材になるために、ITリテラシーを身に付けるのは大きな武器になる。

「ITリテラシーの高いビジネスパーソンも不足しています。特に中小企業が今後生き残っていくためには、デジタル化を推進しなければなりませんが、社内にITリテラシーの高い人材がいないと、デジタル化は遅々として進みません。ITエンジニアだけでなくITスキルを持つビジネスパーソンも、今後さらに求められる時代となります」

コミュニケーションスキルを持ったエンジニアを増やすのは、IT業界全体の課題であり、事業会社の人材がITリテラシーを高めるのは、社会全体の課題といえる。リヴィティエが立ち上げようとしているITスクールは、この2つの課題を解決するための最初の一歩となるのだ。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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