スーパーCEO列伝

「双方向」と「人脈」が鍵!ウォンテッドリーの2大プロダクト「Wantedly Visit」&「Wantedly People」に迫る

文/吉田祐基(ペロンパワークス・プロダクション) | 2019.02.12

2017年9月、創業7年でマザーズ上場を果たし、その後も安定成長を続けるウォンテッドリーには2つの看板プロダクトがある。それが「Wantedly Visit」と「Wantedly People」だ。ここでは出会いの創造とつながりの構築を担う両プロダクトのビジネスモデルに迫る。

一方向の採用から双方向の採用へ
会社訪問サービス「Wantedly Visit」

これまでの採用は、求人媒体を通じて企業が広告を打ち、転職や就職希望者からの応募を待つのが一般的だった。つまり、応募するのは意欲の高い顕在層で、働き手サイドから企業にアプローチするという一方向のコミュニケーションを行っていた。

しかしウォンテッドリーの主軸サービスである「Wantedly Visit」では、「話を聞きに行きたい」ボタンを押すことで働き手サイドからアプローチできるのはもちろん、企業側もスカウトメールやブログ機能での情報発信を通じて、候補者へ直接アプローチすることが可能だ。

とくにブログ機能を活用した情報発信では、従来の求人媒体では伝わりきらない企業の社内雰囲気がより伝わりやすいという利点だけでなく、社員のSNSはもちろん、独自の「応援する」機能(募集記事に共感したユーザーが「応援する」ボタンを押すことでWantedly内での表示順位を高めたり、FacebookやTwitter等のアカウントと連携させることで簡単にSNSでシェアしたりできる機能)により拡散もしやすい。

これによりSNSを通じて顕在層だけでなく、労働市場 に出てこない潜在層にも情報が伝わる。これまでの求人媒体はその企業名を名指しで検索して直接訪問するのが主だった。しかし「Wantedly Visit」においては、SNSで拡散されたブログや求人募集ページを偶然見た個人からの流入も期待できるわけだ。

また企業側が記入する求人募集ページのフォーマットには、あえて給与や福利厚生などの定量的な条件を記入する欄を設けていない。これは「なぜやるのか」「何をやっているのか」「どうやってやるのか」という、“やりがい”に通じる部分に目を向けてもらうため。働き手サイドには条件ではなく、企業のミッションやビジョンへの共感で企業を選んでもらうというのも、同サービスの特徴だ。今ではインターンシップや副業といった目的でも利用されている。

そして2012年2月にサービスを正式にローンチして以来、現在では月間240万人が利用するサービスへと成長しており、登録企業数も3万社に到達している(2018年11月時点)。 

「Wantedly Visit」の基本的な収益は、企業からの基本プラン料金とダイレクトスカウト料金等のオプションで成り立っている。基本プランはミニマム(月額3.5万円)・ライト(月額6万円)・スタンダード(月額10万円)、ダイレクトスカウトはベーシック(月額12万円)・プラス(月額14万円)・プレミアム(月額18.5万円)の3段階 の料金が設定されており、継続課金における収益構造が同社の安定成長を支えている。

働く人同士の人脈を創出
つながり管理アプリ「Wantedly People 」

「Wantedly People」は、働く人同士がより深くつながるためのきっかけを作る機能が搭載されている。話題機能はそのひとつで、登録した名刺情報を基に、朝日新聞や毎日新聞などをはじめとした50以上の提携メディアから、名刺交換相手の企業や業界ニュース等に関連する情報がアプリ上で提供される。

自身の会社や業界に関連する情報も閲覧可能なため、ニュースキュレーションアプリのような使い方もできる。もちろん、1回の撮影で最大10枚までの名刺を同時に読み込み、瞬時にデータ化されて一覧として表示されるなど、名刺管理ツールとしての機能も十分だ。

「Wantedly People」のユーザー数は300万を突破(2018年11月時点) 。利用ユーザーの属性としては、20代〜50代のビジネスパーソンが幅広く利用して おり、東京・大阪・名古屋などの都市に住むビジネスマンが全体の74.4%を占めている。また、部課長以上の役職が35%、年収1000万円を超えるビジネスマンが20%と、役職と収入の高いユーザーが多い点も特徴だ。

2018年6月20日には、「Wantedly People」内の広告商品を共同開発するために電通との業務提携も発表し、今後は広告メニュー「Wantedly People Ads」による収益化も加速させていく予定だという 

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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