スーパーCEO列伝

目指すは次代の変革者

トレンダーズ株式会社

代表取締役社長

経沢香保子

写真/宮下 潤、文/薮下佳代 | 2013.12.10

女性ならではの視点や強みを活かし、若くして起業。女性起業家として成功を収めつつ、結婚出産も経験した経沢社長は、経営者としての自分女性としての自分、妻や母としての自分あらゆる“HAPPY”を、とことん追求する。トレンダーズの企業理念である「女性と働くをHAPPYに」を自らが体現しながらすべてを手に入れる努力を惜しまない。そんな誰もがうらやむ経沢社長にも苦難の時代があった。業績不振、社員との不和……。もがき苦しみ、のたうち回ったその先に上場の夢があった。自身のブログのタイトルは「人生を味わい尽くす」。何があっても、決してあきらめない。自分の人生は、自分で決める。あきらめることなく大きな夢へと突き進んでいくその姿にきっと誰もが共感することだろう。

トレンダーズ株式会社 代表取締役社長 経沢香保子(つねざわ かほこ)

慶應大学経済学部卒業後、新卒でリクルートに入社。創業間もない楽天に転職し、新規事業開発に従事、楽天大学などを設立する。その後、26歳でトレンダーズを創業し、「女性と働くをHAPPYに」を企業理念に掲げ、女性とソーシャルメディアマーケティングと、女性ライフスタイル支援を行う。2012年東証マザーズに上場、現在、女性最年少上場社長として注目されている。日本最大級のブロガーネットワークwomediaや非日常体験が当たるプレゼントサイト「Amaze(アメイズ)」 (http://amaze-u.jp/)、ニュースゲームアプリ「キニナルモン」 (http://kininarumon.jp/)美容クーポンサイト「キレナビ」(http://kirei-c.com/)などを運営。

できる女社長の8か条

多くの女性が憧れる女社長・経沢香保子。起業家であり、現在、最年少上場社長でもある彼女の、その経験から導かれた「できる女社長」の法則とは?

[第1条]野心の大きさで負けない

人生は目標設定次第。上場しようと決めた時も、最短2年で実現しようと決めました。実際は、5かかってしまったけれど、5年で夢は叶いました。コツは、なるべく近くて、大きな目標を掲げること。「なんとなく幸せになりたい」ではなく、具体的に妄想して、それを叶えるために頑張る。「私なんか…」と思わず自分を信じて、思い描いてみてください。


[第2条]上に立つな、下にいろ

社長だから上に立って、指示、指導するものだと思いがちですが、逆で、下で見た方がいいんです。上にいても、良いことしか耳に入ってきませんし、仲間にならないと社員たちの本音を聞くことはできません。コミュニケーションを取ることが第一ですが、何に困ってるのかということを把握することが大事ですね。


[第3条]美をおろそかにするな

女性社員をマネージメントする際、美しくいることがとても大事。それは見た目だけではなく心も。「この人についていっていいのかな?」ということを女性はすごく見ています。また、シャープさ、美しさを併せ持つ、女性が憧れる女性でないと伝わりにくい場合があります。今は仕事ができるだけじゃダメなんです。


[第4条]女の武器より結果の武器

女性ベンチャー、女性上場社長だというだけで、ビジネスの世界では、まだまだ珍しがられることが多いんです。けれど、女性だから、若いからと得をするのも期間限定。全体の結果として認められないと、上にはいけません。きちんと誰もが納得する結果を出すこと。、まずはそれからです。


[第5条]合理性を習え

女性は主観で仕事をしがち。けれど、世の中は合理で動いています。だから合理性をきちんと身につけること。それは一つひとつ学んでいくことでしかわかりません。初めは知らないことがあってもいい。後付けでもかまいません。その後きちんと、合理的に説明できるか、根拠を示せるかどうか。人は納得すれば動いてくれます。


[第6条]相手の成功意欲を引き出せ

女性社長は、仕事ができる人が多いから、あれもこれもと、何でも自分でやりがち。けれど、部下を持つ立場なら、相手のモチベーションをいかにあげるかを考えることが重要です。全部自分でやろうと思うのは無理。そのこだわりを捨て、自分にできることと、できないこと、それをはっきりとわけることからはじめてみてください。


[第7条]自分を見るな、相手を見ろ

多くの人は「自分のことを見てほしい!」となりがちなんですね。自分を見るよりも、相手を見ること。私は社員をよく見るようにしています。顔色を見てわかることもあるし、言葉ひとつで感じ取ることもあります。「見透かされている」とよく驚かれますが(笑)、そういうことは、男性より女性のほうが強みにできると思います。


[第8条]“after you”の精神

「お先にどうぞ」という心を表す言葉ですが、これはビジネスにもあてはまります。相手がまず先で、我々が利益を享受するのは後でいい。みんなが先へと行った後でぜんぜん構わないんです。そういう精神でいると、反対に「どうぞ」と言ってくれる(笑)。前へ前へという情熱は必要ですが、突っ走るだけでなく、相手を思いやることも必要です。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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