“超”私的エクストリームな瞬間

【動画】

未来を創る若い子たちを 動画で元気にしたい!

C Channel株式会社

代表取締役

森川 亮

写真/宮下 潤 動画/トップチャンネル 文/福富大介 | 2015.06.10

かつてLINEを率いてきた森川氏が今年4月、「C CHANNEL」という女性向け動画メディアを立ち上げた。創業者として新規事業に託したその「思い」とは?

C Channel株式会社 代表取締役 森川 亮(もりかわ りょう)

1967年、神奈川県生まれ。1989年筑波大卒業後、日本テレビ放送網株式会社に入社。1999年青山学院大学大学院国際政治経済学科でMBAを取得。その後ソニー株式会社にてブロードバンド事業に携わり、2003年ハンゲームジャパン(現LINE株式会社)入社、2007年に同社代表取締役社長に就任。2015年3月、代表取締役社長を退任し、アドバイザーとして顧問に就任。同年4月よりC Channel株式会社代表取締役社長に就任。

「今日は、前髪の巻き方を紹介したいと思います!」と、笑顔の女の子が髪型のアレンジを実演したり、「今日は香港の中心街からタクシーで20分くらいの街にシーフードを食べに来ました~!!」と、料理やお店の紹介が始まったり、おしゃれな女の子たちが、自然体で好きなことを楽しみながら動画で紹介する「C CHANNEL」。

ファッション雑誌を動画で構成したようなこちらは、きゃりーぱみゅぱみゅも所属する「アソビシステム」のタレントや、読者モデルたちが自分のスマートフォンで動画を撮って、旬な情報を発信する注目の動画サービス。立ち上げたのは、かつて世界的な人気サービス・LINEを率いた森川氏だ。独立を決心してから約1年半、次の一手を模索し軸として定めたのが“動画”だ。

「日本を元気にするような事業を立ち上げたくて。未来を創る若い子たちが元気になれば、この国全体を元気にできると思ったんです」

では、なぜ若者を元気にする事業に、動画を選んだのだろうか?

「写真では伝わりにくいものが、動画だと伝わるということが基本です。例えば料理。写真よりも実際に食べている様子を動画で見る方が臨場感が伝わりますよね」

そしてスマートフォンの急激な普及という要因が大きいとも。

「かつて映像メディアは取材する人、撮影する人、編集する人が別々にいて、高価な機材が必要でした。しかし、今はスマホ1台、一人でOK。片手で自撮りしながら、街ブラだってできます。そして撮った動画をシェアする仕組みも充実し、さまざまな動画共有サイトがあり、LINEやTwitterで瞬時に何千、何万の人に拡散されます」

現代は動画のための環境がどんどん整っているのだ。こうした環境に、若い女の子たちの「シェア・拡散・口コミ力」をプラスさせた。

「テレビなどこれまでの映像メディアは、発信する側の思いで作られ、見る側はそれを押し付けられているような関係でした。僕はもっと、受け手が共感できるものにしたくて、女の子たちが自由にいいと思ったお店や商品を紹介するかたちをとったのです」

ファッション、メイク、フード、トラベルなど、女性誌のようなメニュー構成。動画は最新順、人気順で一覧表示でき、気になる動画を1クリックで再生できる。

彼女たちの新しいものに対する素直な好奇心、かわいいものへのこだわりは動画を通じでどんどん拡散され、マスコミにも劣らない爆発的な影響力が期待できるのだ。さらに、発信までのスピード感。これも動画の武器の一つ。ネット動画ならテレビよりも早く公開でき、それが価値になるのだ。

「先日、原宿で開催されたイベントの模様を取材して、3時間後にサイトにアップしたところ、多くのアクセスを獲得できました。同じイベントがテレビで紹介されたのは、その翌日です」

動画発信・閲覧の充実した環境、おしゃれな若い女の子の感性、そして発信のスピード感、そのすべてを森川氏のずば抜けた感性がつなぎ合わせ「C CHANNEL」となった。

原宿らしいポップなイエローとガラス張りの外観がおしゃれなオフィス。1階は編集会議や撮影ができるオープンなスペース。2階は執務室になっている。

最初から海外展開を見据えていた点も大きな特徴だ。現在はまだ日本語のみだが、それでも海外からのアクセスは確実に増えているという。

「今後は英語での情報発信も増やしていきたいですね。MTVのようなメディアをイメージしています。MTVは、日本人全員が見るわけではないですが、世界中の音楽好きが見たいコンテンツです。世界中のおしゃれな女性が見たいと思える動画をどんどん配信していきたいですね」

通常、海外展開の障壁になるのが“言語”だが、既に海外のユーザーからも支持されている通り、動画なら簡単に国境を越えられるのだ。日本よりアジアの方がモバイルでの動画視聴ニーズが高い点も、追い風になるとも森川氏は語る。閲覧環境がどんどん整備され、言語の壁を越えて感覚で伝播していく“動画”というコンテンツがどこまで広がりを見せるのか。今後の成長が、楽しみだ。

「信念は大事です。しかし意固地になるのはよくありません。社会やユーザーが求めているものは何か? それを見極めたら、後は素直に従ってマーケットに歩み寄っていく柔軟性も必要だと思います」

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_56_1649338847.jpg

vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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