人材力

エステ業界からIT社長へ 「人が好き」だからこそ、出会いに導かれた事業拡大

株式会社Lena

代表取締役

栁澤 奈々

写真/芹澤 裕介 文/竹田 あきら(ユータック) 動画/ロックハーツ | 2020.10.12

エステサロンに通うお客のプログラムメニューを見える化し、次々と新しい事業を始めて成長してきた株式会社Lenaの栁澤代表。人との出会いで事業拡大を成し遂げてきた彼女のビジネスライフに迫る。

株式会社Lena 代表取締役 栁澤 奈々(やなぎさわ なな)

美容業界歴20年以上。健康寿命の延伸を目的とし、エステと国家資格者(鍼灸師・柔整師・管理栄養士・看護師・臨床検査技師)との融合エステを実現。わずか2年で店舗数を1店舗から10店舗展開。暖簾分けシステム、自社化粧品開発を推進している株式会社Lena代表取締役。また、現場の問題解決から生まれた株式会社LenaBrain代表取締役。2021年には2年連続美容業界成長企業に選ばれ、SDGsアワードを受賞。

出会って、信じて、任せてみる

経営者なら、予期せぬ出会いがきっかけで事業が成長したり、思わぬ方向に進んだりするのを体験したことがあるだろう。株式会社Lenaの栁澤代表も、人との出会いに導かれて、事業拡大を経験したひとり。

栁澤代表は、大手エステティックサロンで技術を磨いた、スゴ腕のエステティシャンだった。スタッフ2000人以上のなかで、全国5位以内の成績をキープし続けた彼女は、2006年、自らの技術を頼りに「Salon Lena」を開店。

「千葉県柏駅近くにSalon Lenaの本格的な店舗を構えました。広告に頼らず口コミとWebサイトでの集客だけで、某大手エステサロン集客サイトにて柏地区エステ5年連続ナンバー1になりました」

最初の転機は2015年。鍼とエステを融合させた新たなサービスを提供する「Lena鍼灸院」をオープン。これもある人物との出会いがきっかけだった。

「エステティシャンの募集に対し、鍼灸師の資格を持つ女性が面接に訪れ、『鍼とエステを融合させたサービスを全国に広めたいので協力してほしい』と申し出てきたのがすべてのはじまりです。深層筋に直接刺激を与えられるのは鍼しかないと考えていた矢先のことで、すぐに採用してエステの技術を身に付けてもらい、その間に店舗を用意して、その後は『Lena鍼灸院』を彼女に任せました。

すると、鍼とエステの融合サロンによりSalon Lenaで働きたいと希望するエステティシャンがどんどん集まり、みんなを採用したら従業員が余ってしまい、彼女たちの活躍の場をつくるために新規店舗を連続してオープンしたんです」

必要だから動いた、結果的に今の自分がいる

スタッフが増えたことで、人材育成の必要が生じ、栁澤代表はエステティシャンとしての自分の体験を落とし込んだ、痩身のための最適なプログラムが構築できる仕組みを作成。どのスタッフが施術しても、栁澤代表と変わらないクオリティのサービスが提供できるはずだった。

「プログラムに沿ってお客様とやり取りすれば、結果は出るのですが、使いこなせるスタッフと使いこなせないスタッフに分かれました。人材育成がうまくいかず悩んだ私は、成功している先人に学ぼうと、同じ労働集約型ビジネスを日本で成功させ、シンガポール在住の経営者を訪ねました」

シンガポールで有名な日本人経営者と話をする機会を得た栁澤代表。

「その方とお話をして、深い感銘を受けました。3分間話せば相手の性格がわかるといわれ、実際に『お人好し』な性格を見抜かれました。強く出るときは強く出る、これが私にはできていませんでした。それは自信がなかったからだと気付き、自己改革からスタートさせたんです」

思考を変えると行動が変わるという心理学に出合い、それを実践して自己変革に成功した栁澤代表は、自身の体験をシステム化したWebサービス「Lena Brain」を開発。Lena Brainは、労働集約型ビジネスだけでなく、業種問わず人材育成や評価制度にも使うことができる。Lena Brainを広めるために、新たに株式会社を設立。エステティシャンとして独立した女性が、人との出会いを繰り返すうちに、IT企業の社長になっていた。

誰に対しても裏表なく接する栁澤代表。「出会いに恵まれている」と話すが、人を惹きつける魅力があるからこそ。

「独立した当初は、ここまでの事業拡大を考えていませんでした。鍼灸とエステを融合させた新業態にチャレンジしようと誘いを受けたり、スタッフが働く場所をつくったり、人が集まり周囲の希望を叶える形で、店舗が増え事業の幅は広がっていきました。特にLena Brainの開発は、想像すらしていませんでした。

しかし、振り返って考えてみると、Salon Lenaで他社に先駆けてWebサイトをつくるなど、IT企業の社長になる素地はあったのかなと思います。次の展開を考えているとそれにぴったりな人材が現れる。そんな数奇な巡り合わせの連続でした」

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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