市場創出力

収入がある起業「技術・人脈・マインド」×即収入

ハタ未来塾株式会社

代表取締役

幡鎌秀一

写真/中田浩資(リンガフランカ)取材・文/松本理惠子 動画/ロックハーツ | 2022.07.11

56歳で想定外の解雇、そして起業へ。手探りの起業だったが数年で売上2000万円に達し法人も立上げさらに事業拡大。その成功の秘訣を、ハタ未来塾株式会社の幡鎌秀一代表が明かす。

ハタ未来塾株式会社 代表取締役 幡鎌秀一(はたかましゅういち)

一級建築士、太陽光発電アドバイザー、APECエンジニア。ゼネコンに15年間勤務の後、IHI環境プラントに15年、日立製作所/海外プラントに5年、外資系太陽光発電企業に5年勤務。2015年に起業。現在は建築やプラント、風力・バイオ・太陽光発電等再生可能エネルギーの技術支援や中小企業向けの営業・経営支援を手掛ける。(特)環境エネルギー政策研究所/特任研究員、某電力会社/アドバイザー、ゼネコン/顧問、某太陽光発電会社/顧問、工場主企業/専門家、工務店・工事会社/営業顧問など幅広く活躍。

56歳で失業、NPOのボランティアから個人事業主に

幡鎌秀一代表の半生は波乱万丈だ。

大学卒業後の1983年ゼネコンに就職し、国内外のプラント現場監督および建築設計士として実績を積むも、15年目でバブルが崩壊し、会社が倒産。次に勤めた会社では国内のみならず、中東・アジア・ヨーロッパの工場プラント案件で飛び回った。その活躍ぶりが有名企業の目に留まり、2010年に海外プラント部門の部長待遇で引き抜かれる。「今までの経験を活かして新しいことができる」とワクワクしていたものの、5年でリストラに。しかし、捨てる神あれば拾う神ありで、すぐに外資系太陽光発電会社から声がかかり、技術本部長兼取締役に就任。安泰かと思いきや、またしても数年で解雇されてしまう。

「3社目も4社目も解雇の原因は同じ。要は私の好待遇を快く思わない社員がいました」と話す幡鎌代表に、恨みがましいニュアンスは一切ない。大手企業を渡り歩いてきた経験から、「組織とはそういうもの」と割り切っているからだ。

とはいえ、56歳での解雇にはさすがに焦ったと幡鎌代表は振り返る。

「家族がいるし、自宅のローンも残っていましたから。ハローワークや転職サイトで職探しをしましたが、この歳での再就職は絶望的でした。せめて自分のスキルが誰かの役に立てばと思い、太陽光発電の開発を手掛けるNPOのボランティアに参加したのです」

そこで、最初は国際会議の手伝い等のボランティアをしていたが、幡鎌代表の経歴を知ったNPO側から「今度始めるプロジェクトを手伝ってくれないか」との提案がきた。

「待っていても就職先が見つかるあてもないし、NPOから頼まれた仕事は会社員時代にやってきたことの延長だったので、これならできると判断し、仕事を受けることにしたのです。最初は個人事業主としてのスタートでした」

それまでは起業するつもりはなく、急展開に自分でも驚いたというが、実際に仕事を始めてみると、建築・プラントや再生エネルギー業界で培った40年のキャリアが強い武器になることを知った。

「人脈を活かした販路拡大や再エネ事業の技術支援、海外勤務の経験・スキルを活かした海外進出支援など、自分が思っていた以上に貢献できることが多くありました。月の売上がすぐに約150万円になり、会社員時代の年収を軽く超えたことにビックリしました」と幡鎌代表。

その後、人からの助言もあって2019年に法人も立上げ、現在は法人での売上が月150万円以上、個人では月60万円以上にもなる。

起業や事業再生を目指す人の再チャレンジをサポート

なぜ、幡鎌代表はこれほどスムーズに成功できたのか。

「私が仕事の幅を広げるためにしていることは、ウェブの副業マッチングや顧問派遣サービスの活用です。特に副業マッチングサービスのサイトには多種多様な業種、業務の求人募集があり、それにエントリーすることで新規の仕事を獲得できます。応募しきれないほど求人があるので、“仕事がなくて困る”ことはありません。即収入や年収アップのチャンスはいくらでも転がっているのです」

このサービスを使って獲得した仕事のひとつに、フェンス販売会社の顧問がある。販路拡大をしたいが新規取引先を開拓できずにいたフェンス販売会社に対して、幡鎌代表は自身のコネクションから最適な太陽光発電業者を仲介。産業用太陽光パネルを設置する際には必ず外柵が必要になるため、両社をマッチングすることで互いがwin-winになることができた。このフェンス販売会社とは2018年から現在も営業支援の顧問として関係が続いている。

他にも名のある企業との取引が絶えないが、幡鎌代表一人の会社のため受託できる仕事量に限界があり、やむなく断る案件もあるという。

幡鎌代表は今、自身の起業ノウハウを人に伝えるべく、ハタ未来塾株式会社を立ち上げ、起業や事業再生を目指す人のコンサルティング業務にも乗り出している。今後は法人相手の仕事からハタ未来塾株式会社へ、事業の軸足をシフトしていく計画だ。(2022年7月11日時点)

「起業成功には『人脈、スキル、マインド』の3つに加えて、『仕事獲得のためのコツ』があれば大丈夫。どんな業界でも人脈とスキルがあれば、仕事が仕事を生んでくれます。仕事をするにつれて人脈やスキルが広がり、次の新しい仕事につながっていくからです」

マインドについては、「他責ではなく自責が大事だ」と幡鎌代表。

“仕事は会社に与えられるもの”と思っていた幡鎌代表は、起業して「会社でなくても仕事はできる」と実感。起業のチャンスは誰にでもある。

「売上が少なかったり、仕事がうまくいかないとき、誰かのせい、不況のせいにしても始まりません。自己原因型で考えると、今の状況は自分が招いていることがわかり、改善策が見えてきます。こうした物事の捉え方や視点の習慣づけを、私は心理学によって学びました。課題との向き合い方を伝え、解決の道筋を考えていけるようアドバイスをしています」

仕事獲得のコツとは、先程述べた副業マッチングサービスで複数の応募者の中から選ばれる一人になるためのコツだ。

「エントリーシートの書き方ひとつで選ばれやすさが変わります。私自身が数々の仕事を得てきた秘策を伝授しています」

現在、ハタ未来塾株式会社には2名のクライアントがいる。1名は30代の会社員で、今やっている副業を本業にして年内の起業を目指す。もう1名は70代の元経営者。業績不振で一度会社を閉じたが、幡鎌代表のコンサルティングを受けて再チャレンジ中だ。

「シニア世代でまだまだ活躍できるのに、会社を退職後くすぶっているのはもったいないと思いませんか? 長年の人脈とスキルはシニア世代だからこその強みです。仕事は今の時代、探し方次第でいくらでもあります。私でもできたのだから、きっとあなたにもできます!」

幡鎌代表の“必勝法”は理屈ではなく、経験と実績に裏打ちされたもの。その教えを受けた起業家たちが未来へと力強く羽ばたいていく。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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