スーパーCEO質問箱

“ゲン担ぎアイテム”は何ですか?

写真/宮下 潤 文/藪下佳代 | 2013.04.10

CEOへぶっちゃけ質問! 今回は“ゲン担ぎ”。日々変化の連続を生きるCEOたちにとって、「ここぞ!」という勝負の時や重大な決断を迫られる場面は多々あるもの。そんな彼らが成功を勝ち取ってきた背景にはどんなアイテムが存在するのだろうか。

ビームス設楽社長…「3」(=長嶋茂雄)

設楽 洋(したらよう)
株式会社ビームス 代表取締役社長
1951年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。75年、株式会社電通入社。プロモーションディレクター、イベントプロデューサーとして数々のヒットを飛ばす。76年、ビームス設立に参加。83年、電通退社。自らをプロデューサーと位置付け、あらゆるジャンルのムーブメントを起こす仕掛け人。個性の強いビームス軍団の舵取り役。

あらゆることで「3」にこだわっています。そのきっかけは、長嶋茂雄選手。僕は1951年生まれで、小学校から大学までの僕の青春時代は長嶋さんの現役時代とともありました。小学校入学の時、少年漫画雑誌の表紙が長嶋さんで、その懸賞に1枚だけハガキを送ったら、見事1等の双眼鏡が当たったんです。僕は子供心にそれは長嶋さんがくれたんだと思って(笑)。

以来、僕にとって長嶋さんは「強運」を授けてくれる神様。だから、長嶋さん=「3」を、常に意識して行動しているし、「3」という数字がついたものには目がないんです。たとえばトイレも「右から3番目」にしか入らないし、ティッシュも3枚、ガムも3個とかね。ビームスのオリジナル商品にも「3」が入っているものが結構あるし、オーダーで作る時は必ず「3」を入れてもらいます。このバッグもパリで1軒しかない「MOYNAT」というブランドで、オーダーしたお気に入りのものなんです。

人生で初めて挫折した時、ちょうどテレビに長嶋さんが出ていて、「プレッシャーを楽しめ」とおっしゃっていたことがありました。その言葉を聞いた時、自分に言ってくれたんだと涙がポロポロ出てきた。僕にとって「3」を意識することは、日常のなかに長嶋さんがいるようなもので、長嶋さんに守られていると思えるんです。

トレンダーズ経沢香保子社長…「ショーメ」のネックレスとイヤリング

経沢香保子(つねざわかほこ)
トレンダーズ株式会社 代表取締役社長
慶應大学経済学部卒業。リクルート入社。その後、創業間もない楽天へ転職。2000年、トレンダーズ株式会社設立。代表取締役に就任。女性マーケティングのほか、格安美容のクーポンサイト「キレナビ」など、女性のライフスタイルを支援。12年、東証マザーズに上場。現在、最年少上場女性社長。上場を目指す女性社長への投資も手掛ける。http://www.a-w-e.biz/

私のゲン担ぎアイテムは、「ショーメ」のネックレスとイヤリング。水色のジュエリーを身に着けると、コミュニケーション能力が上がると聞いて、旅行先でたまたま見つけたのを買いました。

私は普段から、なるべく社員一人ひとりとコミュニケーションをとるように気をつけていますが、人数が増えてくると、残念ながらなかなか全員とキャッチアップできない。そこで、まずは自分から先に、発信できる人間になろうとブログ・Facebook・Twitterをフル活用しています。

そしてこれを着けるようになってからは、いつもありのままの自分を発信することを思い出して、心掛けるようになりました。アクセサリーって、リマインダーみたいな感じで、サブリミナル効果を発揮するんですね。見るたびに、自分の心に問いかけるきっかけになるっていう意味では、すごく役に立っていると思います。思い返すと、会社が上場した日にも着けていましたね。

上場してからは、金融関係の方たちとも会う機会が増えたので、ネイビーとか地味になりがちな色の服を着るようになったんです。でも、このネックレスとイヤリングを着けると、着こなしにパッと明るい華を添えてくれるから、ファッションの観点からも重宝しています。

チームラボ猪子社長…「丸若屋」の浅草印伝名刺入れ

猪子寿之(いのことしゆき)
チームラボ 代表取締役社長
1977年、徳島市生まれ。2001年東京大学工学部計数工学科卒業。同年、数学者、建築家、CGアニメーター、Webデザイナー、編集者など、さまざまな分野のスペシャリストで構成されたウルトラテクノロジスト集団、チームラボを創業。最先端テクノロジーの研究や各種Webプロデュース、国内外の美術館、ギャラリーにてアート作品の発表を行う

実は、ゲン担ぎというものを紐解いていくと、大切なもの、という意味合いがあるかもしれません。昔、漁師は安定した波の文様が入ったものを好んで身に着けていたという話があります。もちろん、漁師が生きていく上で一番大切なのは波が安定していることなので、いわゆるゲン担ぎですね。

仮に、漁師が成功して武士や貴族が持つ品を手に入れることができたとして、その代わりに波の文様を手放したかというと、そうではないはずです。彼らにとって最も価値があるものは、安定した波ですから。

同じように、自分は商人にとって縁起がいいとされる、小槌や隠れ笠などが入った宝尽くし柄の名刺入れを持ち歩いています。クリエイティヴという商売をしているので。

これは「丸若屋」のもので、一緒に仕事をしたのをきっかけに持つようになりましたが、ほかにも僕の身の回りには、仕事の繋がりなどをきっかけに手に入れ、持つようになったものが多いですね。

というのも、今は情報量に加えて消化スピードが速いので、人々は今までメディアが作り上げてきた価値基準を共有できなくなってきています。そうした中で、我々がこれから何を基準にしていくかというと、自分に関係性のあるもの、大切なもの、つまりゲンということになるかもしれませんね。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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