ファッション
写真/伊藤 勇 スタイリング/四方章敬 文/大野重和(lefthands) | 2013.04.10
スーツ29万9250円、シャツ5万1450円、タイ1万9950円、チーフ1万3650円/以上エルメネジルド ゼニア(ゼニア カスタマーサービス TEL:03-5114-5300)
■POINT1
淡いサックスのセミワイドスプレッドシャツに、ブルー系のレジメンタルタイを合わせたVゾーン。ともすれば地味になりがちなグレースーツのコーディネイトに、さりげない若々しさと品のよさ、さらには清潔感をもたらしてくれる。胸ポケットにはチーフを挿して、CEOらしいグレード感と華やかさを演出したい。
■POINT2
現代的かつオーセンティックな印象を与える、中庸なラペル幅。同じく最も正統的なスタイルであるセミワイドスプレッドシャツとの相性も抜群。どんな要人の前に出ても恥ずかしくない、完璧なスーツスタイルといえる。
■POINT3
「ミラノライン」は、適度なスリムフィットに仕上げられており、王道ブランドなれど、快活なイメージで、スマートに着こなせるのがキモ。ウエストラインもすっきりシェイプされたシルエットに仕上がっている。
「ここぞ!」のときのスーツスタイルには、一分の隙もあってはならない。ただし、ビジネスのシーンではオシャレであることより、ちゃんとした“品格”が問われる。
選ぶべきは、例えば世界のCEOたちが最も厚い信を置くスーツブランドのひとつ、「エルメネジルド ゼニア」。いうまでもなく、品格ブランドの王道である。
あなたが若ければ若いほど、トレンドに流されるのではなく「あえて品格ブランドを選ぶ」という選択肢が、周囲からの評価を上げてくれる。目上のCEOから、「お若いのに、よくお分かりで」といってもらえれば、仕事における信頼もアップするというものだ。
とはいえ、気をつけたいのはシルエット。まんま王道では、フィッティングにゆとりがありすぎて、若々しさに欠ける。そこでお薦めしたいのが、「ミラノライン」。適度なスリムフィットに仕上げられており、王道ブランドなれどスマートに着こなせるのがキモ。アーリーステージのCEOが、真っ先に“指名買い”で手に入れるべきスーツとして、覚えておきたい。
品格のあるグレースーツに袖を通すなら、合わせる小物も、職人技の粋を感じさせる“本物”を。キーワードは、「専業メーカー品」。伝統に培われた本物のオーラを身に纏う悦びを、ぜひ知って欲しい。
職種にもよるが“値踏み”において、こと「信頼」を勝ち得るにはトレンドをまとうより品で勝負するのが正解なのである。
品格あるCEOは、ブランドロゴを一面に配したプリントタイなど、締めるものではない。ストライプスーツにストライプタイ、チェックシャツにチェックタイ――いわゆる柄on柄の着こなしは、ファッション業界の人間に任せておこう。グレースーツを端正に、CEOらしく着こなすなら、こんなブルー系のソリッドタイがいい。選ぶなら、餅屋の餅、タイ屋のタイ。ナポリの老舗「E.マリネッラ」は、世界の着道楽をも唸らせる品質で定評があり、お薦めできる。
一見スマートにスーツを着こなして見えても、ちらりと見えたときに「お里が知れてしまう」怖いアイテムが、ベルトである。あえていうが、ブランドのロゴ入りはNG。ゴツいバックルはデニムに合わせよう。鉄則は、素材は靴とバッグに、バックルは時計に合わせること。バッグ、靴、時計、ベルトはつねにセット考えることがウェルドレッサーの基本のキとなる。ここに紹介する「ウィリアム」は、イタリアの専業メーカー。長く愛せる本物としてお薦めしたい。
「足下を見よ。そうすれば、彼の人となりが、たちどころに分かるだろう」とは、昔の米国版エスクァイア誌に見つけたフレーズである。悪いことはいわない、靴だけは世界の一流品を身に着けて欲しい。中でも基本のキ、マストアイテムといえるのが、黒の内羽根式ストレートチップ(キャップトゥ)。これさえあれば、世界中のビジネスミーティングからフォーマルな場まで、堂々と出掛けて行けるというもの。値段はむしろ安いくらいだ。
残念ながら、ボタンダウンも、ドゥエボットーニも、タブカラーも、厳密にいえばすべて亜流。日本で「レギュラーカラー」として出回っている襟の形も、海外では「カジュアル」となってしまうことをご存知だろうか。CEOがここぞというときに着るシャツは、襟はセミワイドスプレッド、袖口はダブルカフスに限る。1枚持つべきは、例えば世界の重鎮を顧客に持つルイジ ボレッリの、白のブロード地のシャツ。非の打ち所のない本物の何たるかを知って欲しい。
スーツの着こなしを最も手っ取り早くランクアップしてくれる小物が、チーフ。あるとないとでは、エレガントさと風格がまるで違ってくる。着こなしを楽しむという観点からいえば、色や柄、素材などバリエーションは無数にあるが、企業のイメージを背負って立つCEOこそ、上品さが際立つ白のリネンチーフが基本。ブランドでいえば、例えばブレイシズ(サスペンダー)づくりに200年近い歴史を持つ英国の老舗など、通好みな選択肢といえよう。
こちらもスーツスタイルの基本のキ。靴下は膝下までのハイソックス、いわゆるロングホーズを履くというのが世界のスタンダードスタイルにして、不可侵なドレスコードとなる。こと、椅子やソファに座り、脚を組んだ姿でインタビューに答えるときなど、ゆめゆめ毛脛を覗かせるなどの失態のなきように。CEOは人に見られるのも仕事の一部。ふだんは見えない靴下が見えたときにこそ、「違いのわかる男」のレッテルが貼られるということを覚えておこう。
vol.56
DXに本気 カギは共創と人材育成
日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社
代表取締役社長
井上裕美