スーパーCEO質問箱
写真/宮下 潤 文/藪下佳代 三宅和歌子 | 2013.06.10
熊谷正寿(くまがいまさとし)
GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長・グループ代表
1963年、長野県生まれ。東証一部上場企業グループのGMOインターネットグループを率いる。「すべての人にインターネット」を合言葉に、WEBインフラ・EC事業、インターネットメディア事業、インターネット証券事業、ソーシャル・スマートフォン関連事業を展開。グループは上場6社やGMOクリック証券などを含む67社、スタッフは3,200名。
実は今、あまり時計をしないんです。仕事柄、スマートフォンやPCに常に接しているので、それらで時間を見ることが多くて。昔、父が金のロレックスをしていて、時計は“成功の証”だと思っていました。だから僕も事業をスタートしてから父と同じものを買ったりしたことも。
30歳過ぎの頃まではあらゆる時計を買っていました。やっぱり事業家として一流のものを身につけたかったんですね。けれど、インターネットの時代になって、常にこうしたデバイスに囲まれた生活をするようになってからというもの、僕にとって時計は人にあげるものに変わっていきました。
1999年、株式を上場した日、うちの幹部全員に「ロレックス」デイトジャストをプレゼントしたこともあります。その時は東京中を探して「ロレックス」を買い集めました。
昨年、僕が大尊敬している幻冬舎の見城社長から「ウブロ」の時計をいただいて、今では一番大切な時計になりました。僕にとって時計は思い出の品であり、ビジネスシーンで必要な身だしなみのひとつですね。
時間管理のツールでいえば、スマートフォンで十分。よくタイマーを使って次の予定を把握しています。PCには時報ソフトを入れていて、30分おきに音が鳴るんです。それは自分自身に気づきを与えるため。限られた時間を有効に使うために、常に意識することが大切だと思っています。
西山知義(にしやまともよし)
株式会社ダイニングイノベーション 代表取締役社長
1966年3月19日生まれ。「炭火焼肉酒家 牛角」の創業者。温野菜・土間土間などを運営する株式会社レインズインターナショナル 代表取締役社長を経て、2012年、株式会社ダイニングイノベーションを設立。焼肉・焼き鳥・ラーメン・うどん・そばなど日本の国民食に「今までにない新しい価値」「革新的な体験」を加えた新業態を生み出し、いち早く海外での展開を目指す。
人生において一番大切なのは「時間」だと思うんですね。その時間をどう過ごすかによって、いまの自分がある。だから時を刻む時計も大切に選びたいと思っています。いまのお気に入りは「リシャール・ミル」。昨年9月に、25年やっていた会社の代表取締役を退任したので、自分へのご褒美に買いました。
見た目のかっこよさはもちろんですが、「リシャール・ミル」の「時計のF1を作る」という企業精神にすごく共感したんです。新進気鋭ながら、優れた技術に裏打ちされた最高の性能を備えていて、今までの時計の概念を変えるものを打ち出した。それは、自分の新しい会社を設立した思いとも重なったんです。今はこの時計がしたくて、それに合う服を選んでいます。
時計や服は、ただお金をかければいいわけじゃなくてあくまでセンスが大事。スーツの時は「オーデマ・ピゲ」のロイヤル オークや「ハリー・ウィンストン」のクロノグラフを選びます。大企業の偉い方にお会いする時は、必ず「グランドセイコー」。
ある後輩が大事な商談のときにダイヤ付きの四角い時計をしてきたのを見た瞬間、取引したくないなと思ったことがありました。仕事っていうのは、誠実さ、真摯さを相手に伝えるのが絶対なんです。時計にはセンスが表れるものだから、それを選んだ人間性まで見られる。それくらい大事なアイテムなんですよ。
松村厚久(まつむらあつひさ)
株式会社ダイヤモンドダイニング 代表取締役社長
1967年高知県出身。96年、エイアンドワイビューティサプライを設立。2001年、銀座で「VAMPIRE CAFE」をオープンし、飲食業に参入。以降も次々と独自の発想によるコンセプトレストランを打ち出し、02年に株式会社ダイヤモンドダイニングに社名変更。07年、大証ヘラクレス上場。「マルチコンセプト戦略」を掲げ、「100店舗100業態」を達成した。
この「ロレックス」のデイトナは、2年前、名古屋のとあるお店でブラックにカスタマイズした貴重なもの。株式会社ゼットンの稲本健一社長に紹介してもらいました。僕はもともと「ロレックス」のオイスターサブマリーナを10年くらい使っていたんですが、彼が黒いロレックスを持っているのを見て、「すごくかっこいいな」と思って。同じ時計を持っている人はいなかったし、僕も人がしてるものは欲しくない。人と同じじゃいやなんです。それが僕のファッション哲学にもなっています。
右利きの僕が、時計を右手にしているのには実は意味があるんです。僕が22歳の頃、ディスコの従業員をやっていたんですが、暗いなか、ものすごい数のオーダーをとらなければならかったんですね。その時、時間も書くんですが、左手に時計をしていると見づらい。けれど、右手に時計をつけていれば、右手で書きながら、そのまま時間を見ることができるということに気がついて。当時、スタッフはみんな右手に時計してましたね。
今はもちろん、オーダー表を書くことはなくなりましたが(笑)、当時のまま、右に時計を付けるくせがいまだに残っています。右手にしていないと、なんだか落ち着かないんです。「初心忘れるべからず」といいますか、いまも時計を右手にしているのは、自分にとって飲食業を始めるにあたっての原点のようなものを感じるからなのかもしれませんね。
山野幹夫(やまのみきお)
株式会社ヤマノビューティメイト 代表取締役社長
1968年生まれ。99年ヤマノビューティメイト社長に就任。祖母・山野愛子が“どろんこ美容”を創造したように、2003年世界初の “琥珀美容法”を発表。2005年琥珀配合化粧品の特許を取得。理化学研究所との共同研究により、2012年琥珀エキスの美容効果特許2つを取得し、同エキス配合化粧品「美道」がモンドセレクション最高金賞を受賞。2013年6月琥珀エキスの著作『琥珀美肌術』刊行。
自分で買った時計は、たしか「オメガ」が一番最初だったかな。実は、時計はもともとあまりつけないので記憶があいまいなんです(笑)。今つけているこの「フランク・ミュラー」のロングアイランドは、自分への決意の表れとして買った大事なもの。1999年に社長になったとき、「美容を通して人を幸せにする」という理念を掲げ、新たな挑戦をしていくことを誓いました。
日本にまだない独創的なものを新たに開発して提供していくこと。それがyamanoブランドであり、これからやっていくべきことなんじゃないかとずっと考えていたんです。そんな時に、偶然にも宝石の琥珀を使った治療に出会ったんですね。それから琥珀美容を始めることになるわけですが、事業化するまでに紆余曲折ありました。
それでもなおあきらめずに研究を続けた結果、琥珀を配合した化粧品の特許を取ることができた。それが2005年で、その年にクラブヤマノフェイシャルガーデンコスメティクスも創業しました。こうした節目となるタイミングでこの時計を買いました。
今でもここぞ、という勝負の時にこの時計をつけます。運気がよくなる気がするんですよね。友人の郷ひろみさんが「フランク・ミュラー」のロングアイランドをつけていているのをよく見ていて、オシャレだなと思っていたんです(笑)。買ったときのいい思い出があると、時計をつけるたびに思い出しますし、自分の子どもにもその思いを語りながら渡してあげることができる。時計はそうした記憶を語り継いでくれる存在なんです。
vol.56
DXに本気 カギは共創と人材育成
日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社
代表取締役社長
井上裕美