Passion Leaders活動レポート
文/平川 恵 写真/阿部拓歩 | 2021.11.30
ビジネスリーダーや起業家たちの学びや研鑽、交流の場を提供する、一般社団法人「パッションリーダーズ」。発足から10年を迎え、今や会員数は4,000名超。多くが認める、日本一の経営者交流団体となった。
そんなパッションリーダーズの記念すべき10周年の節目、通算300回目に行われたのが、この「パッションリーダーズ10周年記念特別イベント」だ。
今回、新型コロナウイルスの影響で発令されていた緊急事態宣言が解除されたタイミングだったこともあり、メイン会場となる東京・渋谷の「セルリアンタワー東急ホテル」では、急遽定員を来場500名まで増員。
さらにメイン会場の様子は、YouTubeほか、札幌、大阪、四国・愛媛、四国・高知、四国・高松、福岡の6つのブランチサテライト会場をオンラインで結び、ライブ配信。おおよそ700名が参加する、大規模なイベントとなった。
当日は、ステージ前方に、代表理事である株式会社ネクシィーズグループ代表取締役社長兼グループ代表、近藤太香巳氏の他に、特別顧問、理事たちも席を並べた。
ドラムパフォーマンス集団・鼓和-core-による迫力のオープニングアクトに続いて、パッションリーダーズを率いる近藤氏による開会宣言で、イベントは幕を開けた。
基調講演を行うのはパッションリーダーズの特別顧問でもある、楽天株式会社代表取締役会長兼社長、最高執行役員の三木谷浩史氏。近藤氏の幾度におよぶラブコールの末、実現した本講演のテーマは、“「未来」を創るイノベーション”。
楽天グループといえば、コロナ禍に政府方針の発表を受け、いち早くワクチンの職域接種に協力したことが記憶に新しい。行政、医療機関と連携し、「ノエビアスタジアム神戸」にワクチン大規模接種のオペレーションを構築した経験なども交え、これからの経営者が必要なものは「イノベーション」だと説く。
「概念は相対化し、揺らぎながら進化する。物事に絶対はない。定石はない。積極的だけど慎重、リスクとリターン、アナログとデジタルのように、世の中必ず2つの概念があり、揺らぎながら進化していく。皆さんにとって重要なのが、曲がり角の先を見られるかどうか。未来を見られるか、あるいは見えていると思えるかどうか――。そのなかで必要になってくるのが、イノベーションの力だ」(三木谷氏)
約50分におよぶ講演。創業から25年、「イノベーションを通じて人と社会をエンパワーメントする」を大義名分に、破竹の勢いで成長を続ける楽天グループの三木谷氏の貴重な話を傾聴する、またとない機会に、多くの来場者たちは一言も聞き漏らすまいと、熱視線を注ぎながら話に耳を傾ける。
「アントレプレナーシップ、つまり実業家精神こそがイノベーションを創る。国を変えるのは“政治家”ではなく“実業家”である。日本が大きく変わろうとしている時代の主役になるのは、アントレプレナーである皆さんだと思っている、大きな夢と大義をもって新しいことにチャレンジしてほしい」
こうして三木谷氏のエールで講演は締めくくられた。
講演のあとは、近藤氏と三木谷氏による、スペシャルトークセッション。
グータッチと関西弁のラフなあいさつ、そして「ミッキー兄さん」と親しみを込めて呼ぶ近藤氏の軽快なトークにより、会場の空気は柔らかくほぐれていく。
トークセッションは、会員から寄せられた3つの質問について、それぞれに答えてもらう形式だ。二人に投げかけられた質問は、「実業家として、1番の喜びは?」、「新規ビジネスへのチャレンジ。必ず気を付けることとは? 絶対にやらないことは?」「次世代のビジネスリーダーに期待することは?」の3問。
「ビジネスは山登りに似ている。これまで既存の考え方になかったものでも、理論的にできることはやる。前例を変えていくのが喜びであり、自分の使命だ」(三木谷氏)
「自分の能力以上のことをやらないと人は成長しない。何を成すのか、志の高さが一番大切。三木谷さんのような天才が続々と登場する日本であってほしい。これから物事のスピードが劇的に変わるとき。今こそがビジネスチャンス」(近藤氏)
三木谷氏は実業家としての喜びを語り、そして近藤氏は次世代へ発破をかける。
日本のIT業界を牽引する三木谷氏の、ここでしか聞けないようなビジネス哲学や戦略に近藤氏もうなり、「未来を見据えてやってきて、今や日本の政治に声を届けることができる三木谷さんを心強く思う。我々も後に続いていきたい。記念となるイベントに登壇してもらったことは、本当に有難い」と、三木谷氏に最大の賛辞と拍手を贈った。
続いては、これまでのパッションリーダーズを知ることができる、振り返りプログラム。発足から今日に至るまでを思い、その出来事をたどる、この日のために作成されたオリジナルムービー「THE LOOK BACK座談会」が上映された。
映像内には、近藤太香巳氏、理事である松村厚久氏、佐藤裕久氏、副理事である阿部かな子氏、阿部観氏が登場し、発足時の思い出や出来事を語った。
経営者交流会発足の企画が立ち上がったのが、2010年8月のこと。ところが、約半年後2011年3月11日に東日本大震災が発生。企画はとん挫しそうになる。しかし、「そんな今こそ、経営者の団結が必要」と決断。2011年4月18日に第1回目のセミナーを開き、「パッションリーダーズ」を発足させたのだ。
以後、全国セミナー開催数300回、全国イベント開催数2,923回,総参加者数6,347人、オンラインアカデミー動画掲載数264本、ビジネスマッチング総額数百億……と、会員数、活動数、成長率共に日本一と呼ばれる経営者団体まで成長する。
映像では、これまでのセミナーのダイジェストや部会の様子、全国9カ所のブランチの説明などが流れ、日本全国に着実に拡がる情熱の輪を再認識する機会にもなった。
振り返りムービーが終わると、来場者の盛大な拍手で迎えられて、近藤氏が再び登壇し謝辞を述べた。
「情熱経営者が自己成長を求めて集まってきてくれたから、この10年走り続けてこられた。僕の理想にみんなが賛同し、協力してくれたからこそ今がある。こんなに大きく、力強く、絆の熱い会にしてくれた」
さらに言葉を続ける。
「自分が事業を起こしたのは、まさにバブル崩壊のとき。そして100年に1度といわれるパンデミックが起き、ゲームチェンジが行われようとしている今。このピンチをチャンスととらえ、実業家は進んでいかなくてはならない。みんなで絆を深め、情報共有をしながら、ベストな選択をしていきたい」
経営者交流団体であるパッションリーダーズは、この10年で大きく成長し、国に対して提言できるところまできている。
「数は力なり。リアルとバーチャルのハイブリッドで展開するなど、もっと大きな組織になって、あらゆる声を政府に届けられる団体を目指していきたい。誇れる経営交流団体であるために、これからも仲間と共に歩んでいきたい」
「日本を変えるのは、政治家ではない実業家だ」という三木谷氏の言葉、そして「ひとつひとつの力は小さくても、力を合わせれば大きくなれる」という近藤氏の言葉を胸に、これまでの10年の情熱をもって、これから先の未来に進む。
学びや出会いが多かった当イベントで、多くの“パッションリーダーズ”の胸には熱い炎が灯されたことだろう。
株式会社三井住友銀行 専務執行役員 河原田 岩夫
株式会社トーイズ 代表取締役 北原照久
楽天株式会社 代表取締役会長 兼 社長 最高執行役員 三木谷 浩史
SBCメディカルグループ 代表 相川佳之
ノンフィクション作家 小松成美
株式会社Orchestra Holdings 代表取締役 佐藤亨樹
株式会社バルニバービ 代表取締役CEO 佐藤裕久
株式会社ベネフィット・ワン 代表取締役社長 白石徳生
株式会社シーラホールディングス 取締役会長 兼 CEO 杉本宏之
株式会社ジェイグループホールディングス 代表取締役 新田治郎
株式会社ティア 代表取締役社長 冨安徳久
株式会社DDホールディングス 代表取締役社長 松村厚久
SBIホールディングス株式会社 代表取締役社長 北尾吉孝
株式会社Dining Innovation Investment Founder 西山知義
株式会社幻冬舎 代表取締役社長 見城 徹
北海道:株式会社MILE SHARE 代表取締役社長 森田宣広
東京:株式会社TITコンサルティング 代表取締役 竹下弘之
東北:株式会社トップチャンネル 代表取締役社長 阿部かな子
東海:株式会社S-point 代表取締役社長 佐々木 永年
関西:京師美佳セキュア・アーキテクト 代表 京師美佳
四国:株式会社土佐社中 代表取締役 宮本正司
九州:SBIコネクト株式会社 取締役 田口 健一郎
株式会社トップチャンネル 代表取締役社長 阿部かな子
一般社団法人愛商塾 代表理事 阿部 観
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DXに本気 カギは共創と人材育成
日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社
代表取締役社長
井上裕美