スピリット力

幸せの連鎖でつなぐ“絆” パラスポーツ促進の新しいカタチ

株式会社絆サンセリテ

代表取締役

阿部かな子

写真/平林直己 文/竹田あきら(ユータック) | 2023.06.12

「One Love=心に愛を」をキーワードに、パラスポーツにおける企画とマネジメントを事業とする絆サンセリテ。阿部かな子代表が考える“社会貢献”とは?

株式会社絆サンセリテ 代表取締役 阿部かな子(あべ かなこ)

1980年、宝塚歌劇団に入団・初舞台。1984年に退団後は女優として活躍。2007年に映像製作会社「トップチャンネル」を設立。企業の企画広報や社内教育、マニュアルなど、400社以上で映像を企画制作。テレビCMやイベントオープニング映像、ネット動画などの映像も手掛ける。2022年、絆サンセリテを事業継承し、代表取締役に就任。

パラ卓球でパラリンピックを目指す若者たちを、ワンチームで支援

スポーツを通じた社会貢献型事業を展開している、株式会社絆サンセリテ。同社が現在メイン事業にしているのは「パラ卓球」。「障害者卓球競技」として組織化され、国際大会も開催されている「パラ卓球」には、肢体不自由・知的障害・聴覚障害の3つのカテゴリーがある。1960年の第1回ローマ大会から現在に至るまで、パラリンピックの公式競技であり、日本でも競技人口は多い。

パラ卓球に限らず、パラリンピックに出場するレベルの選手たちは、トレーニングや用具、食事などに多額の費用を要する。パラリンピックに出場するには、海外大会での実績が必要なのだが、大会に出場するための渡航費は選手の自己負担。パラスポーツが好きでパラリンピックに出場をしたいと願っても、資金問題がネックとなる選手も少なくないという。

「絆サンセリテは、パラ卓球の選手のマネジメントをしています。スポンサーを探したり、イベントを開催して活動資金を集めたり。パラ卓球の選手が安心してスポーツに専念できる環境を整えるのが、当社の事業です」

2016年のリオデジャネイロ、2021年の東京とパラリンピックに2大会連続出場し、東京大会では日本選手団の旗手も務めた岩渕幸洋選手とマネジメント契約を結んでいるほか、東京パラリンピックでパラ卓球日本代表特命監督も務めた、元シチズン時計卓球部監督の伊藤 誠氏がゼネラルマネージャーの任務を果たす。パラ卓球でパラリンピックを目指す若者たちを、ワンチームで支援している。

「当社がマネジメントしている山口美也選手は、全日本選手権4連覇中。2022年12月世界ランキングで11位に初登場するなど、若手の有望株。現在、パラリンピックのパリ大会出場を目指して海外大会にチャレンジ中です。2023年3月に開催されたイタリアでの大会で、シングルス・ダブルスの両方で優勝しました」

社名の「サンセリテ」とは、フランス語で「真心」「思いやり」という意味。人々の笑顔につながる「ささやかな愛=ONE LOVE」の精神を大切にしている。

互いの思想や理念に共感し、「絆サンセリテ」の事業を承継

映像制作会社「トップチャンネル」を経営する阿部代表がパラ卓球と出合ったのは、東日本大震災がきっかけだった。

「私は仙台出身で、両親が東日本大震災で被災しました。それがきっかけで『東京ピースライオンズクラブ』を設立、初代会長に就任。その活動の一環で東京パラリンピック卓球日本代表チームを支援することに。絆サンセリテの創業者とも出会い、互いの思想や理念に共感。先代の体調が悪化したこともあって、絆サンセリテの事業を承継しました」

絆サンセリテの事業は社会貢献型と言われるが、阿部代表自身はSDGsなど社会問題に強い関心を持つものの、絆サンセリテ並びに自身のこれまでの活動を「社会貢献」だとは考えていないと語った。

「宝塚歌劇団時代も、その後の女優時代も多くの人に支えられて活動ができていました。トップチャンネルを立ち上げたのも、次は反対に誰かを支援する仕事をしたかったからです。ライオンズクラブの活動も絆サンセリテのビジネスも、縁があって知り合った人の役に立てることをしているだけ。その輪が広がって幸せの連鎖ができれば、私もハッピーです」

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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