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“初期投資ゼロ”で始める飲食店オーナー 「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」にみる新しいファイナンスのカタチ

文/竹田 明(ユータック) 写真/片桐圭(リンガフランカ) | 2020.06.16

2020年6月15日、東京・赤坂にオープンした「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」。多数の著名人が足しげく通う、すき焼き&ワインダイニング「厨(くりや) 七代目松五郎」(渋谷)の姉妹店で、ネクシィーズグループが進めるネクシィーズ・ゼロシリーズの新たなサービス「お店まるごと初期投資オールゼロ」の旗艦店でもある。“事業付きファイナンス”というキーワードから見えてくる、新ビジネスの仕組みに迫る。

“ひとりひと鍋”で贅沢をひとり占め

東京メトロ千代田線の赤坂駅と銀座線・丸の内線の赤坂見附駅から徒歩3分という絶好の立地にオープンした「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」。店内はオーバル状のカウンターにオープンキッチンの開放的なスタイル。ゆったりめにつくられた横並び席で、自分のペースで“ひとり鍋”を存分に楽しめる趣向だ。

すき焼きが人気のワインダイニング「厨 七代目松五郎」と同じルートで仕入れた自慢のA4・A5ランクの熟成牛肉やオリジナルブランド豚を、オーダーが入ってから目の前でスライスしてくれる。赤坂という立地にありながら、ランチは980円からしゃぶしゃぶが食べられるリーズナブルな価格になっている。

赤坂の好立地に「ひとり鍋で楽しむ究極のしゃぶしゃぶ」をコンセプトにオープン。

「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」のプロデュースをしたのは、初期投資ゼロで業務用設備をレンタルする「ネクシィーズ・ゼロシリーズ」を展開するネクシィーズグループの代表であり、会員数約4000人を誇る経営者の会「パッションリーダーズ」の代表理事も務める、近藤太香巳氏。「365日中、200日は食べてきた」という自他ともに認める大のしゃぶしゃぶ好きの近藤氏が、世界で通用する日本料理「しゃぶしゃぶ」の究極の味を追求し、飲食店プロデュースに挑んだ。

実は今回の「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」は、ネクシィーズグループが注力する「ネクシィーズ・ゼロシリーズ」における“事業付きファイナンス”の新プロジェクトでもある。近藤氏のプロデュースの下、肉に精通する「厨 七代目松五郎」のノウハウで生み出した“究極のしゃぶしゃぶ”を提供する店のFC(フランチャイズ)オーナーをネクシィーズが募る。

定額制セルフエステ「BODY ARCHI(ボディアーキ)」で始めた“事業付きファイナンス”

ビジネスの商材も初期資金もネクシィーズが用意する“事業付きファイナンス”のアイデアを最初に具体化したのは、2018年11月にスタートした定額制セルフエステ「BODY ARCHI(ボディアーキ)」だった。

渋谷ヒカリエのレストランフロアのプロデュースや、グランツリー武蔵小杉の総合プロデューサーを務めた、ブランディングプロデューサー柴田陽子氏と近藤氏がタッグを組んだ、従来のセルフエステの常識を覆すこの事業。「BODY ARCHI」は当初、ネクシィーズグループの直営として始まったが、働く女性を応援したいという両氏の思いをカタチにするべく“事業付きファイナンス”としてFCオーナーを募集。すでに8社とオーナーの契約を交わし、現在も希望者が列を成している状態だという。(2020年6月時点)

今回オープンした赤坂の「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」のオーナーは「厨 七代目松五郎」を運営する株式会社Make our Guests Passionateだが、今後の出店に際してはネクシィーズグループがFCオーナーを募集する予定だ。

この“事業付きファイナンス”の成功を左右するのは「商品力」にほかならない。「BODY ARCHI」が成功したのも、高性能のセルフエステマシンと、柴田氏の女性ユーザー目線を徹底した店舗デザインや運営ノウハウがあったからこそ。「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」でも、プロデューサーの近藤氏が陣頭指揮を執って、商品開発が進められた。

和モダンテイストの店内。気軽にひとりでも来店しやすい開放的な空間だ。

究極のしゃぶしゃぶを構成する“ミリ単位”のこだわり

「やるなら絶対ナンバーワン」をモットーにしている近藤氏は、究極のしゃぶしゃぶを提供するにあたっても一切手を抜かない。牛肉はA4・A5ランクのみを使い、熟成専門の職人の手による完璧な熟成が施される。独自に開発した熟成度合いにブレがないように、信頼する担当の職人以外には触らせないという徹底ぶりだ。

独自開発した熟成肉。熟成度合いを見極めるのに2年半の月日を要したという。赤身が多い「ロース」が熟成肉の旨味を最も楽しめる。

ディナータイムのメインメニュー「黒毛和牛特選ロース」セット。舌の上でとろける肉の食感と熟成肉ならではの旨味が凝縮。

A5ランクの「黒毛和牛」(左)、オリジナルブランド「TAKAMI豚」(中央)、「牛+豚のミックス」(右)もおすすめのメニュー。すべてランチタイムで楽しめるリーズナブルな価格を実現。

そして、肉と並ぶこだわりをみせるのは「特製ポン酢だれ」。柑橘系の酸味を強く感じる独特の風味を持ったポン酢は、熟成肉と同じく開発に2年半をかけたという。プロデューサーの近藤氏と「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」のシェフ・藤井都士規氏が何度も試作を繰り返した末に、ようやく完成した。

近藤氏と藤井シェフが試作を重ねた門外不出の「特製ポン酢だれ」。強めの酸味は、唯一無二の癖になる魅力がある。

料理だけではなく、店舗のオペレーションも綿密に設計されている。オールカウンターのオープンキッチンは、スタッフによる「サービス」も商品だと考える藤井氏の考えに基づいている。

オーダーが入ってから目の前で肉をカットするのは、肉を最もおいしい状態で提供すると同時に、演出でもあるという。肉を切っている間に、10種以上の新鮮な野菜を先に楽しんでもらうため、野菜は事前に準備。鮮度が落ちないように高性能の冷蔵庫を野菜専用に導入した。

こうして隅から隅まで考えられた「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」を、“事業付きファイナンス”で広く全国、ひいては世界に広めていく計画だ。

「サービスも空間もすべて含めて料理だと思っています」と語る藤井シェフ。丁寧かつ楽しいシェフとのトークも楽しみの一つ。

「お店まるごと初期投資オールゼロ」は飲食業界の希望となるか

「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎」に導入された「お店まるごと初期投資オールゼロ」は、ネクシィーズグループが展開する「ネクシィーズ・ゼロ」の集大成ともいえるもの。

その名のとおり、飲食店のオーナーが新規出店する際に必要となる、物件探し、店舗の設計、内装工事、LED照明や業務用冷蔵庫・空調などの店舗運営に必要な設備の購入等々、その初期投資をネクシィーズグループが提供する画期的なサービスだ。

すでにほかの事業を手掛けている経営者でも、この「お店まるごと初期投資オールゼロ」を活用すれば、既存事業を運営しながらネクシィーズグループのリソースを使って新規出店を進められる。開店資金を丸ごと用意してくれるので、既存事業の運転資金に手を付ける必要がなく、資金繰りで困ることもない。

ネクシィーズグループでは、「ネクシィーズ・ゼロ」事業の推進に向け、投資総予算500億円を用意。メガバンクとのジョイント戦略による資金確保を行いながら、地方金融機関を販売パートナーに「ネクシィーズ・ゼロシリーズ」のサービス拡大を目指す。すでに15行の地銀が販売代理店として名乗りを上げている。

「ひとりしゃぶしゃぶ」という新しい食事スタイル、そしてネクシィーズグループの今後を担う“事業付きファイナンス”。その成功は、コロナ禍で変化を求められる飲食業界に新しい風を吹かせてくれることだろう。

ひとりしゃぶしゃぶ 七代目松五郎

住所:東京都港区赤坂 3-7-12 ベストウェスタンホテルフィーノ東京赤坂1階
アクセス:東京メトロ千代田線 赤坂駅 徒歩約3分、東京メトロ銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 徒歩約3分
営業時間:11:30~22:00
定休日:なし
問い合わせ:03-5544-9977

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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