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ビジネスにも役立つ鉄板“おもたせ” 崎陽軒のシウマイができるまで

写真/芹澤裕介 文/子編集部 | 2017.04.18

「昔ながらのシウマイ」や「シウマイ弁当」で知られる崎陽軒。野並直文社長のインタビューと並行してシウマイを生産する横浜工場を訪ねた編集部は、そこに崎陽軒109年の歴史を見た。

シウマイ工場は連日超満員

シウマイの崎陽軒は地元・横浜を中心に販売網を敷く“ローカル戦略”をとっていて、積極的な全国展開はしていないものの、そのブランドは全国区と言っても過言ではない。

看板商品のシウマイは横浜工場、シウマイ弁当は本社のある横浜の本社工場と東京の工場で生産。横浜工場では一般向けに工場見学を開催していて、一日100人の予約は数カ月先まで埋まる盛況ぶりだ。

また、これまで2つの工場で弁当を生産してきたが、5期(2012~2016年)連続売上高を更新するほどの昨今の売上げ上昇に伴い、生産が追いつかなくなってきたことで、商品を求める声に応えられない状況も生まれてきた。

そこで3代目社長の野並直文氏は、横浜工場に新しい弁当工場を新設することに決定。5月には新しい弁当工場が稼働する予定とのことで、その前に編集部は現在の横浜工場を訪ねた。

横浜工場の売店コーナーでは商品購入とともに崎陽軒の歴史を学ぶことも可能。

一日約80万個のシウマイ交響曲

まず現れたのは「シウマイ娘」の写真。当時は、派手な衣装に恥ずかしがる方もいたというが、真っ赤な衣装に身を包んだ「シウマイ娘」はインパクト大。列車の乗客にも好評で、シウマイが売れるきっかけとなったという。

次に出てくるのはシウマイの原料や製造工程を説明した展示室。シウマイの原料はとてもシンプルで、「豚肉」「タマネギ」「でんぷん・小麦粉」「干ホタテの貝柱」「グリーンピース」のほか「砂糖・食塩・こしょう」の調味料など9つの原料からできている。イメージ的にグリーンピースは上にひとつ乗っているように感じるが、実際には混ぜ込まれていることに今さらながら気づく。

化学調味料不使用で保存料も無添加のため、消費期限は17時間(常温)~翌日まで(冷蔵)と短い(「昔ながらのシウマイ」)。そのため、横浜や都内を中心とした地域に流通が限られているのだろう。

横浜工場では、一日に約80万個のシウマイを生産。新横浜を6時に発つ新幹線の始発に間に合わせるため朝は早く、朝4時~午後4時で稼働している。

まず、成形機に35キロの練り肉が送り込まれ、厚さ0.3ミリの皮に包まれていく。そのスピードは1分間に420個、人の目で確認しながら蒸しの工程へ向かう。

約10分間、蒸し機を通ったシウマイの一部は真空包装機へと向かい、「真空パックシウマイ」になる。ちなみに、今では普通に使われる“真空パック”という言葉は、崎陽軒2代目の野並豊氏が名づけたものだという。109年の歴史に重みありだ。

さて、別のラインでは内容量別にパッケージされ、様々な個数の「昔ながらのシウマイ」が完成。劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』と5月下旬までコラボしているプレミアムな「特製シウマイ」もここでつくられている。

崎陽軒のシウマイは鉄板の“おもたせ”

「昔ながらのシウマイ」は、誕生した1928年から製造方法が変わっていないという。それだけ完成された自信作ということだ。ただし、時代の流れとともに流通が広がると、「真空パック」「冷蔵保存」など“届け方”を増やすことでニーズに対応してきた。

さらに、3代目の野並氏は、シウマイやシウマイ弁当に続く「新しい横浜名物をつくりたい」と意欲的。絶対的な看板商品がありながらも、崎陽軒109年の歴史に慢心はない。

地元・横浜では、謝恩会や運動会などのイベントごとに崎陽軒のシウマイが用いられるというが、“冷めてもおいしいシウマイ”は、実は鉄板の“おもたせ”でもある。限られた地域でしか買えない限定感は、ビジネスにおいても活用できるのではないだろうか。

■ブランド力の源は“ローカル主義”「崎陽軒」3代目の経営戦略┃ヒラメキから突破への方程式【株式会社崎陽軒 取締役社長 野並直文氏インタビュー】

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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