株式会社KOTOBUKI SUPER CEO
株式会社KOTOBUKI
代表取締役
庭瀬寿洋
写真/北川友美 文/小幡奈々 | 2019.07.10
株式会社KOTOBUKI 代表取締役 庭瀬寿洋(にわせ としひろ)
1974年生まれ。一級建築士。ハウスメーカーで現場監督経験を積み、2000年に解体業を営む家業に入りハウジング事業を立ち上げる。リーマンショック後、代表取締役に就任し、学生時代から趣味とするドラムとオーディオを生かした音響・防音事業を開始。2018年、資産運用・貿易関連・販売事業を行うK.E.C株式会社を新たに設立。「止められない音はない。音響特性にこだわる音でお役に立つ」をモットーに、心に響く環境創作に邁進する。
庭瀬代表が家業を継承したのは、リーマンショックの打撃で売上が激しく落ち込んだ直後の2009年のことだった。経営を立て直すため、一級建築士の資格を生かして、先代からの解体業にハウジング事業をプラス。また、ドラマーでもある庭瀬代表は、こだわってきた音響を武器に音響・防音事業も同時スタートしたのだが、継承11年目の今、その独自性が大きく開花し始めている。
「かねてから低音を吸収し、より良い音を反響させる音響パネル『音快速』を開発、販売しています。2年ほど前に炭素ファイバーという新たな素材に出合って、バージョンアップさせた『音快速極烈』を、2018年の秋に開催された、音と映像と通信のプロフェッショナルが集う国際展示会、Inter BEEに出展したんです。そこで日本一の楽器店と名高い『イケベ楽器』とのご縁をいただき、商品を置かせていただくことになりました」
この音響パネルは昨年Amazonでの販売もスタートさせ、庭瀬社長にとっては肝入りの事業。音楽を生業とする客層も多いイケベ楽器での小売り展開は、願ってもないことだが、さらなる奇跡が起こる。
一級建築士で、音楽をこよなく愛するドラマーでもある庭瀬代表。だからこそ「建築×音」の可能性を追求できる。
「この『音快速極烈』が音楽プロデューサーのIkomanこと生駒龍之介さんの目に止まったんです。Ikomanさんは、大塚 愛さんや倖田來未さん、エレファントカシマシ、SEKAI NO OWARIらを手がけてきた自称機材マニア。アレンジャー、作曲家、マルチプレイヤーとしても活躍する録音エンジニアです。要は、最終的に音をまとめる監督が低音域をどこまで生かすかを判断するのに、このパネルを役立てているとイケベ楽器のサイトで語ってくださって。トリハダを超えました(笑)」
音のプロフェッショナルからの太鼓判は、間違いなく販路の拡大につながる――。トップダウンの原理を鑑み、庭瀬代表はそう確信したと言う。だが、代表の事業展開は、これだけにとどまらない。
「設計・施工は愛知県を拠点に行っていますが、防音・音響事業の依頼はおかげさまで全国からいただいています。いつも愛車のスバルインプレッサで現場へ移動していますが、あるとき高速道路を走っていて同じ防音壁がないことに気づいたんです。
調べてみると、現状はフローティングウールという一般的な断熱材を使用されていることがわかりました。たて前的に高速道路を壁で覆ってはいるが、防音に役立っているとは断言できない。ならば、『音快速極烈』で採用している炭素ファイバーで防音壁をつくってはどうかと考えました。
炭素ファイバーは空隙率が80%。分かりやすく言うと、100mlの水に浸けたら80mlを吸収する。それがエンジン音といった低周波をも吸うんです。屋外での設置ですから、雨に濡れても良い素材であることも最低限必要ですが、その条件もクリアしています。
今、高速道路の施工会社を経営している友人と、炭素ファイバーの防音壁を開発中です。すでにデジベル測定も終わり、商品化も目と鼻の先です」
固定概念に縛られることなく、freedom精神を持ち、いつまでも自由人であり続けることが大切だという庭瀬代表。建築事業では、クライアントの“趣味”に寄り添った設計を強みとしている。
KOTOBUKI製防音壁が実用化されれば、近隣住民の睡眠障害がなくなり、さらには住宅街の保育園建設や学校の周囲に採用されれば、騒音問題も軽減する。「そうなれば、究極の社会貢献ができる」と庭瀬代表は考える。
「『止められない音はない』を信条にライブハウスなども手がけてきましたが、いよいよ大型の音響ホールの設計、施工、防音、音響調整までを一貫して当社に任せていただけることになりました。家業を継いでからハウジング事業を主体に巻き返し、今ようやく売上5億円を達成したところですが、目指すは7億円。音響ホールの実績を積み重ねながら、1〜2年後には音響・防音事業で2億円増収を達成したいと思います」
vol.41
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