税理士法人 未来税務会計事務所 SUPER CEO
税理士法人 未来税務会計事務所
代表社員
西田尚史
文/岩崎洋明 写真/二石光正 | 2021.11.10
税理士法人 未来税務会計事務所 代表社員 西田尚史(にしだ ひさし)
1947年、熊本県生まれ。全国農業経営コンサルタント協会前会長。夜間定時制高校に通うことのできる、名古屋の鵜飼勉税理士事務所に就職。その後、藤本哲雄税理士事務所での勤務を経て、1984年4月に西田尚史税理士事務所(現 税理士法人 未来税務会計事務所)を開業した。同社の代表社員、そして税理士・行政書士として、会社経営や相続(事業承継・引継)などの支援に携わっている。
税務会計事務所の代表社員として、約30名の社員を率いている西田氏。農業経営上級アドバイザー、熊本県農業経営改善スペシャリストなどの資格を持ち、多くの経営者をサポートしているが、「もともと税理士という仕事があるなんて知らなくて」と学生時代を振り返る。
「税理士が経営支援した会社の業績がぐんぐんと伸びて、従業員の暮らしが豊かになっていく。さらに仕事を通して自身も成長していき、社会にもっと奉仕できるようになる。学生時代にお世話になった鵜飼先生の事務所で、こんなに素晴らしい職業があるのだと、とても驚きました。その後、税理士の資格を取得して、1984年に今の会社を立ち上げましたが、さっそく私の税理士業の指針となる出来事が待っていました」
現在、農業では収入に応じて納税額が決まる所得税法が定められているが、当時は農地の面積などが基準となる反別課税だった。農業の近代化の遅れを前にして、会計と経営支援の必要性を痛切に感じたという。
「農家の方が帳簿を作成するなんて、まだ考えられない頃のことです。独立して最初のお客さまは村でもトップクラスの高額納税者でしたが、気象災害や病害で利益が減少しても、税金を支払わなければならない反別課税に疑問を抱かれていました。相談を受けて複式簿記に従い計算してみると、大きな赤字であることが判明。納税の必要がないにもかかわらず、多額の税金を支払っていたことになります。さらにその後、事業承継・引継という課題にも直面しました。農業の場合は、後継者不足だけでなく、地縁関係など複雑な事情が絡みます。大変残念なことに、最初のお客さまも相続がうまくいかずに廃業してしまいました」
「このままでは日本の農業は良くならない」。そう確信した西田氏は1993年に、税理士や公認会計士で構成される全国農業経営コンサルタント協会に加入する。
「協会では有識者を招いての勉強会や、農業経営の見識を広めるための海外視察などを行っています。初代会長の要請を受けて会長職を引き継ぎましたが、おかげで弁護士や不動産鑑定士、司法書士、さらには農林水産省の方など幅広い人脈を築くことができました」
幅広い人脈と並んで、深い専門知識も未来税務会計事務所の強みだ。現在、西田氏に加えて11名の農業経営アドバイザーが在籍しており、顧客の経営パートナーとして献身的なサポートを実践している。
「農業・畜産業は一般の事業会社と異なり、業種の特性に応じた会計処理が必要となります。そこで弊社では、農業の特性を熟知した農業経営アドバイザーの資格取得者が、税務・会計から経営面に至るまで経営者の方を支援しています。さらに、決算書の見方や税法の改正などについてのセミナーも行っています」
「将来、自然災害や環境悪化によって世界的な食糧危機に陥る可能性は否定できない」と警鐘を鳴らす西田氏。「未来」を見据えて、これからも農業界の発展と経営者の支援に力を注いでいく。
「食糧危機が発生した場合、我が国にとって農作物は輸出における貴重な存在となります。自給自足できる体制を整えるという意味でも、農家の方を支援することは日本人の生命と財産を守ること、ひいては日本の未来を助けることにつながると自負しています。だからこそ納税者の権利義務を守り、持続可能な経営の力になりたいと思います。
現在、災害やコロナによって多くの企業が疲弊しています。過去は取り戻せませんが、未来はどのようにも変えることができます。弊社の経営スローガンに“未来を語り、未来を創り、未来に残す”とあるように、経営者の方はもちろん職員にも、未来を夢見ることのできる、可能性に満ちた人生を送ってもらえるようにしたいですね」
vol.56
DXに本気 カギは共創と人材育成
日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社
代表取締役社長
井上裕美