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価値観の違いを受け入れるのが第一歩 「Z世代」と共存共栄するためのノウハウ

写真/芹澤 裕介 文/竹田 明(ユータック) | 2020.08.11

YouTubeチャンネルの運用代行と動画編集代行を手掛けているLiberty office。創業者の林秀永氏と鈴木凌太郎氏は、1996年生まれ。社会人としてはルーキーに近い。若い世代にリーチするためには、YouTubeを使ったブランディングが重要だと説き、中でも「新卒採用」でYouTubeを活用する「採用ブランディング」を唱えている。そんな彼らに「Z世代」の特徴を聞いた。

“自由”がキーワード「Z世代」の価値観

スマートフォンが普及してインターネットに常時接続が可能となり、社会は大きく変わった。特に、物心がついたときにはインターネットがあった「デジタルネイティブ」とされる世代が次々と社会人になっている近年は、少子化の影響もあって「若手人材の確保」に苦戦している企業が増加している。

左:Liberty office代表 林 秀永氏/右:Liberty office営業部 鈴木 凌太郎氏

「僕たちはZ世代の初代にあたります。1995年にWindows95が発売され、インターネットが爆発的に広まり出すなかで育ったデジタルネイティブ。僕たちの世代は、幼いころからいろんな情報にさらされ、幸せの価値観が多様化しています。利他的な行動を取る人が多く、幸せを自分の半径1メートル以内の人にどうやって分配するかを考えています」(鈴木氏)

「僕たち若い世代は“自由”がキーワードです。自分の時間を大切にする人が多く、自由が欲しい、時間が欲しいと願っています。会社選びでも『お金』よりも『ライフワークバランス』や『会社の雰囲気』を重視しています。企業の採用担当者は、情報として理解していても、肌感覚ではわからない人が多く、就職活動をしている学生は自分たちが欲しい情報を得られていないと感じています」(林氏)

若い人たちが会社に求めているものは根本的に変わっていると話す2人。採用担当者はその事実を知り、新時代の採用戦略を立案する必要があるという。

YouTubeの活用で進める「採用ブランディング」

自身の就職活動で上の世代である採用担当者との間に価値観の乖離を感じた2人は、新時代の採用戦略を広めるためYouTubeを活用した「採用ブランディング」のサービスを立ち上げた。

「採用でもブランディングが必要です。企業が学生を選ぶだけでなく、学生が企業を選ぶ時代です。企業は優秀な学生に選ばれるため、情報をオープンにしなければなりません。ある企業がYouTubeでおもしろい動画をアップし、それがバズって600万再生を越えました。前期50人だった新卒採用が120人に増えたそうです。新入社員の7割がYouTubeで会社に興味を持って入社した人だというデータが実際にあります」(林氏)

Liberty officeはYouTubeだけでなく、TikTokにも興味を持っている。TikTokを自社のブランディングに使っている企業はまだ少ない。

「動画をテレビが独占していた時代は終わりました。いろんなプラットフォームで動画を使ったブランディングが本格化していきます。情報を積極的に開示している企業が市場に評価される時代にあって、オープンな企業が学生にも選ばれます。採用ターゲットにしている若い人たちがどんなプラットフォームに集まっているのかを知ることも大切です。企業の担当者、特に決裁権がある方になると、TikTokの存在は知っていても、詳しく知らない人は大半かもしれません。それでは、若い人たちにリーチできなくなります」(鈴木氏)

動画コンテンツで若い世代とコミュニケーション

テレビを見ず、物を所有せず、なんでもシェアするZ世代との接点に悩む企業も増えることだろう。しかし、企業側は柔軟に考え、積極的に若い世代に仕事を任せていかないと、採用だけでなくビジネス全体でも時代の流れに淘汰されてしまいかねない。

「発想の転換が必要です。僕たちは『動画は財産』だと考えています。広告費で予算を消費するよりも動画ブランディングに予算を割いた方が絶対的に成果を出せます。動画づくりは投資で、その費用はコストではありません」(鈴木氏)

「SNSは可能性を広げてくれます。いい物をつくっている会社とそれを求めているユーザー、楽しく働ける会社とそれを探している求職者。SNSはそんな互いに求め合う両者の架け橋になれます。使い方がわからないだけで、可能性を広げられるチャンスを捨てるのはもったいないと思いませんか」(林氏)

若い世代と動画コンテンツでコミュニケーションするノウハウを持っているLiberty officeと組めば、採用だけでなく、自分たちの商品やサービスの魅力を広くアピールできる。

「費用対効果を求める企業が多いですが、広告費に予算をつぎ込めば、確かにチャンネル登録者数は伸ばすことはできます。しかし、広告で関係をつくったユーザーとは関係性が薄くなりがちで、チャンネル登録数が1万人いても再生回数が1000回に満たないという状態になることも。ブランディングで“ファン化”を進めれば、太い顧客になります」(林氏)

人生をハンドリングしている感覚がほしいZ世代

デジタルネイティブのZ世代の登場は「ジェネレーションギャップ」の言葉に収まり切れない強度と速度を持って社会を変えている。企業で働く彼らよりも上の世代の人間は、Z世代の価値観を理解して受け入れなければならない時代が到来しているのだ。

「世代が違うと分からないことも多いでしょう。それは良いとか悪いとかの問題ではなく、“変化している”という事実です。違いを受け入れて任せるのが、成果を上げるための最短ルートだと思います」(林氏)

「働く場所や時間に縛られない生き方、その選択肢があるという自由さ。自分で自分の人生をハンドリングしている感覚が僕たちZ世代の特徴です。僕自身、自分が自分らしく生きるためにはどうすればいいだろうかを考えて独立しました。働く人が自由に働ける、自分が自分らしく生きる世界を実現したいと願い『Liberty office』と命名しています」(鈴木氏)

今後も次々と社会人になるZ世代。彼らと共有するためには、Liberty officeの2人のように、上の世代の考えを言葉にし、若い世代にも伝えることができる仲介人が必要なのかもしれない。

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