“超”私的エクストリームな瞬間

【耐久レース】

仕事もレースも真剣勝負。 いつか絶対、ル・マンで勝つ!

株式会社サイバードホールディングス

代表取締役社長 兼 グループCEO

堀 主知ロバート

写真/松井康一郎 動画/トップチャンネル 文/大野重和(lefthands) | 2014.04.10

いまをときめくモバイルサービス企業グループを率いる堀社長。彼には、昨年のスーパー耐久シリーズの覇者、ファウストレーシングチームのドライバーというもうひとつの顔があった。

株式会社サイバードホールディングス 代表取締役社長 兼 グループCEO 堀 主知ロバート(ほり かずとも ろばーと)

1965年、米国ワシントンDC生まれ。関西学院大学卒業後、ロンドンへ留学。98年、モバイルサービスを提供する株式会社サイバードを設立、代表取締役社長に就任。2002年、『BusinessWeek』誌アジア版の「The Stars of Asia 25」に、『TIME』誌の「世界のビジネスに影響を与えた若手15人」に選出。05年、世界経済フォーラムの「若き世界の指導者237人」選出。

ここは、スーパー耐久シリーズ2014第1戦を2週間後に控えたサーキット〈ツインリンクもてぎ〉。ファウストレーシングチームのドライバー、サイバードホールディングス堀 主知ロバート社長は、この日開催されるテスト走行に臨もうとしていた。

テストとはいえ、本番は目前。しかもファウストレーシングは昨年のチャンピオンチームである。連覇にかける期待とプレッシャーからか、ピットにはやや張りつめた空気が漂う。

「さあ、そろそろ行きますか!」

そんな緊張感を打ち破るように、いつの間にかレーシングスーツに着替えた堀社長がチームメイトたちに声を掛ける。百戦錬磨の強者だけが見せる、すべてを包み込むような優しい微笑みとともに。

レーシングスーツ姿でピットに現れた堀社長。場の空気を和ませる優しい笑顔で、ピットクルーたちへの気づかいも忘れない。

今日のテスト走行では、堀社長のほかにもう1人が交替でBMW Z4のドライバーを務めることに。本レースでは5時間の耐久レースとなるだけあって、ピットインのタイミング同様、ドライバー同士の連携や交替のタイミングも重要な鍵を握ることになるという。

この日、先にコクピットに乗り込んだのは相棒のプロレーサー山野直也さん。耳をつんざくような爆音を上げ、マシンはいよいよピットを滑り出していく。垂涎のマシンが隊列を成してピットアウトして行く様は、いきなりの圧巻である。

やがて本番さながらの10周近いラップののち、BMW Z4が1回目のピットイン。タイヤ交換のタイミングで、素早くドライバーも交替する。ステアリングを握った堀社長は、水を得た魚よろしく、電光石火の勢いでコースへと飛び出して行った――。

堀社長の運転するマシンが、爆音とともにコースを疾走する。目の前を横切るのは、まさに一瞬だ。

レースに賭ける堀社長の情熱。それは若い頃に始めたカートレースに端を発しているという。

「カートレースからここまで、徐々にレベルアップしてきました。レースの世界には、日常生活にはない死の危険がつねに隣り合わせである。その緊張感の中での駆け引きや、技術の上達といったことが、たまらなく楽しくてね」と嬉しそうに語る堀社長。その目には、サーキットの狼さながらの勢いでレースを戦っていたときとはまるで別の、悟りを開いたような優しさが溢れていた。

「ちょっと前ですが、予選で、憧れのレーサー高木真一さんを押さえて1位に付けたんです。きっと決勝でも勝てる!と期待したんですが、実際の決勝では、あとちょっとというところでかないませんでした(笑)。それでもあのときの昂奮と手応えは、一生忘れられないなぁ!」

SUPER CEOとしての行動力と、レーサーとしての情熱、そして少年の心――この3つを携えて、堀社長はふつうの人では味わえないスリルと昂奮を体験する一方で、危険な目にも幾度も遭ってきた。

例えば仙台のサーキットでは猛スピードで壁に激突、マシンを全壊させる。またル・マンのクラシックカーレースでは、乗っていたマシンが炎上。緊急入院し、生死の境を彷徨ったという。では、それでもなお、何が堀社長をしてサーキットへと向かわせるのだろうか。

「学生時代には剣道に打ち込んでいました。何をやるにも真剣勝負というのが僕のやり方なんです。戦いに出る――その同じ覚悟と気持ちで、仕事にも挑んできました」

レースはつねに真剣勝負であり、チームプレイであるという堀社長。スーパー耐久シリーズも、20人近いチームメンバーの全員がひとつの気持ちになれないと、勝てないどころか必ず事故が起きるという。

「レースは厳しいけれど、終わったらみんなで抱き合う。仕事も同じでしょ? あと最近のドライブレコーダーは、驚くほど詳細な走行データが出てくるんですよ。これをグラフにしたら、自分の欠点が恥ずかしいほど丸見えになってくる。

技術的な課題の洗い出しに役立てていますが、それでも一番重要なのは自分のビビる気持ちに勝てるかどうか。これも仕事に共通しているかもしれませんね」

将来の夢は、いつか憧れのル・マン24時間レースに挑戦し、表彰台に立つことだという堀社長。

「そのための足がかりとしては、まずは今年スーパー耐久シリーズの連覇、そしてGT-R GT3でASIANGTに出場して優勝することが目標です」と、実に具体的に語ってくれた。この人ならきっと夢を叶えるはず――堀社長の輝く瞳を見て、そう確信したインタビューだった。

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vol.37

「感動」が事業をつくる

株式会社アカツキ

共同創業者 代表取締役 CEO

塩田 元規

「ハートドリブンな世界へ」というビジョンの下、モバイルゲームとライブエンターテインメントの2軸で事業を展開するアカツキ。ゲーム「ハチナイ」の初アニメ化や、横浜のエンタメビル「アソビル」、東京ヴェルディの事業・運営サポート、海外のeスポーツリーグの設立など、猛スピードで活動の幅を拡大する同社の原動力とは。
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