有限会社成瀬印刷 SUPER CEO

受身体質からの脱却 “印刷×コンサル×自社媒体”の実現へ

有限会社成瀬印刷

代表取締役社長

成瀬和之

写真/守澤佳崇(office WORKS) 文/宮本 育 | 2017.02.28

ネットプリントやデジタルシフトなど、時代に翻弄される印刷業界。そんななか、“印刷×コンサル×自社媒体”で荒波に立ち向かう会社が、北の地にあった。

有限会社成瀬印刷 代表取締役社長 成瀬和之(なるせ かずゆき)

北海道旭川市出身。1991年に旭川大学情報ビジネス専門学校を卒業後、IT企業に就職し、プログラマー、SEとして勤務。1996年、成瀬印刷に就職。19年間の営業職を経て、2015年7月、代表取締役社長に就任。“問題解決型コンサルティング”を掲げ、意識改革と人材教育に力を注いでいる。また、さまざまな勉強会などを開催する「GENKIプロジェクト」代表も務める。

DTPをはじめとするデジタル化、家庭用プリンタの進歩、安価なネットプリントの普及など、印刷業界を取り巻く環境は時代と共に移り変わり、企業間競争が年々激しさを増している。札幌市に次ぐ第二の都市・旭川市で、66年にわたり印刷業にたずさわる有限会社成瀬印刷も、時代に適応しようと1998年にデジタル化へシフト。

豊富な種類の印刷機も導入し、顧客のニーズに応えていた。また、2006年には、ネット注文型の印刷物サービスサイト「北の印刷屋さん」を開設するなど、印刷業の可能性に向けて突き進んでいるかのようだった。しかし、当時営業マンとして会社を支えていた成瀬氏はこう話す。

「当時の営業スタイルは御用聞きのような感じで、取引先に行っても何もなければ手ぶらで帰ってくるという状態が続きました。これではいくら設備を整えようとも会社の成長にはつながらない。業績自体は悪くなかったものの、先の見えない危機感をひしひしと感じていました」

そこで、成瀬氏は社内変革を決意。印刷業界独特の受身体質から脱却し、顧客の課題に耳を傾け解決へと導くビジネススタイル、“問題解決型印刷コンサルティング”への一歩を踏み出したのである。

バナナペーパーにストーンペーパーなど、自然素材を使った製品のほか、ARを用いた特殊印刷のサービスも展開する。

しかし、同社が培った66年の歴史が重いことに加え、売上高は例年とほぼ変わらず、危機的状況を実感できない社員もいたため、変革は容易なことではなかった。

そこで、成瀬氏の思いや考えを伝えるための「NAVI(成瀬ビジョン)会」を社内で結成し、メンバーとコミュニケーションを重ね、社の方向性を共有していった。そして2015年、代表取締役社長就任と共に、次のステップである人材育成へと駒を進める。

「“問題解決型印刷コンサルティング”を行う上で不可欠なのは、お客様の悩みや課題を引き出す力です。そこにビジネスチャンスがあるので、小さなことでも大きなことでも、話を持って帰ってきなさいと。それができる営業マンの育成が重要だと考えました」

そのような力を養うため、週3回、朝7時30分から30分間、勉強会を開催。PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルも導入し、社員の意識改革を図っている。

そしてもうひとつ、乗り越えるべき壁があると成瀬氏は言う。

「新しいことを行う上で、社名に付いている“印刷”という文字が、時には障害になってしまうこともあるんです。ARを用いた特殊印刷や、ペーパーオブジェの作成など、印刷以外の商材に対して興味をもっていただけるように、当面はコンサルティングを得意とする仲間とタッグを組み活動していきます」

同社が顧客の課題を引き出し、解決のアイデアを提示する“問題解決型印刷コンサルティング”が、2017年春からスタートする。長年にわたり、成瀬氏がつくり上げてきた体制をいよいよ動かす時がきた。

さらに2017年10月、全国展開する冊子「フリーペーパー道の駅」と契約。北海道の代理店として活動をスタート。2018年3月春号を創刊し、年4回の季刊紙として発刊する。この冊子は地方創生を土台に、多くのお店や企業様の認知度アップ・売上向上・他の地域とのパイプ役として、人と人を繋ぐ架け橋の存在になる媒体へと成長させ、地域活性化に繋げるのが我々の使命と話す。

また、旭川市を盛り上げるために、2016年から「GENKIプロジェクト」を発足。勉強会やセミナー・GENKI塾(高校生向け)などを開催し、経営者はもちろん、高校生や今後起業を考えている人たちの支えになりたいと考えている。

“私と関わるすべてが愛であふれるように──”

その理念の下、成瀬氏はこれからも歩み続ける。

企業情報

  • 有限会社成瀬印刷なるせいんさつ
  • 1951年より北海道旭川市にて印刷業に携わる有限会社成瀬印刷。2015年7月に、先代のご子息である成瀬和之氏が代表取締役社長に就任。企業間競争が年々激化する印刷業界を生き抜くため、“問題解決型コンサルティング”を掲げ、社員の意識改革と人材教育に力を入れる。また、全国展開する冊子「フリーペーパー道の駅」の北海道代理店としても活動。この冊子を土台に地域活性化につなげたいと考えている。
  • 業種
    出版・印刷
  • 本社
    〒070-0035
    北海道旭川市5条通16丁目左9号
  • 設立
    1973年7月
  • 上場
    非上場
  • 従業員数
    14人(2018年11月1日)
  • サイト
  • SNS
  • Tel
    0166-23-4404
  • 問合せ
SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_42_1580902204.jpg

vol.42

中小企業の伸びしろを最大化 会計の効率化から始まる生産性革命

freee株式会社

CEO

佐々木 大輔

個人事業主や中小企業を中心とする16万社以上の有料ユーザーを誇るクラウド会計ソフト「freee」を展開するfreee。昨年12月のIPOで実施したグローバルオファリングは大きな注目を集めた。創業者でCEOの佐々木大輔氏が思い描く「スモールビジネスが輝く未来像」とは?

最新記事

  • ビジネスはアナログなコミュニケーションが一番大事 チャットによる「非同期」と「コンテキストの省略」で生産性が変わる

    Chatwork株式会社代表取締役CEO兼CTO 山本正喜

  • 2020年の年相を理解した上で、リーダーは強く方向を示すべき

    SBIホールディングス株式会社代表取締役社長(CEO) 北尾吉孝

  • 効率化の先にみえる“本質”「会計freee」とスモールビジネスの変革ストーリー

    freee株式会社 

  • ポテンシャルを最大化する“のびしろ”経営請負人!

    株式会社ARIA Solution代表取締役 伊藤 治男

  • 中小企業の伸びしろを最大化 会計の効率化から始まる生産性革命

    freee株式会社CEO 佐々木 大輔

ブランジスタが手がける電子雑誌