人材力

ピンチの時こそ社長の腕の見せどころ! 海賊のような気概で、ビジネスの海原に斬りこむ

株式会社アド宣通

代表取締役

炭田恵崇

写真/芹澤 裕介 文/桑原恵美子 | 2020.12.10

栃木県宇都宮市を拠点に、チェーン店専門のメンテナンス工事業などを全国的に展開している株式会社アド宣通。バブル崩壊後の危機的状況時に奇跡の再建を成し遂げた2代目・炭田恵崇代表は昨年、名古屋に支社を設立。コロナ禍のさなかにもかかわらず、取引先を増やし続けている。そんな炭田代表に、昨今の危機的な状況を乗り越える極意を聞いた。

株式会社アド宣通 代表取締役 炭田恵崇(すみたよしたか)

傾きかけていたレストランを人気店にした手腕をかわれ、23歳で店長に抜擢。100万円以上の月収を得ていた時に、父の興した会社が経営破綻の危機に瀕していることを知り、立て直しのために入社。持ち前のバイタリティと行動力、直観力で、見事に業績をV字回復させた。2010年に同社代表取締役社長に就任。1974年生まれ、栃木県宇都宮市出身。

「非効率的でもいい。長い付き合いができるビジネスをしよう」

株式会社アド宣通は1978年に、現会長である炭田匡利氏が小規模な看板業からスタートした会社。バブル期に激増したホームセンターや家電量販店の出店支援を手掛けたことで、事業を急速に拡大したが、バブル崩壊後、売上は一気に激減。経営立て直しのために入社した炭田代表は、当時注目されていたフランチャイズの大手運営会社の店舗開業支援の仕事獲得に成功。しかし、次第に父の「お客様第一」で協力会社を顧みない営業方針に、疑問を抱くようになる。

「確かに受注は増えましたが、顧客の理不尽なまでに厳しい要求で売上も思ったほど伸びず、現場はどんどん疲弊していきました。何より開業支援した店が短期間で次々に閉店していき、夢見ていた“お客様との一生涯のつきあい”ができないことに虚しさを感じるようになりました」

そこで炭田代表は、思い切って顧客との付き合い方を根本から見直し、納期や予算などで協力会社が嫌がる条件の仕事は受注しないことを徹底させた。売上は一時8割減となったが、仲間との絆が深まり、ひとつひとつの仕事に達成感が生まれるようになった。

「顧客はもちろん大事ですが、もっと大事なのは、一番身近な社員と、協力会社の仲間。みんなで力を合わせないと、顧客のニーズを超える能力は発揮できないことに気づいたのです。そこから、非効率的であっても長い付き合いができるビジネスモデルを模索するようになりました」

炭田代表が次に着目したのは、大手がやりたがらないチェーン店舗の細かなメンテナンス事業。最初の店で信頼関係が築ければ次の店でも依頼があり、経験があるので仕事も効率化できる。良い循環が生まれ、現在では年間1,000件以上の受注が途切れないようになった。

増設した名古屋支社から、日本全国網羅を視野に

2019年5月には、名古屋支社を開設した。なぜ名古屋なのか。

「名古屋は日本の中心部に位置しており、全国から飛行機が乗り入れているので、一時間あれば日本全国どこの空港にも行けるんですよ。つまり、名古屋を中心に日本全国47都道府県を網羅できるんです。色々な面で勢いがあるし、これからの成長性も感じて、攻めるしかない!と決意しました」

東海地方には勇ましい人たちが多くて面白い、と感じたのも理由のひとつだった。そんなところが“攻め”の炭田代表とウマが合ったのかもしれない。意気投合する友人がどんどん増えていき、さまざまなビジネスチャンスが提供された。直近の売上の大半は名古屋支社で、営業の軸足は完全に名古屋支社になりつつある。

悪手に見えたスポーツクラブ進出が、販路拡大のきっかけに

さらに新規事業として、フィットネス事業にも参入。全国に200カ所近くあるスポーツクラブを展開するAXTOSにFC加盟し、2019年12月には「スポーツクラブアクトスWill_Gフォレストモール岡谷」(長野県岡谷市)、2020年1月に「スポーツクラブアクトスWill_Gクロスガーデン多摩」(東京都多摩市)をオープンした。コロナ直前のスポーツクラブ進出は一見不運に見えるが、実はこれが新たな販路を拓くきっかけとなる。それは、運営会社であるアクトスから『ベストオブパートナー』として表彰されたときのこと。

アクトスから贈られた『ベストオブパートナー』のトロフィー。

「Sports Club AXTOSは、大手スーパーマーケットを中核に全国チェーンのホームセンター、 ドラッグストア、スポーツクラブを日本全国で展開しているバローホールディングスのグループ企業のひとつ。表彰式にはそれぞれの会社のトップが揃って出席していましたので、そこで得た人脈から新たなビジネスチャンスが多数生まれたのです」

これは決して、単なる幸運ではない。実はアド宣通は前年、Sports Club AXTOSオープン時の工事を年間で大半の工事を請け負っていた。その独自のノウハウを投入した運営のプロセスと結果が『非常に頼りになった』と、高く評価された。つまり、それまでの誠実な企業努力がチャンスを呼び寄せたのだ。

社長は、ブルーオーシャンを攻める“海賊”であれ

表彰式は2020年1月。社員のだれもが輝かしい1年のスタートを予感したが、そこに吹き荒れたのがコロナの嵐だった。だがアド宣通はBtoB(企業間商取引)であり、工事は年間予算とスケジュールに沿って行われていたので、コロナによる実質的な損失はそれほど多くはなかったという。だが真の危機はここからであり、これからが社長の腕の見せどころだと炭田代表は語る。

「社長こそが、トップセールスマンであるべき。絶望的な状況の時こそ、将来性や勢いのあるブルーオーシャン(競争相手のいない未開拓の市場)を探し出し、海賊のような気概を持って攻めていかなければなりません。『そうは言っても、うちはまだチャレンジできる体制ができていない』としり込みする社長もいます。でも僕自身の経験では逆なんです。チャレンジするから、仲間が集まるんですよ」

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_52_1633086440.jpg

vol.52

【セラシオ上陸】今が瀬戸際?日本の消費財のポテンシャル

セラシオ・ジャパン

日本法人代表 二宮一央/最高協業責任者 小澤良介

米史上最速の創業2年でユニコーンになった消費財ベンチャーのセラシオが、日本に上陸。彼らが目指しているのは、日本の消費財が本来持っているポテンシャルを最大限に引き出し世界に知らしめることだ。セラシオ・ジャパンの2人が見据える“日本の消費財”の未来を語る。
コンテンツ広告のご案内
BtoBビジネスサポート
経営サポート
SUPER SELECTION Passion Leaders
ブランジスタが手がける電子雑誌