人材力

人が育つ、人間関係が築ける 究極の人材育成「ビジネス傾聴力」

マイコーチングオフィス

代表

中村 舞

写真/守澤佳崇(AROUND 80) 文/宮本育 | 2019.09.10

コーチングスキル、メンタルヘルス対策など、さまざまな企業研修を行なうマイコーチングオフィス。中村舞代表がたどり着いた、究極の人材育成「ビジネス傾聴力」の可能性に迫る。

マイコーチングオフィス 代表 中村 舞(なかむら まい)

1974年生まれ、北海道北見市出身。北海道拓殖銀行・北洋銀行を経て、政府系法人に転職。この時期に出合った「コーチング」に魅了され、CTCプロコーチ養成スクールにて本格的に学ぶ。2008年にマイコーチングオフィスを設立。企業研修や講演などの活動をはじめ、2017年からはテレビ会議用アプリ「zoom」を使って、全国に傾聴講座も配信している。

コーチングの本質は“傾聴”にあり

2008年にマイコーチングオフィスを設立し、これまでさまざまな企業にて研修・講座・講演を行なってきた中村舞代表。なかでも力を入れているのが、部下指導に生かせる“管理職向けコーチングスキル”の指導だ。

“コーチング”とは、1990年頃からアメリカを中心に広まった人材開発技法のこと。各分野で活用されており、昨今ではビジネス業界でも注目を集めている。その理由は、“変化への対応力を高められる点”だろう。上司が部下へ知識やスキル、ノウハウを教える“ティーチング”は組織のやり方・アイデアが画一的になりやすく、組織全体が変化へ対応しにくい体質になるという弱点がある。

一方の“コーチング”は、上司の質問によって部下それぞれが持っている能力を引き出すこと。そこから生まれたやり方・アイデア自体が組織の引き出しとなり、多様な顧客ニーズや要求に応じられる素地となる。さらには、創造性や革新性も向上するので、新たなイノベーションを生む可能性を秘めているといってもいい。

しかし、約10年にわたり、企業でコーチングスキルの指導に携わって気づいたことがあると中村代表は話す。

「コーチングは、上司の質問によって部下の能力・やる気・気づきを引き出すので、“問いかけ”が重要と捉えている方が多いのですが、そうではありません。コーチングの本質は“傾聴”なんです。

部下の話にしっかり耳を傾けなければ、そもそも相手に適した問いかけができません。人は話を聞いてくれない人には本音を話さないので、部下の本心もわからず、抱える課題にも気づくことができません。

そして、もっとも深刻なのは、上司が部下の話を聴いていないことに“気づいていない”または“聴けている”と思っていることです。

私から見ると、“聴けている”と思っている人のほとんどは、自己流の聴き方で話を本当に聴けていません。また、よく『部下と“話をする”時間がない』と相談を受けるのですが、その言葉のとおり、部下と関わるとき、聴くことではなく話すことが大切で、それが指導やサポートだと思っています」

「かつての私も、人の話を聴くことができない人でした」と中村代表。傾聴力を習得したことで、人間関係の悩みが一気に解消されたそう。「この凄さを多くの人に知っていただきたいです」

社会人になりたてのころを振り返ってみてほしい。こんな経験はないだろうか。

仕事で悩んでいるとき、厚意にしてくれる上司から『悩みを聞くよ』と言われた。思いきって心の内にあるものを吐露しようとしたが、すべてを語る前に『気にしすぎ』『みんな同じ経験をしている』『もっと自信を持て』などの言葉で遮られ、そこから先は延々と上司の体験談やアドバイスを聞かされた。

上司は励ましたい一心であることはよくわかっている。だが、自身の悩みは解決していないどころか、何も打ち明けてすらいない。ただただ煮え切らない思いだけが残ったことを。

そこで中村代表は、部下の話に耳を傾ける機会が全ての指導のスタートになると、職場向けの“ビジネス傾聴力”に特化した研修メニューを展開。なかでもユニークなのが、“聴き役会話”というオリジナルトレーニング法だ。

「一日1回、たった2分間だけ、否定も批判もジャッジもせず、傾聴のスキルを取り入れながら、ただ部下の話を聴いてくださいというものです。それだけで部下の印象が変わり、また部下の上司に対する態度も変わってきます。お互いに心を開いて向き合えるようになるんです」

多角的な学びのスタイルで、「飽きずに集中できる」「現場ですぐ使える」研修・講座・講演を提供している。

そのような小さな歩み寄りを重ねていくことで、さまざまなメリットを得られるという。

「最大のメリットは“部下の情報(本音)を得られること”、そして“信頼関係が築けること”です。この二つがあれば、コーチングではなくアドバイスだけでも素晴らしい成果が生まれます。

さらに、こちらが聴く姿勢をもてば、相手もこちらの話を聴いてくれる。ひいては、傾聴力が習慣化されると顧客に対しても同じ姿勢で向き合うようになるので、顧客の期待値を超えるサービス・製品の提供ができるようになる人も多い。

考えを客観的にまとめて整理し、そこから物事を考える思考力も育つ。多くの人の話を聴くことで“人を見る目”も養われ、相手の個性を受け止められる人間力も身につく。 “ビジネス傾聴力”には、これほどまでに大きな可能性が秘められているのです」

自分が話をするのではなく、まずは相手の話を聴く。それは、相手の個性を一度受けとめて、そのうえで自分と相手(と会社と顧客)がプラスになる関わりを創造するということ。

社会全体がそれを当たり前に行なう流れをつくることが、中村代表の夢である。そのような社会が実現したら、きっと、誰にとっても今よりずっと生きやすく、たくさんの成果を生み出せる世界になるのではないだろうか。

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vol.40

「人とは真っ当に付き合え!」なぜ、幻冬舎・見城徹は圧勝し続けられるのか

株式会社 幻冬舎

代表取締役社長

見城徹

五木寛之の『大河の一滴』、石原慎太郎の『天才』。そして直近の浜崎あゆみをモデルにした『M 愛すべき人がいて』に至るまで――。数々のミリオンセラーやベストセラーを世に送り出し続けてきた幻冬舎の見城徹社長。 独特の“熱い言葉”が世の中に響き過ぎることもあるが、「圧倒的な結果」を残してきた背景には、見城社長が血のにじむような努力によって作家やアーティストとの関係を丁寧に築きあげ、彼らから絶大な信頼を得ていることが大きい。 人とのつながりをどう作り、強固なものにするのか? あらゆるプロたちに響く、人と仕事に熱狂するためのスピリットを伺った。
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