幼児期から社会人まで一生関われる障害支援モデル | 株式会社ひいらぎ 茂呂史生|注目の経営者|SUPER CEO

サービス力

幼児期から社会人まで一生関われる障害支援モデル

株式会社ひいらぎ

代表取締役

茂呂史生

写真/芹澤裕介 文/松本 理惠子 | 2018.07.31

障害のある子どもたちの人生に寄り添いたい。そんな思いで福祉事業サービスを拡大してきた株式会社ひいらぎの茂呂史生代表。彼が目指すのは、“地域密着型”から更に一歩進めた“利用者密着型”の支援モデルだ。

株式会社ひいらぎ 代表取締役 茂呂史生(もろふみお)

1978年、埼玉県草加市出身。学校卒業後、新卒で社会福祉法人に就職。数社を経て2006年に株式会社ひいらぎを設立し、訪問介護事業をスタート。第13期目を迎えた2018年現在は、放課後等デイサービス、児童発達支援、相談支援、就労継続支援B型事業所まで事業を拡大。また、物販事業にも注力している。

放課後等デイサービスや児童発達支援などを展開する株式会社ひいらぎ。茂呂代表が介護福祉の道に進んだのは、1995年の阪神淡路大震災がきっかけだった。

「進路に迷っていた高校2年生の冬、大震災が起きました。テレビで報道を見て、自分も何かしなければと単身、現地に入りました。仮設の入浴所でボランティアをしていた時、おばあさんに泣きながら『ありがとう』とお礼を言われ、人の役に立つ仕事の意味を知りました」

その後、短期大学で福祉を専門的に学び、卒業後は高齢者介護の道へ。仕事にやりがいを感じる一方で、茂呂代表は「利用者とより長い期間関わりたい」との思いを強くし、障害者・障害児福祉へとシフトしていった。

2006年、生まれ育った草加市でひいらぎを創業し、訪問介護事業をスタート。以降は少しずつ事業範囲を広げ、現在は草加市に3カ所、足立区に2カ所の拠点を構えて、放課後等デイサービス、児童発達支援、相談支援、就労継続支援B型事業所などを展開している。

放課後等デイサービスは、小学1年生から高校3年生までを対象とする学童保育のようなサービスだ。児童発達支援は、障害のある未就学の子どものための通所支援。相談支援は、障害者と福祉サービスをつなげたり、全体をコーディネートするための窓口として機能する。就労継続支援B型事業所は、中~重度の障害者が軽作業などの就労訓練を行う場所だ。

「5つの拠点でそれぞれ提供しているサービスが異なります。たとえば、草加にある本社では、1階で就労継続支援B型事業所、2階で放課後等デイサービス、2階の事務局で相談支援を行っています。ここの放課後等デイサービスでは、就労訓練特化型として、卒業後の離職率低下を防ぐために、実際の卒業後の作業を事前に訓練しています。

就労継続支援B型事業所では、菓子製造などの労働をしています。放課後等デイサービスで作業訓練を行い、卒業後に就労継続支援B型事業所で働くといった道があります。もちろん一般企業や就労継続支援A型事業所に就職していく子もいます」

就労継続支援B型事業所は全国にあるが、その実態は“就職先”と呼ぶには厳しい。なぜなら、週5日働いても工賃は月3000~15000円にしかならないからだ。しかも利用料を負担しなくてはならない。

「低賃金のままでは自立など夢のまた夢です。そこで、工賃を上げる仕組みはないかと考え、自社商品の開発を始めました。品質の良い商品をつくり、品質に見合った価格で売る、そうすれば高単価が実現します。自社商品の第一号は、『グルテンフリーのこどもカレー』です。内臓を元気にする32種類のスパイスをはじめ、体に良いものだけでつくりました。

小売用のレトルトと業務用の冷凍の二種類をつくっていますが、製造を九州の就労継続支援B型事業所のメンバーが担い、梱包や商品シール貼りを弊社の就労継続支援B型事業所で行っています。通常シール貼りはあまり高単価で請け負うことは出来ませんが、自社商品ということで高単価を実現しています」

さらに、茂呂代表は自社商品の販路のひとつとして、カフェを開業。そこで「グルテンフリーのこどもカレー」や本社の就労継続支援B型事業所でつくった米粉のシフォンケーキなどをメニューとして提供している。

また、仕入れは地域の就労継続支援事業所から仕入れたものが多く取り扱われている。ちなみに、カフェは障害者支援を特別アピールはしていないため、通常のカフェとして地元民に利用されている。

「カフェ ロワミミ」を経営。就労継続支援事業所でつくった製品をメニューに加えている。物販コーナーもあり。

このように、ひいらぎでは幼児期から障害児童に関わり、卒業後の進路先までサポートしている。さらに、“商品を自分たちでつくって、売って、収入を得る”という仕組みをつくったことで、経済的な自立も促している。まさに、一人ひとりに寄り添った利用者密着型の支援モデルだ。

ただし、課題もある。

「商品開発、販売は一般企業との競争になるので、今後は販路拡大のための営業力をつけなくてはなりません。福祉事業一筋でここまで来ましたから、販路開拓の知識がないなか で行っているので、かなりの苦戦を強いられています。想いだけで走り出してしまっていますからね(笑)。

ただ、品質の高い商品を適正価格で販売している点では自信があります。モノの良さを知っていただくと、リピーターになってくださる方が多いです。特に、食育の面でお母さん方から喜ばれています。その声に応えるためにも、商品のバリエーションを増やしていきたいですね。是非、お取り扱いいただける企業様にご連絡をいただきたいです。飲食店様食品小売店様よろしくお願いします!」

もうひとつ、茂呂代表は、自閉症スペクトラムの子どもたちに勉強を教える個別指導塾のような学習支援サービスを始めたいと考えている。「自閉症スペクトラムの子を持つ保護者から、学習面もサポートしてほしいという要望があります。段階的に事業所数も増やしていきたいと考えています」

茂呂代表が思い描く“利用者密着型の障害者支援モデル”は、まだ枠組みができたところだ。

「理想形に近づけるためにまだまだ頑張ります! 応援よろしくお願いします」

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vol.35

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