サービス力

顧客満足度97%の葬祭事業 マニュアルではない真心対応

株式会社AZUMA

代表取締役社長

荒井昭博

写真/片桐 圭 文/伊藤 聡(C&A) 動画/ロックハーツ | 2018.07.31

葬儀社に生まれ、27歳という若さで両親を亡くした、株式会社AZUMAの荒井昭博代表。最終的にたどり着いたのは「葬祭業は究極のサービス業」ということ。若くして葬儀社を牽引することになった荒井代表が語る、葬祭業にかける想いとは。

株式会社AZUMA 代表取締役社長 荒井昭博(あらいひろあき)

東京生まれ東京育ち。高校時代に祖母を亡くしたことがきっかけで、家業である葬儀社を継ぐ決心をする。27歳の時、父を亡くし、現在の株式会社AZUMAを継ぐこととなる。その後、葬祭業だけでなく民間救急車や訪問看護など幅広く事業を展開し、地域に密着したトータルライフサポート企業へと発展させている。

「自分の身内を送るつもりで」

今年で創業52年を迎える株式会社AZUMA。この長年の信頼と実績は、顧客目線に立った対応や気配り、そして細やかなサービスに裏打ちされ、顧客満足度も97%と非常に高い。

中には顧客から「ここで働かせて欲しい」と要望があり、社員として現在働いている者もいる。それほどまでAZUMAが人を惹きつける理由は何なのか? 荒井代表に尋ねると「仕事にかける想い」だと語った。

「弊社では担当したスタッフが搬送から法事まで全ての業務でお客様に係わるよう対応をさせていただいております。会社によっては状況に応じて、お客様の対応をするスタッフが変わることがあるようですが、そのやり方ですとお客様が誰に相談したら良いのか混乱してしまいます。

お客様にとって葬儀は決して慣れることはありません。事前にこちらからお伝えした内容だとしても、気持ちの整理がつかず混乱してしまったり、膨大な手続きで忘れてしまうことも多いのです。そのため『最初から最後までこの人に聞けば大丈夫」と安心感を持っていただくよう、窓口は一本化する必要があります。

また『わからないことは何度も確認していただいて大丈夫ですよ』と担当者がお客様に伝えることで、少しでも心に負担がかからないよう葬儀を行っていただけることを心がけております」

 荒井代表は続ける。

「葬儀にはマニュアルがございません。というのも、お客様によって社会的な背景が全て異なるからです。ですので、マニュアル的な対応ではなく、お客様の意向や要望をしっかりと聞き、真剣に向き合うことが常に求められます。

私は常々社員に『仕事をするときは自分の身内をおくると思って対応しなさい』と伝えてあります。また、社員もその言葉を常に意識し、丁寧な仕事を心がけています。だからこそ、何代にも渡ってAZUMAに葬儀を任せようと思っていただけるお客様がいるのです。葬儀は一生に一度しかない最後の挨拶の場です。

ご家族だけでなく担当者も気持ちを込めておくることが大切だと私は考えています。故人とご家族の最後の大切な時間を気持ちよく過ごせるようサポートできればと思います」

社葬と合同葬の重要性

最近は一般的な個人葬の問い合わせとは別に、中小企業の経営者から「社葬」についての問い合わせが増えてきているという。

「葬儀には3種類あります。個人葬、社葬、そして合同葬の3種類です。個人葬はご家族が主となって葬儀を取り仕切りますが、社葬の場合には会社が施主となり故人の葬儀を行ないます。合同葬は個人葬と社葬を合わせた形で、会社とご家族が協力して行います。

社葬は故人をおくる目的もありますが、それ以外に、取引先などに新しい後継者をお披露目するビジネスとしての場でもあります。特に中小企業の場合、長く会社を牽引してきた代表が亡くなってしまうと『次の経営者は大丈夫なのか』『ここの会社は続くのだろうか…』と取引先も不安になることがあるのです。

そういった不安を払拭するため、新しい代表がしっかりとリーダーシップをとって社葬を執り行うことで、安心感を与えることができます。また、社葬だけでなく個人葬も同じですが、事前の準備が一番大切です。亡くなる直前やあとではなく、元気なうちから葬儀については考えておいた方が、本人の意向に沿った形で行うことができるからです。

社葬の場合は個人葬に比べ、規模も大きくなりがちです。来賓への対応や安全管理の面でも前もってしっかりと準備する必要があります」

事前準備がもっとも大切だと語る荒井代表、そのほかにも対応面についてノウハウをしっかりと持っているかは確認すべきだという。

「社葬は会社の経費を使うこともあり、税務上の話は避けて通れません。そのためにも社葬規定の作成や、どのような届け出を出すのか、アドバイスできる葬儀社に任せると安心だと思います。

もし社葬を行うのであれば、早い段階で何社か葬儀屋を周り、葬儀への対応だけでなく知識やノウハウをしっかりと持っているかどうかを見極めてから、相談を始めることが大切ですね」

現在、AZUMAは葬祭業だけでなく患者搬送や訪問看護、地域コミュニティ活動の場として個人の居場所を提供する「元気ひろば おれんじ」など、様々な事業を展開している。また、常に「人の役に立つ」事業を意識している荒井代表に今後のAZUMAの展望について聞くと、近年多発する自然災害に触れ、次のようなことを語った。

葬祭事業のほか、救急救命士や看護師が同乗し患者を搬送する、民間救急サービスを展開。さらに事業を拡大予定だ。

「東日本大震災の経験から、災害時に役に立つことができる企業として準備しておこうと思うようになりました。その中で現在我々が考えているのは、災害などで亡くなった方のご遺体の修復や腐敗を防ぐための移動式のエンバーミングができないかということです。

通常、エンバーミングをするにはエンバーミングルームという場所があり、そこにご遺体を移してから処置を施します。しかし、大災害が起こった場合、ご遺体を移動させるというのは大変難しいというのが現状です。そのため、災害で亡くなられた方とご家族が対面した時、それがトラウマとなってしまい心に大きな傷ができることもあります。

もし、移動式のエンバーミングが可能であれば、大災害という状況であっても、できるだけきれいなお顔でご家族と対面できます。それが、少しでもご家族の方たちの心のケアにつながるのではと考えています」

「人生の一大事にお役に立ちたい」そう語る荒井代表の想いは、誰よりも熱かった。

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vol.38

一人ひとりの個性を伸ばして事業を拡大する

株式会社アースホールディングス

代表取締役CEO

國分利治

美容室業界は飲食業界と並んで浮き沈みの激しい世界。店舗数はコンビニの約4倍に上り、開店・閉店のサイクルも早い。そんななかで1989年の創業以来、安定した成長を続け、全国で約250店舗を展開するアースホールディングス。なぜこの会社は生き残り続け、業界有数のポジションを築くことができたのか。
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