株式会社エストゥルース・ホームズ
代表取締役
前田貴之
写真/芹澤裕介 文/竹田 明(ユータック) | 2016.11.30
株式会社エストゥルース・ホームズ 代表取締役 前田貴之(まえだ たかゆき)
2008年、総合不動産を扱う上場企業に新卒入社。同社の民事再生後、都内の不動産会社に転職、営業として最年少でトップセールスに。2011年に独立・起業するも2度の廃業を経験。3度目に起業した不動産会社が軌道に乗り、エストゥルースグループに参画、「エストゥルース・ホームズ」に社名変更。
会社を起こすきっかけは人それぞれ。学生の頃から野望を抱いている人もいれば、流れに身を任せているうちに起業を果たす人もいる。前田代表が最初の会社を起こしたのは、新卒入社した不動産会社を含め、リーマン・ショックの影響で大手上場会社が次々と潰れる様を目の当たりにしたからだった。
「入社した翌年にリーマン・ショック。ツイてないのか、ツイているのか、とにかく会社勤めしていても、将来は保証されないものだということを痛感しました。頼れるのは自分の腕だけだと。そんなことを考えていた時、転職先の不動産会社の社長がバックアップをしてくれたこともあり、不動産会社を立ち上げることになりました」
すんなり会社はスタートしたが、支援者を含めて周囲の状況が一変。あっという間に資金を引き揚げられ廃業の憂き目を見る。しかし、前田代表は、一度サラリーマンに戻って資金を貯め、再スタートを目論んだ。
「最初の会社は色々な事情ですぐにうまくいかなくなりました。人はそれぞれ考え方や大切にするものが異なります。他人と一緒に事業を進めるのは簡単なことではないと学びました」
「不動産は立体的に、物事は多面的に見る」と前田代表。販売する不動産に魅力的な価値を与えるのが彼の仕事だ。
「最初の会社は色々な事情ですぐにうまくいかなくなりました。人はそれぞれ考え方や大切にするものが異なります。他人と一緒に事業を進めるのは簡単なことではないと学びました」
新しい会社を立ち上げるために精力的に動いた前田代表だったが、さらなる困難が待ち受けていた。「リース詐欺」の被害に遭うのだ。
「オフィス機器をリースするために、とある会社と契約したところ、その会社が資金をもって逃亡。警察に行っても『いたちごっこでどうすることもできない』と言われ、泣き寝入りするしかありませんでした。資金は失うし、人を信用できなくなるし、散々な目に遭いました」
短期間に2度の起業・廃業を経験した前田代表。しかし、そこであきらめなかった。新卒入社した会社の先輩であり、総合不動産会社エストゥルースを立ち上げていた丸山功氏と再会した前田代表は、同氏の説得を受けて3度目の起業に挑戦することを決意する。
マンションや戸建て住宅の開発・販売・管理・仲介を手がけるエストゥルースと共に事業を進め、得意とする不動産の仕入れ部門を担うことになる。ようやく人生の歯車がうまくかみ合いだした前田代表は、持ち前の企画力を発揮し、会社をエストゥルースグループの一角を担うまでに成長させていく。
当初は、仕入れ部門の統括をしていたが、今では仕入れの他にも古民家再生事業、旅館業、海外事業など多くの新規事業の立ち上げに責任者として奔走している。
社名も『エストゥルース・ホームズ』へと変更した前田代表は、商品の仕入れと企画立案に奔走、グループ全体で年商40億円の規模にまで会社を成長させた。エストゥルースとの協業で“水を得た”今、2度の失敗は“忘れたい過去”ではなく、今につながる“成長の糧”になったという。
「2度の廃業は褒められたことではありませんが、そこで得た経験が現在の私を形づくっているのは確かです。当時はただただ大変でしたが、今にして思えば“あきらめないマインド”をより強固にできたのかなと感じています。2度の失敗があったからこそ、エストゥルースでの仕事がうまくいっている側面もあります。今はエストゥルースと共に未来を築いていきたいと思います」
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