すべては現場監督の腕次第!  難解なほど熱くなる建築会社 | 新栄工建株式会社 工藤孝史|注目の経営者|SUPER CEO

技術力

すべては現場監督の腕次第!  難解なほど熱くなる建築会社

新栄工建株式会社

代表取締役

工藤孝史

写真/守澤佳崇(office WORKS) 文/宮本 育 | 2016.09.30

棟数よりも、やったことがない志事を一つでもできたら大満足。その姿勢で唯一無二の家づくりに挑み続ける新栄工建の工藤孝史代表に、住宅建築の醍醐味を聞いた。

新栄工建株式会社 代表取締役 工藤孝史(くどう たかふみ)

1969年生まれ、北海道石狩・新篠津村出身。専門学校卒業後、東京の建設会社に入社、現場監督を務める。その後、札幌の建設会社で家づくりに携わり、2001年に家業の新栄工建株式会社に入社。資材販売に加えて住宅事業を展開、独特な住宅を設計事務所と共に手がけている。2015年8月、同社代表取締役に就任。宅地建築取引主任者、一級施工管理技士、二級建築士。

札幌から北東へ車で50分ほど走ったところに位置する新篠津村、ここで約半世紀にわたり事業を営んでいるのが新栄工建株式会社だ。木材店として創業した同社は、その後、建築・土木資材販売へと拡大していき、3代目代表である工藤孝史氏によって2001年より住宅事業を展開。様々な建築家とタッグを組み、オンリーワンの価値ある家づくりを行う建築会社として注目を集めている。

実のところ、住宅建築において、建築家との共同作業にメリットを感じない会社が多いという。

「通常、住宅の図面は10枚程度で事足りますが、建築家がつくるものだと30~40枚は余裕であります。平面、立面、断面、さらには建具表や展開図、家具図もあり、建て主と建築家のこだわりを、これらからしっかり読み取らないといけません。万が一、図面を読みきれず、現場に間違った指示をしてしまったら、100%自己負担でやり直しです。工期も一般の住宅が3か月のところ、住宅の仕様によっては半年かけることもざらです。また、1棟建てる間、毎週の打合せや細かな伝達事項などをしなければならず人件費もかかる。最悪、赤字になるケースもあり、請け負いたがらない会社が多いというのが現実です」

同社の家はつくりが独創的。設計と施工を分けることで、固定概念に縛られることなく建物が洗練されていくという。

同社も住宅事業をスタートさせて10年くらいは模索の日々が続いたそう。しかし、大手ハウスメーカーのように規格化住宅で勝負に出ても勝ち目がない。それならば、このまま他社が敬遠する分野で技術を磨き続ければ、必ず強みになると確信した。

「やっとここ3、4年で、信頼と信用を獲得することができ、利益を生み出す体勢ができつつあります。つくり込みがとても多いため建てられる棟数は年間6~8棟ですが、想いを込めて造れる分、竣工時は毎回大きな達成感と充実感を感じています」

家づくりにおいて同社は、建て主、建築士、各職人をつなぐパイプ役を担っている。つまりは、現場監督として工事がスムーズに進行するよう管理するのが仕事だ。現場監督は、その能力次第で建物の出来不出来が決まると言っても過言ではない。

「工事現場は、ひとりの職人が最初から最後まで仕事をしているわけではありません。杭屋さん、基礎屋さん、大工さん、板金屋さん、建具屋さん、塗装屋さん、クロス屋さん、左官屋さんなど、様々な業種がバトンを渡しながら進めていきます。渡されたバトンを次へ引き継ぐ時、『やりやすくて仕事がはかどったよ、またよろしく』と言ってもらえたら、現場監督として最善を尽くせたということ。そんな『現場監督』はやりがいのある魅力的な職種ですが、仕事内容は思いのほか知られていません。目下、現場監督として欠かせない、志事への情熱、想い、探究心をもって、そして気配り、心配りができる人材の育成が課題です」

協力会社とのチームワークもあって、着実に実績を上げていった同社。設計、協力会社ともに、その仕事ぶりに厚い信頼を寄せる会社も少なくない。今後も、多くの建設会社が「できない」とさじを投げるような仕事を積極的に請けていきたいと考えている。それこそが他社に勝る、同社の強み。

「約30年、建築に携わって思うのは、複雑難解な設計をすることで有名なフランク・ゲーリーやアントニオ・ガウディの建築物を、よくみんな黙ってつくったなと。ここの現場監督、やるなって(笑)」

もしも、ゲーリーやガウディから仕事の依頼が来たら?

「もちろん、やりますよ!」

嬉々として答えるのはマゾかストイックかチャレンジャーか、骨の髄まで“現場監督”の工藤代表だった。

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vol.31

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