「見える化」の人材育成で 労働集約型ビジネスの問題点を解決 | 株式会社Lena 柳澤 奈々|注目の経営者|SUPER CEO

人材力

「見える化」の人材育成で 労働集約型ビジネスの問題点を解決

株式会社Lena

代表取締役

柳澤 奈々

写真/芹澤 裕介 文/伊藤 聡(C&A) 動画/ロックハーツ | 2018.10.10

法人化3年目にして5店舗のエステサロンを開業し、成長著しい株式会社Lena。短い期間に事業を拡大することができた要因は、独自の人材育成術だという。そのプログラムを事業化し、外部販売へと乗り出した。

株式会社Lena 代表取締役 柳澤 奈々(やなぎさわ なな)

高校卒業後、大手エステティックサロンに入社。5年間勤務したのち退社し、2006年「Salon Lena」をオープン。9年目の2015年2月には株式会社化し、代表取締役となる。2016年1月に、エステと鍼灸を融合させた「Lena 鍼灸院」をオープン。その後は人材育成に注力し「人材育成プログラム」を開発。労働集約型ビジネスを対象にノウハウを提供している。

2006年に1号店をオープンしたエステサロン「SalonLena(サロン・リーナ)」。2015年に株式会社Lenaとして法人化し3年目を迎えた今年、新たに5店舗目を開業するなど事業は加速度的に拡大し続けている。この短期間の間にどうしてこれほどまでに事業を拡大することができたのか尋ねると「全ては人材育成です」と栁澤奈々社長は語りはじめた。

「法人化したばかりの頃はまだ1店舗しかなく、現場でがむしゃらに頑張っていました。2年前から店舗数を増やし、家業から事業へ形が変わっていくなかで、私の仕事も現場から管理する側へと徐々に変わっていきました。今年に入ってからは都内進出できるまで事業は拡大していますので、3年という期間だけでみると、自分でもいい動きをしていると思います」

もともとエステティシャンとしての技術には自信があったという栁澤社長。顧客からの評判も良く、自分の技術をサロンのスタッフに継承していけば売上は上がっていくものだと思っていた。しかし、実際はそれほど簡単なものではなかったという。

「ある日、お客様に『同じお金を払うのであれば、ずっとあなたに担当してもらいたい』そう言われたんです。非常に嬉しい言葉ではあったのですが、同時にこのままだと後進が育たないと危機感を感じるようにもなりました。

その後、現場から指導者へと自分の役割を変えましたが、数え切れないほど多くの失敗をしてきたと思います。これまでの自分の経験を活かして一生懸命指導をしたつもりだったのですが、それが全く伝わっていないということに気づき、途方にくれたこともありました」

特に技術的な部分よりも考え方や気持ちの部分が何をしても伝わらなかったのは辛かった。そう語る柳澤社長。

「表面的な部分では伝わっていたのかもしれません。しかし、実際に蓋を開けてみると、私が一番大事にしていた考え方やエステに込める想いとは外れていて、店が全く自分らしさのないものへと変わっていたのです」

栁澤社長は、この状況を打開するために、エステのように労働集約型のビジネスモデルで成功してきた経営者のもとを訪ね、シンガポールまで教えを請いに行った。

実際にその経営者と会い、現状について相談をすると、そこで開発している人材育成のプログラムに携わってみてはどうかと打診を受けた。この人材育成プログラムとの出会いが、栁澤社長にとって大きな転機となる。

行動特性を数値化し、個々の長短所が一目瞭然に。バランスよく店舗に人員を配置できるほか、特徴を生かした“攻め”の戦略も可能だ。

「この人材育成プログラムは人の頭の中を全て数値化して“見える化”することができます。つまり、これまで私が何を言っても伝わらなかったことがどうして伝わらないか、データをみるだけで原因がわかるのです。

このプログラムの開発に関わったことで、自分がどれだけ感覚だけで物事を伝えていたのかを痛感しました」

この人材育成プログラムの開発がきっかけとなり、これまで柳澤社長が抱えていた問題点が一気に解決したのだ。あれほど難しいと感じていた後進の育成も今では多くの幹部が育ち、その幹部が中心となり人材を育成できるレベルまでになった。その実績からプログラムの再現性は高いと栁澤社長は自信を持っている。

「従業員の頭の中を見ることができるので、今後どのように成長していきたいのか、現状維持で安定したいのか、どんなことにチャレンジしたいのか、それとも辞めたいと考えているのか……など、データで全てわかるのです。

過去にスタッフが辞めそうなタイミングで声をかけたとき、『社長は本当にタイミングが良いですね、占い師みたいです』と言われたことがあります。実際はストレスの値がその子の許容を超えていたので、それを見て声をかけただけなのですが、結果的に優秀な人材を失わずにすみました」

自分の感覚でものを言うのではなく、相手の状況や考え方をしっかりと確認してから、それをもとに物事を伝えるようになった。結果的に周囲の状況が目に見えるほどの変化だったという。そしてそれは、売上にも大きく影響したのである。

「プログラムを自社で導入し、1年半という時間をかけて様々な改良を加えてきた結果、自社の売上が大きく上がりました。これは信頼して仕事を任せられる優秀な人材がたくさん育ち、店舗数が増えたことが大きな要因だと思います。また、以前よりもスタッフを取り巻く環境も良くなり、コミュニケーションが円滑に取れるようになりました」

現在、自社の店舗の売上実績をもとに、栁澤社長はこのプログラムをパッケージ化し、新たに立ち上げた人材育成事業に注力。過去の自分と同じ悩みを持った労働集約型ビジネスの経営者の問題解決に向けて、全国規模で提案営業を行っているのだ。

「プログラムを導入し問題の修正や改良を加え、1年半かけてようやく他社に導入できるレベルまで完成度を高めました。そして、リリースと同時にSNSにアップしたところものすごく反響があり、一気に広まりました。今は私が一人で日本全国あちこち飛び回って、様々な経営者の方達とお話しさせていただいています」

ちなみに、このプログラムは今のところ導入の成約率が100パーセントだという。客観的な売上アップの推移やプログラムの再現性の高さももちろんだが、なによりも過去に同じ悩みを抱えていた柳澤社長だからこそ言える説得力の高さが、その成約率に大きく影響を与えているのだろう。

ノウハウを惜しみなく提供する理由とは

株式会社Lenaでは、人材育成事業と併せて集客支援事業も行っている。集客に悩む鍼灸院や整骨院に対し自社のエステのノウハウを提供することで集客アップを図っているのだ。鍼とエステを融合させた「Lena 鍼灸院」の実績から、国家資格保有者が行うエステには潜在的なニーズがあると柳澤社長は話す。

「エステのノウハウは惜しみなく提供します。専門性が高く信頼できるサービスを提供することでエステ業界全体の質が上がるからです。結果的にそれが将来のエステティシャン達の社会的な地位向上にもつながると私は確信しています」

多くの資格を保有する栁澤社長。プレイヤーの期間が長かったため、そのノウハウを継承できる点からみてもLenaのレベルの高さがうかがえる。

「リーナ美徳学院」と称し、定期的にスキルアップスクールを開講。国家資格保有の肩書きは、エビデンスとしてサロンの評価につながっている。

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vol.34

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株式会社ユーザベース稲垣裕介

「経済情報で、世界を変える」をミッションに掲げるユーザベースは、企業・業界情報プラットフォーム「SPEEDA」やソーシャル経済メディア「NewsPicks」など経済情報に軸を置いた事業を展開。創業5年目で海外へのサービス提供に乗り出し、2016年には東証マザーズへ上場。快進撃の背景にあるものとは?
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